お客様導入事例
東京地下鉄株式会社 様
膨大な数の設備の点検・補修の記録管理を
Excelからkintoneに移行
作業時間の半減など大幅な業務効率化を実現
事例の概要
- 駅などの設備の点検と補修の記録管理をそれぞれ別のExcelで行っており、ファイルの種類も多く煩雑化していた
- Excelへの入力作業に毎日多くの時間がかかり、入力ミスや漏れも発生していた
- 点検と補修のExcelファイル間のデータ連携が取れず、業務が非効率だった
- 設備の点検・補修の記録管理がkintoneのアプリですべて行えるようになった
- データ入力の作業効率が大幅に向上し作業時間が1/2~1/3ほどに激減。入力のミスや漏れもなくなった
- 点検と補修のデータが連携されるようになり、情報の確認や共有がすぐにできるようになった
- 誰にとっても分かりやすく使いやすいサービス
- 完成のイメージに近いプロトタイプを簡単に作れ、後から更新や作り込みが可能な柔軟性
- 1部門で導入した後、他の部門・業務にも広げていける汎用性
事例の詳細
業務内容を教えてください
導入前はどのような課題を感じていましたか
当課では、管轄するすべての建築物について、設備の点検作業と補修工事が適切に行われているかを管理しています。設備というのは、例えば駅にあるシャッター。どの駅にも数十か所あるシャッターに連番をつけて管理していますが、東京メトロの駅は180ありますから、シャッターだけでも膨大な数に上ります。対象設備は約20種類、点検項目は全部で1,000以上にもなります。それらの点検をいつ行い、結果がどうだったか、また、どのような補修を行ったかといった記録の管理を、以前はすべてExcelで行っていました。Excelファイルは設備の分類に応じて20種類。さらに点検と補修では作業チームが異なるため、同じ設備でもそれぞれ別のファイルに記録していました。
点検作業は年間計画に基づいて毎日行われます。以前は、協力会社が現場で行った点検結果が紙で報告されてきたものを、手入力でExcelに打ち込んでいました。その作業は、私たちの部署とグループ会社の担当者約50名で、1人あたり1日45分~1時間ほどもかかっていて、入力のミスや漏れの発生も避けられませんでした。
さらに、点検と補修でExcelファイルが別だったり、ファイルが年度別になっていたりしたため、データ間の確認や連携を取るのも困難でした。例えば、点検結果に応じて適切な補修がなされたかどうかは、2つのファイルを見比べなければ分かりませんが、膨大なファイルから該当データを探し出すのは非常に大変でした。
鉄道本部 工務部 建築工事所 建築管理課(当時)
篠原 周平 様
導入の決め手を教えてください
このようにExcelによる管理には課題が多かったため、数年前から解決方法の検討を始め、kintoneにも早くから注目していました。既存のパッケージシステムでは細かいアレンジや修正が難しいのに対して、kintoneは運用開始後にも項目を増やせるなど拡張性・柔軟性が高いところに魅力を感じました。また、ノーコードで作成できるため、誰にとっても分かりやすく使いやすいサービスであると考えていました。
そうしたタイミングで、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン(以下「富士フイルムBIジャパン」という)の担当者と業務上のさまざまな課題について話す機会があった際に、kintoneについて相談してみたのです。すると、当社の点検表の内容を基に、「kintoneを使えばこうなる」というモックアップをすぐに持ってきてくれました。項目の追加なども柔軟にできそうで、とてもよい感触を得ました。
企業においては、関係者と課題意識が共有できていても、新しいやり方の導入を納得させるのが難しい場合があります。言葉や資料だけではなかなか伝わりません。その点、kintoneは完成形に近いプロトタイプを作ってイメージを共有できる上、細かい作り込みは後からいくらでもできる柔軟性があります。さらには、いったん導入すれば当課だけでなく他部署の業務にも広げていける汎用性も魅力です。将来的にさまざまな業務に活用することで社内での紙の使用を減らしたいという気持ちもありました。
そうした検討を踏まえ、kintoneの導入に向けて提案書のプレゼンテーションと見積書による総合評価方式の入札を行うこととなりました。そして、3社が応札してきた中で、当社の業務への理解度が秀でており、業務実態に合わせたシステムを提案してくれた富士フイルムBIジャパンを選ぶ結果となりました。
鉄道本部 工務部 建築工事所 建築管理課
矢原 馨 様
導入後の効果について教えてください
kintoneの導入後、アプリを構築するのに約1年かけましたが、そこでは、膨大な設備の管理を一つのアプリに集約するべく、設備ごとにばらつきがあった入力項目の整理と統合に最も時間を使いました。私たちと富士フイルムBIジャパンで、グループ会社の担当者に協力を仰ぎ、全員からヒアリングを行うなどして、無駄を省き必要な項目を絞りこんでいきました。その間、富士フイルムBIジャパンからは、項目の重複の指摘や整理の仕方の提案などで手厚いサポートを受けることができて、とても助かりました。
現在、アプリの本格的な稼働開始から半年ほどたち、日々の業務は大幅に効率化されています。シンプルで分かりやすい入力画面に加え、kintoneからあらかじめ出力しておいたCSVを使って点検会社に報告してもらうことでデータの自動取り込みも可能になり、入力ミスや漏れがなくなりました。1人あたり毎日45分~1時間かかっていた入力作業時間も、1/2~1/3ほどに激減しました。また、以前は別々のファイルで管理されていた点検と補修のデータがkintone上で自動的に連携されるようになったため、点検で早期の補修が必要となった設備の情報が、補修チームのアプリに自動で通知されるようになりました。一方、管理職からは、点検結果をリアルタイムで見られることや、点検結果に対する補修工事の状況がすぐに確認できる点など、高評価を得ています。
実際に日々使っていく中で、現場から新たな課題や要望が出てくることはありますが、富士フイルムBIジャパンに相談し、さまざまな解決法を提案してもらいながら、柔軟にアプリの改善を図っています。同じ工務部の土木部門や、kintoneのことを耳にした他部署から当課に問い合わせがくるなど、社内でも少しずつ評価が広まっているところです。
「kintone」はどのような企業におすすめですか
設備や商品など多数の対象をExcelで管理しているような場合、kintoneを導入すれば膨大なデータを誰でも見やすい形にできるのがメリットだと思います。特に、当社の点検と補修のようにプロセスごとにチームが分かれていて、Excelデータの受け渡しでは連携が取りにくい会社は、kintoneを共通のデータベースとして情報を管理・蓄積・更新することで、業務間の連携を大きく効率化することができるでしょう。
鉄道本部 工務部 建築工事所 建築管理課
飯沼 海 様
さらなる活用や今後の取り組み予定について教えてください
今後のkintone活用について、すでに富士フイルムBIジャパンにも相談に乗ってもらっていますが、AIと連携させることで、細かい条件を付与して過去の膨大なデータから必要な情報を検索できるようにしたいと考えています。鉄道は100年単位でデータを残しておかなければならないインフラですから、今後蓄積されていくデータを有効活用できる環境が求められます。また、蓄積された点検・補修のデータから設備にいつ不具合が出るかを予測し、予算を含めて計画的な設備更新が可能になるようなシステムも実現したいですね。
kintoneを使ってやりたいことは今後もどんどん増えてくるはずですから、富士フイルムBIジャパンにはこれからも、他社の活用事例の紹介など、サポートを期待しています。
(左から)
東京地下鉄株式会社 鉄道本部 工務部 建築工事所 建築管理課 飯沼 海 様
東京地下鉄株式会社 鉄道本部 工務部 建築工事所 建築管理課 矢原 馨 様
東京地下鉄株式会社 鉄道本部 工務部 建築工事所 建築第一課 篠原 周平 様
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 野田 海斗
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 前川 大輝
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 武井 文人
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 吉田 真梨子
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 平山 航
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導入ソリューション
企業プロフィール
東京地下鉄株式会社
- 業種
- 陸運業
- 事業内容
- 旅客鉄道事業の運営、都市・生活創造事業の運営
- 従業員
- 9,462人(2025年3月31日現在)
- 本社所在地
- 東京都台東区東上野三丁目19番6号
※掲載内容は2025年12月時点の情報です






当社は「東京メトロ」の愛称で、東京都区部を中心に9路線195.0km・180駅の地下鉄を運営し、首都圏の鉄道ネットワークの中核を担っています。その中で私たちが所属するのは、工務部 建築工事所 建築管理課という部署で、駅施設のほか車両基地や事務所、駅係員・運転士の宿泊所といった建築物の点検や補修工事などの管理業務を行っています。