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日本

導入事例近畿大学 医学部

加速度的に増えるゲノム解析データの長期保管先を
安全性・経済性に優れたテープストレージへ全面移行

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安心できるセキュアな保管環境を構築、見やすいUIで作業効率が改善

さまざまな業界の企業や組織で、データの長期保管(アーカイブ)手段として注目が高まっている「テープを活用したストレージシステム」。「耐久性が高くデータの長期保管性に優れる」「オフラインでデータを保管でき、サイバーアタックや災害のリスクを回避できる」「HDDやクラウドストレージと比べて容量あたりの価格が安く、総コストを抑制できる」などのメリットに着目し、テープストレージを採用したのが近畿大学 医学部様です。

2023年3月に富士フイルムの「ディターニティ オンサイト アーカイブ アタッチモデル」を導入。ゲノム解析データの効率的な管理を行っています。では具体的に、テープストレージの導入でどんなメリットが得られているのでしょうか。導入に至った経緯なども含め、特命准教授の坂井 和子氏に伺いました。(取材:2023年9月)

課題

大容量化するゲノム解析データ。
アーカイブ用に活用していた光ディスクが販売終了に

― ゲノム生物学教室の研究内容について教えてください。

私たちは、遺伝子の塩基配列を高速で読み取る「次世代シーケンサー(NGS)」を活用したゲノム解析を行っています。目的は、「がん遺伝子パネル検査」の実施です。がん遺伝子パネル検査とは、がん患者さんのがん組織内の多数の遺伝子変異を一度に解析し、その患者さんのがんの特徴や進行、治療に対する反応を確認したり、効きやすい薬を特定したりするために行うものです。また、新しい治療や新薬の開発に役立てる研究の一環でもゲノム解析を行っています。

近畿大学 医学部
ゲノム生物学教室 特命准教授
坂井 和子氏

― データ保管にかかわる業務フローについてご説明ください。

シーケンサーから出力されるゲノム解析データは、ヒトの塩基配列の生データと、そこにさまざまな解析情報を付加したアノテーション(注釈情報)データがあり、それらを合わせて保管する必要があります。データサイズは、シーケンサー1稼働あたり500GBから1TBになります。平均すると週1回、多い時では週3回シーケンサーを走らせるので、膨大なデータが生成されます。

シーケンサーが持つストレージ容量は少ないため、稼働前に別のストレージシステムにデータを逃がす必要があります。また、私たちが日常的に扱うゲノム解析データの多くは、個人情報保護法が規定する個人情報に該当するため、セキュアなシステムに保管する必要があります。保管期間は、国内のGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)に準拠する場合は研究終了後3年間、国際基準であるICH-GCP(日米欧国際会議による医薬品臨床試験の実施基準)に準拠する場合は研究終了後15年間の保管が求められています。

それ以前のNAS(HDD)での保管と比べて、セキュアで大容量のデータを低コストで保管できる媒体として、2017年に導入したのが、光ディスクを用いたストレージシステムです。シーケンサー稼働後に発生したデータを随時光ディスクにアーカイブしていきます。そして、3.3TBの光ディスクの容量がいっぱいになったらディスクを取り出して、鍵付きの保管庫でオフライン管理していました。

近畿大学外観

導入組織情報

近畿大学 医学部
●学部開設:1974年
●所在地:大阪府大阪狭山市大野東377-2
●URL:https://www.kindai.ac.jp/medicine/
「実学教育」と「人格の陶冶」を建学の精神に掲げ、「人に愛され、人に信頼され、人に尊敬される」医師の育成を目指す近畿大学医学部。厚生労働省から「特定機能病院」として認定された近畿大学病院を併設している。ゲノム生物学教室は2006年5月に開設。分子生物学、腫瘍生物学を専門に、基礎研究・トランスレーショナルリサーチならびに教育の推進に取り組んでいる。2025年11月、大学創立100周年記念事業ならびに医学部開設50周年事業の一環として、医学部および病院を新築移転予定。