このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
急性期から介護まで地域の幅広いニーズに応えるとともに、医療・介護の精度向上を追求している医療法人協仁会。その中核を担う小松病院が富士フイルムの医療クラウドサービスを導入した狙いとは?
導入の経緯や使用感などについてお話をうかがった。
総院長 一番ヶ瀬 明 氏
放射線科 診療放射線技師 富永 大輔 氏
放射線科/名誉副院長 大上 庄一 氏

(左)総院長 一番ヶ瀬 明 氏
(中央)放射線科 診療放射線技師 富永 大輔 氏
(右)放射線科/名誉副院長 大上 庄一 氏
一番ヶ瀬氏 当院は、大阪の北河内医療圏に立地し、救急医療を中心に在宅・緩和まで幅広い医療を提供しています。病床数は190床と比較的小規模ではありますが、人口約23万人の寝屋川市の基幹病院として、地域に根ざした医療の提供に注力しています。
富永氏 1ヵ月あたりの胸部単純X線検査数は750件程度、胸部CT検査数は胸腹部を含めて450件程度です。
一番ヶ瀬氏 私が専門としている循環器内科を含めて、特に内科系では胸部単純X線検査を日常的に行いますが、常に見落としのリスクがあります。特に、近年は技術の進化によって、胸部単純X線画像で微細な血管なども描出されるようになり、わずかな異常まで見極めることが求められています。そのような課題を感じていた中で、放射線科から「AI技術を活用した画像診断支援として、富士フイルムのサービスを導入したい」という提案があり、胸部X線CADサービスと肺結節検出サービスの導入を決めました。
大上氏 私は放射線科医として、毎日50~60件のCTの読影を行っています。従来のシャウカステンでの読影ではあまり気にならなかったのですが、現在のように薄いスライス厚の画像をモニターで読影していると、どうしても見落としのリスクが大きくなってしまうと感じていました。そうした中で、PACSやレポートシステム等の更新のタイミングに合わせて、AIによる画像診断支援サービスを導入できないかと考え、システム担当の診療放射線技師である富永さんと相談して、検討を始めました。そして、複数のサービスを比較検討した結果、長年にわたって医療AI開発を牽引し、蓄積しているデータも豊富であることに加え、新たなレポートシステム等との連動性も考慮して、富士フイルムの医療クラウドサービスの導入提案に至りました。


「肺結節検出サービス」を使用した読影風景
富永氏 現在は、コスト面を考えて、我々放射線技師の方で症例を選んで手動で解析をかけています。具体的には、フォローの患者さんで2~3回目の撮影の場合や、入院中の患者さんで肺の中が真っ白に写っているような場合等は除外し、解析が有効な症例に絞って使用しています。
一番ヶ瀬氏 当然ながら支援によってすべての異常が分かるわけではありませんが、疑わしい箇所がヒートマップで分かりやすく表示されるのは、大変ありがたいと思っています。特に、肺尖部や肺底部のような見づらい場所にカラー表示が出た場合は、より注意して見ることができますし、導入前よりも読影時の不安が軽減したと感じています。
富永氏 胸部X線CADサービスは、特に一番ヶ瀬先生を初めとする循環器内科の先生や一般内科の先生からの評価が高く、「安心感がある」という声をいただいています。
大上氏 胸部X線CADサービスの導入後、読影の精度が全体的に向上したため、CT検査の件数が増加しているように感じています。しかし、私はこれを問題として捉えているわけではなく、むしろ“有益なCT検査”が増えていると評価しています。
一番ヶ瀬氏 胸部単純X線検査は、医師にとっても患者さんにとってもポピュラーなものです。したがって、その検査の質向上が病院にもたらす効果はとても大きいと感じています。
大上氏 現在は、胸部CTの全例で肺結節検出サービスを使用しています。解析はクラウド上で行われますが、自動で行われるように設定しているため、読影時に解析を待つ時間が発生することもなく、スムーズに使用できています。
導入効果としては、読影のストレスや身体的な疲労が軽減したと実感しています。以前は、胸部CTの読影は負担が大きいのであまり好きではなかったのですが、肺結節検出サービスの導入後は、胸部よりも腹部の方が負担が大きく感じるようになりました。
また、併せて使用できる「肺区域ラベル」も便利ですね。肺結節検出機能で検出された箇所は該当する肺区域が表示されるので、主に結節疑い以外の異常で肺区域ラベルを参考にしています。
富永氏 医師の働き方改革に伴って、診療放射線技師が行う読影補助の重要性が高まっています。その中で、いわゆるSTAT画像報告にとどまらず、微妙な症例についても我々が主導的に報告して、多忙な医師をサポートしていく使命があると考えています。医療クラウドサービスは、そうした我々の読影補助業務においても強い味方になるツールだと思っています。
大上氏 将来的には、MRIやCT等の画像からあらゆる病変を自動で検出して診断まで行うようなシステムを開発して、医療従事者のさらなる負担軽減を実現していただければと期待しています。
一番ヶ瀬氏 慢性的な心不全の患者さんの日常診療では、胸部単純X線検査が基本になりますが、今後は胸部単純X線画像と血液検査・エコーを組み合わせたようなかたちで診断支援技術の開発に期待しています。また、循環器領域だけでなく、AI技術を活用した診断支援技術全般の最新情報についても引き続き提供をお願いできればと思っています。
- *1 AI技術のひとつであるディープラーニングを設計に用いた、コンピュータ支援検出ソフトウェア( Computer-Aided Detection=CAD)。導入後に自動的にシステムの性能や精度が変化することはない。
- *2 本サービスは胸部X線画像病変検出(CAD)プログラムLU-AI689型で実現しています。
販売名:胸部X線画像病変検出(CAD)プログラム LU-AI689型 承認番号:30300BZX00188000 製造販売業者:富士フイルム株式会社 - *3 本サービスは画像診断ワークステーション用プログラム FS-V686型、肺結節検出プログラム FS-AI688型、画像処理プログラム FS-AI683型で実現しています。
販売名:画像診断ワークステーション用プログラム FS-V686型 認証番号:231ABBZX00028000 製造販売業者:富士フイルム株式会社
販売名:肺結節検出プログラム FS-AI688型 承認番号:30200BZX00150000 製造販売業者:富士フイルム株式会社
販売名:画像処理プログラム FS-AI683型 認証番号:231ABBZX00029000 製造販売業者:富士フイルム株式会社
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