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猫は自由気ままでマイペースな動物です。
そんな姿に癒され、愛猫にはいつまでも元気に長生きしてほしいと思う飼い主さまは多いのではないでしょうか。
とは言え、猫は体調不良を隠すのがとても上手です。そのため、元気そうに見えていても、実は不調を抱えていることも少なくありません。
日々の小さな変化に気づいてあげるためにも、普段の様子をよく観察し、ケアの習慣を持つことが大切です。
そこで、毎日のケア方法やチェックポイント、健康を守るための工夫についてまとめました。気まぐれで繊細な猫だからこそ、無理のない方法でしっかりと健康を支えてあげましょう。
猫はとても我慢強く、体の不調を隠す傾向があります。そのため、目に見える症状が出たときには、すでに病気が進行していることも珍しくありません。だからこそ、愛猫の普段の様子をよく知っておくことが、異変にいち早く気づくカギになります。
たとえば、以下のようなポイントに注目し、ちょっとした変化を見逃さないようにしましょう。
- 食欲や飲水量に変化はないか
- 毛づくろいの頻度が極端に増えたり減ったりしていないか
- 目ヤニや涙、耳のにおいや汚れに異常はないか
- 呼吸が荒い、くしゃみや咳が続くなどの様子はないか
- トイレの回数、尿や便の色・におい・状態に変化はないか
- 高いところに登りたがらない、ジャンプをためらう様子がないか
- お気に入りの場所にこもりがち、逆に落ち着きなく歩き回っていないか
- 触れたときに嫌がる・怒るなど、普段と違う反応がないか
- 鳴き声のトーンやタイミングが急に変わっていないか
特に猫はマイペースで、こうした行動の変化が穏やかで、飼い主さまが気づきにくいという傾向にあります。「なんとなく元気がない」「いつもとちょっと違うかも?」と感じたときこそ、体調不良のサインかもしれません。元気に見えても大きな病気が隠れていることもあり、気になることがあれば早めに獣医師に相談することが大切です。
愛猫の健康を守るうえで、毎日少しずつでも行ってあげたいケアがあります。
- ブラッシング
- 歯磨き
- 目・耳のチェック
- 爪・肉球のチェック
どれも難しいことではなく、愛猫とのスキンシップを楽しみながらできるものばかりです。
ただし、猫はストレスを感じやすい動物のため、無理しすぎず短時間で終わらせましょう。
猫のブラッシングの頻度は、長毛種は毎日、短毛種は週に2~3回(換毛期は毎日)が目安です。
猫はきれい好きで自分で毛づくろいをしますが、抜け毛を飲み込み過ぎると毛球症になる恐れがあります。特に長毛種の猫は毛玉ができやすく、そのままにしておくと毛球症のリスクが高くなるのはもちろん、皮膚トラブルの原因にもなるため、毎日のブラッシングを習慣にしましょう。
猫の歯磨きは、できれば毎日が理想ですが、難しい場合は週に2~3回を目安に行いましょう。
歯磨きは、歯周病を予防するためにも重要なケアです。
3歳以上の猫の80%以上が歯周病にかかっていると考えられており、歯周病は全身性疾患とも関連が深いため、毎日のケアと年に1度の獣医師のチェックをおすすめします。
目の周りや耳の中が汚れていないか、毎日チェックしましょう。
汚れていたら、お湯で湿らせたコットンやガーゼで優しく拭きとってあげます。猫の目ヤニや涙、耳のにおいや汚れは、健康のバロメーターです。目ヤニや涙、耳の汚れが多く見られる場合やにおいがある場合は、何らかの病気の可能性があるため早めに動物病院を受診しましょう。
猫は自分で爪とぎなどを行って爪のケアをしていますが、爪とぎによって爪の長さや爪先の鋭さが変わるわけではありません。鋭いままではどこかに引っ掛けて爪が折れてしまうことや、飼い主さまを傷つけてしまう恐れがあります。
また、爪が伸びすぎていれば巻き爪となって肉球に刺さることもあるため、日頃からチェックしてあげることが大切です。猫の爪切りの頻度は2~4週に一回が目安ですが、個体差があるため爪先が鋭くなってきたと気づいたタイミングで行うと良いでしょう。
愛猫の健康維持の基盤となるのは、毎日の食事と水分の管理です。
日々の食事内容や、十分に水分が摂取できているかをもう一度見直してみましょう。
食事には、猫に必要な栄養がバランス良く含まれている「総合栄養食」を選びましょう。
猫は肉食動物なので、肉や魚の動物性たんぱく質の摂取が不可欠です。また、猫は体内でタウリンを十分に作ることができないため、食事でタウリンを補ってあげる必要があります。
総合栄養食には必要な栄養がしっかり含まれており、毎日の食事から健康をサポートしてくれます。愛猫の年齢や体調、好みに合ったフードを選ぶのはもちろん、猫は警戒心が強いだけでなくグルメで好みにうるさい子も多いため、急な切り替えは避けて徐々に慣らしていくことが大切です。
猫はあまり水を飲まない傾向があり、これが腎臓病や下部尿路疾患の原因になることもあります。
猫が1日に必要な飲水量は体重1kgあたり50~60mlなので、水を飲んでもらえるように工夫してあげることが大切です。新鮮な水を複数の場所に置く、流水型の給水器を使う、ウェットフードを取り入れるなどの工夫で水分摂取量を増やしましょう。
なお、飲水量が急に減った、あるいは極端に増えた場合は病気の可能性もあるため、獣医師に相談してください。
トイレは猫の健康状態を知る上でとても重要なポイントです。
便や尿の量・色・におい・タイミングや回数などを毎日チェックし、普段と変わった様子がないか意識して観察することで病気の早期発見につながります。便秘、下痢、血便、頻尿、排尿困難などが見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。特に尿トラブルは命に関わることもあるため注意が必要です。
猫砂の掃除とあわせてトイレチェックを習慣にすると、ちょっとした異変にも早く気づくことができるでしょう。
愛猫に健やかな毎日を送ってもらうためには、日々のケアだけでなく定期的な健康管理も大切です。
動物病院での健康診断は、普段はわからない体の中の状態を知ることができます。
室内で暮らす猫であっても、年に1回は健康診断を受けることをおすすめします。血液検査や尿検査を行うことで、腎臓病や糖尿病、肝疾患などの早期発見につながります。
特に持病のある猫やシニア猫は、半年に1回の健康診断を受診すると安心です。
混合ワクチンの接種や、ノミ・マダニ、フィラリアなどの寄生虫予防も定期的に行いましょう。
こうした感染症の予防は、重い病気を未然に防ぐ手段となるだけでなく、かからなくても良い病気にかかるリスクを抑えることができます。混合ワクチンは基本的に年1回の接種が推奨、蚊を介して感染するフィラリアは5月~12月頃まで毎月、ノミ・マダニの対策も通年を通して毎月行うことが推奨されています。室内で暮らす猫であっても、外から人を介して持ち込まれるリスクがあるため、かかりつけの獣医師と相談しながら愛猫に合った予防スケジュールを立てることが大切です。
愛猫の健康を守るには、日々の「観察」と「ケアの習慣」がとても大切です。
ちょっとした変化を見逃さず、猫のペースに合わせてケアを行いましょう。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 毎日の観察 |
猫はとても我慢強く、体の不調を隠す傾向があります。 |
| 基本のケア |
ブラッシングや歯磨き、足や肉球/目や耳のチェックを定期的に。 |
| 食事と水分の管理 |
猫に必要な栄養がバランス良く含まれている「総合栄養食」を選びましょう。 |
| 定期的な健康管理 |
年に1回は動物病院での健康診断や予防医療を行い、病気の予防や早期発見を心がけましょう。 |
【2025年8月/文責:GMC株式会社 動物医療担当】













