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千葉県臨床検査技師会では、大規模地震、台風などによる災害リスクに備えて、災害医療経験を持つ臨床検査技師を中心とする災害対策委員会が活動している。災害対策マニュアル作成や災害対策講習会など、委員の知見を活かした取組を実施、講習会では災害時における生化学検査として「富士ドライケム体験」を開催。大規模災害の危機感が高まるなか、災害医療経験に基づく実践型研修を軸に、災害支援で活躍する臨床検査技師の育成を推し進めている。
一般社団法人 千葉県臨床検査技師会
布施 義也 会長
小林 健 災害対策委員会 委員長
太田 麻衣子 災害対策委員会 副委員長
三上 昌章 災害対策委員会 委員
島村 匡紀 災害対策委員会 担当理事

布施 義也 会長(中央)
小林 健 災害対策委員会 委員長(右中央)
太田 麻衣子 災害対策委員会 副委員長(左中央)
三上 昌章 災害対策委員会 委員(右)
島村 匡紀 災害対策委員会 担当理事(左)
- 千葉県臨床検査技師会 災害対策委員会は、災害医療チームで活動する委員の知識や経験を活かした取組を精力的に展開
- 災害対策講習会で「発災シミュレーション」や「富士ドライケム体験」などの実践型研修を開催し、災害時に活躍できる臨床検査技師を育成
- 災害時の早急な検査環境整備や円滑な検査実施には、実践型研修や災害診療を見据えた平時からの装置運用が重要
布施氏 当会は1952年に「千葉県衛生検査技術者会」として発足し、現在は約2,640人・263施設の会員・会員施設を擁する団体に発展しています。県民の健康を守ることを目的に様々な事業活動を行っており、そのひとつが会員・会員施設の資質向上を促す活動です。新たな診療技術や診療課題に合わせて各種委員会・検査研究班を設立し、研修会や学術大会などの多様な取組を通して、臨床検査技師の知識・技術向上を援助しています。
布施氏 当委員会は、DMATなどの災害医療チームで活動する臨床検査技師をはじめとした11名で活動しています。主な役割は、会員・会員施設に向けた災害対策の推進と啓発、発災時の臨床検査機能の維持、被災地におけるDVT検査や感染対策の支援活動などがあります。千葉県は房総半島東方沖日本海溝沿い地震、南海トラフ地震、首都直下地震などの大規模地震、台風、大雨などの発災が懸念されています。発災時には当委員会が中心となり迅速に医療支援できるよう、平時から支援準備や情報共有ネットワークの構築を進めています。
小林氏 具体的には発災後速やかに受援・支援体制を構築するために、会員・会員施設や日本臨床衛生検査技師会と協定関係の支援団体との連携構築、災害訓練や研修会などを行っています。当委員会は大規模災害の活動実績はないものの、台風や大雨による災害時には、当会を窓口として会員・会員施設と被災状況を共有し、被災地域の医療体制の維持や、被災会員・会員施設が一日も早く通常業務に戻るための再建援助に尽力しています。
最近では、国内外の災害医療チームで活動する委員の知識や経験を活かした取組を精力的に展開しています。2024年4月に災害対策マニュアルを作成し、同年11月には県内の臨床検査技師を対象にした災害対策講習会を開催するなど、多様な取組を通して災害時に必要とされる能力や意識を高めています。
災害支援に資する人材を育成する上で重視しているのが実践型の取組です。同講習会では「発災シミュレーション」や「富士ドライケム体験」を開催し、受講者は実践を通して災害時に必要な判断力や装置の使い方を学びます。「富士ドライケム体験」では、給排水設備不要で災害時検査に適しているドライケミストリー装置のなかでも、測定項目数、操作性、即時性など災害診療に求められる条件を満たす「富士ドライケムNX700」を体験いただきました。
布施氏 災害対策委員会の活動には、災害医療に携わってきた委員の知識や経験、災害診療に対する熱い想いが込められています。代表的取組の詳細は後ほど各委員から説明させていただきます。
小林氏 「災害時の受援について考える」をテーマに、自施設の患者・検査室を守るためのプログラムを中心に構成しました。能登半島地震や令和元年房総半島台風の災害支援経験に基づく講演や受援計画に関する講演、「発災シミュレーション」に取り組むグループワーク、富士フイルムの協賛による「富士ドライケム体験」などの多岐にわたる講演を行い、32名の臨床検査技師が参加しました。
太田氏 「災害支援=他施設を支援する」と思いがちですが、発災時にまず考えるべきは自施設を守ることです。自施設で医療体制を維持できない場合には、周囲に支援・応援を求めなければなりません。「助けを求める」という発想を持つ臨床検査技師が少ないことから、災害対策講習会では受援を強く意識づけることを目標にしました。
受援を具体的にイメージいただくために実施したのが、「発災シミュレーション」に取り組むグループワークです。被災をした医療機関という設定のもと、参加者に発災から災害対策までを考えていただきました。時間を追うごとにひっ迫する施設状況をふまえて、適切なタイミングで応援要請を行うプロセスを体感いただけたと思います。
三上氏 能登半島地震の災害支援にあたった際に痛感したのは、検査環境を整備する難しさです。発災から2週間近く経過しても下水道機能が復旧せず、現地の自動分析装置を使えませんでした。その後、ある病院では「富士ドライケムNX700」が支援されましたが、現地の臨床検査技師は使い方を把握しておらず、平時から災害支援に使用される装置の扱いに慣れておく大切さに気づかされました。その経験をふまえて、多くの臨床検査技師にドライケムの簡便さや測定性能を認知いただけるよう、災害対策講習会で「富士ドライケム体験」を開催しました。
小林氏 兼ねてより富士フイルムが「ドライケム体験」の支援に取り組んでいることは知っていたので、「富士ドライケム」シリーズが体験装置に適しているか、災害医療の経験を持つ委員の皆さんに意見を仰ぎました。
三上氏 以前勤務していた医療機関で「富士ドライケム」シリーズを使用していました。操作方法がシンプルで使いやすく、ドライケミストリー装置の入門機として適していると判断しました。また、「富士ドライケム」シリーズはコンパクトの躯体で設置がしやすく、今後も被災地での運用が想定されるため、同装置の使い方を学ぶことは有事の際に役立つと思いました。

富士ドライケム体験の様子
島村氏 「富士ドライケムNX700」を初めて使いました。操作方法が簡便で覚えやすく、難なく使うことができました。
太田氏 国際災害派遣団体の機器装置選定に携わるなかで、「富士ドライケムNX700」の性能は認知していましたが、体験で躯体を持ってみると、想像よりも軽く、一人でも持ち上げることができました。これほどのコンパクトな躯体に多項目測定性能を搭載していることは単純にすごいと思います。
小林氏 全血から血漿を分離するフィルター「プラズマフィルターPF」は、遠心分離が不要になる画期的な製品だと感じました。
「富士ドライケム体験」は参加者から好評で、アンケートでは「操作がしやすく使いやすい」「コンパクトな躯体サイズで使い勝手がよい」などの好意的な感想が寄せられました。
太田氏 「富士ドライケムNX700」1台で比色26項目と電解質3項目を測定できる点は、被災地において大きなメリットです。また、複数の検査項目を「富士ドライケムNX700」1台で運用できれば、人員が限られる災害診療の効率化と負担軽減が期待できます。
不測の事態が起こる災害時には、緊急を要する生化学検査が発生する場合があります。「富士ドライケムNX700」は最大5検体を同時検査できるので、災害時の検査ニーズに対応できると感じます。
三上氏 「富士ドライケム」シリーズは陸上自衛隊の野外手術システムでも運用されています。100Vの家庭用電源でも稼働でき、上下水道設備が不要な点を加味すると、総合的に災害医療支援に適した生化学検査装置だと言えます。
小林氏 がれきの下敷きになった被災者には、CKやKを測定してクラッシュ症候群を診断に用います。CRPも測定できるため、感染症や炎症の診断にも役立つと思います。
三上氏 災害現場では被災者だけでなく、発災前から医療機関に入院する患者の処置が重要になります。「富士ドライケム」シリーズは多項目を測定可能で、被災下でも一定の生化学検査水準を維持できると考えています。
太田氏 災害時に求められる検査装置は水を必要とせず、小型軽量でバッテリー駆動に対応し、医師や看護師も使用できる簡便性を備えていることが前提条件になります。国際災害支援においては、過酷な気象条件下で正常に稼働する耐熱性・耐寒性も求められます。
島村氏 災害支援を終えた後を考えると、シンプルでわかりやすい操作性に加えて、複雑なメンテナンスが不要な医療機器が重宝されると思います。
三上氏 「富士ドライケム」シリーズでDダイマーなどの血液凝固系の項目も測定できると、災害医療のニーズにより一層応えられる生化学検査装置になると思います。
太田氏 国際災害派遣では装置重量の観点から他社の小型ドライケミストリー装置を運用しているのですが、電解質やCRPを一緒に測定できないのが欠点です。「富士ドライケムNX700」はこれらをまとめて測定できるので、世界の災害現場でも運用できるよう装置のさらなる小型化をお願いしたいです。また、国際災害派遣で使用している血球計数用のドライケミストリー装置が外国製でメンテナンスなどに手間がかかるので、血球計数用のドライケムを開発していただきたいです。
島村氏 災害時に迅速かつ適切な医療・救護活動を行えるよう、臨床検査技師の災害支援意識を高めておくことが大切です。災害対策講習会では、講師として広域災害・救急医療情報システム「EMIS」を紹介しました。各医療機関が被災状況や傷病者の受入状況などの情報を共有することが、迅速かつ適切な受援・支援につながります。臨床検査技師の皆さんには「EMIS」の役割を理解いただいた上で、有事の際には情報共有を大切にしていただきたいです。
三上氏 「富士ドライケム」シリーズを有事に備えて使い慣れておくには、通常の生化学検査におけるバックアップや、救急部・緊急処置室での緊急検査装置として運用しておくのもひとつです。「富士ドライケム」シリーズを、早急な生化学検査が求められる災害診療を見据えて平時から運用しておくことで、不測の事態が起こる災害時でも抵抗なく使用できると思います。
さらに、災害支援を遂行するためには、平時とは異なる「災害下の考え方」で診療にあたることが肝心です。限られた医療環境と人員で多くの患者様を滞りなく診療する場合、診断の正確性を一定水準に保ちつつ、迅速性を最大限まで高めなければなりません。災害支援に向けた大切な心構えとして、この場を借りてお伝えさせていただきます。
布施氏 前災害対策委員長を務めた経験から、「災害はいつ起こってもおかしくないもの」という認識の上で当会運営にあたっています。当会は発災時に県内検査部門の窓口となり、災害支援を適切に行う使命があります。災害対策委員会には小林委員長をはじめとした心強いメンバーが揃っておりますので、スピード感をもって災害支援の体制づくり・人材育成に取り組んでいきたいと思っています。
小林氏 当委員会は災害対策マニュアルの作成、災害対策講習会の開催など、設立以来、委員一丸となり精力的に活動してきました。引き続き会員・会員施設に災害対策に有益な知識や技術を提供できるよう、災害支援経験に基づく講演や「富士ドライケム体験」などの幅広い取組を継続していきます。
小林氏 全国の臨床検査技師会様には、「富士ドライケム」シリーズをはじめとした災害診療で活用される機器装置を体験できる機会を多く提供していただきたいです。
布施氏 「災害大国」と呼ばれる日本では、多くの臨床検査技師会様が積極的に災害対策を実施しています。当会も県内外の災害支援を重ねるなかで、災害訓練や平時の備えの重要性をひしひしと実感しています。大規模災害がいつ発生するか予断を許さない状況だからこそ、全国の臨床検査技師会が災害支援への想いをひとつにして、臨床検査技師一人ひとりが実践的に学び成長できる支援をしていければと思います。
- 販売名
富士ドライケム NX700
- 承認番号
14BlX10022000125
- 製造販売業者
富士フイルム株式会社
- 販売業者
富士フイルムメディカル株式会社
- 富士ドライケムNX700のカタログ
- 本記事のPDFデータ













