酒井 和紀 院長
犬の目のトラブルは、動物病院でよく相談を受ける疾患の一つです。ここでは、日々の診察で多く遭遇する病気、そして飼い主さまからよく相談を受ける病気について解説させていただきます。
角膜に傷がつくことで、角膜の最も表層にある角膜上皮が剥がれ、角膜実質が露出した状態のことを指します。
主な原因として、
- 外傷:砂や草などの異物による刺激や、シャンプーなどの化学的な刺激
- 瞼(まぶた)やまつ毛の異常
- ドライアイ:直接的な原因というより、潰瘍が治りにくい・悪化する要因の一つ
などが挙げられます。
強い痛みを伴うことが多く、目のしょぼつきや流涙(涙が増える)、目を気にして掻くような仕草が認められます。細菌感染を併発すると黄色や緑色の眼脂(目やに)が出ることもあります。適切な治療を早期に行わないと、角膜に穴が空いてしまったり(角膜穿孔)、最悪の場合、視覚を失うこともあるため、これらの症状があれば早めにかかりつけの病院を受診することをお勧めしています。
また、短頭種(シーズーやフレンチブルドッグなど)では、瞬きがうまくできないことや角膜知覚(角膜が刺激を感じ取る力=角膜を守るセンサー)が低いことにより、傷が治りにくいことが知られていますので、より注意が必要です。
物を見るときにピントを合わせる働きをしている水晶体(レンズ)に不透明な部分(混濁)が生じる病気です。混濁の程度によっては視力の低下につながります。
主な原因として
- 遺伝
- 糖尿病などの内分泌疾患
- 網膜の病気に併発する場合
- 加齢
などが挙げられます。
原因次第では、若齢でも発症し、急速に白濁が進むこともあります。残念ながら、混濁した水晶体を透明に戻す点眼薬や内服はありません。そのため、視力を回復させるためには手術が必要になります。手術をしない場合でも、白内障が他の目の病気を引き起こすことがないよう、定期検査や点眼薬による内科治療がとても大切です。
涙が目からあふれて、毛の着色や臭いなどが認められる状態を指します。つまり、病気ではなく「状態」を表す症状名です。
主な原因として、
- 涙の量が多い:角膜潰瘍や結膜炎など、目の痛みを引き起こす病気が存在する場合
- 涙の排泄の問題
- 涙の質の問題
など様々な原因が考えられています。
しかし、まだまだ不明な点も多く、犬ごとに原因を丁寧に確認する必要があります。
また、涙が多いと思われがちですが、ドライアイの症状を併せ持つことも少なくありません。毛の着色という見た目の問題以上に、角膜やまぶたに病気が見つかることもありますので、放置せず眼科診察が可能な病院での検査をお薦めしています。
参考文献
Veterinary Ophthalmology, 6th ed.
Clinical atlas of canine and feline ophthalmology, 2015
最後に、毎日見ているはずの愛犬の目ですが、特殊な機械を使わなければ発見できない病気があったり、些細な症状に見えて実は重篤な病気が隠れていることも多いのが眼科疾患です。最近はインターネットなどで様々な情報を得ることができますが、正確性に欠けている場合や、犬種・年齢によっては誤った情報となりうることもあるため注意が必要です。健康な視覚を守るためにも、定期的なアイチェックをぜひ心掛けていただきたいと思います。
TOMOどうぶつ病院 代々木上原
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TOMOどうぶつ病院代々木上原 院長
酒井 和紀 先生













