このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を専門的に診療する日本橋れいわ内科。
生活習慣病をトータルで診療・指導する同院は、患者ごとの症状や体調を把握するため、各種検査を重要視している。
開業時から運用する富士フイルムの検査装置・システムの有用性について同クリニック理事長・井内裕之氏にうかがった。
- 検査結果の当日報告ニーズに応える、測定速度の速い生化学検査装置を導入
- 様々なメーカーの検査装置と連携してデータ管理が可能なシステムを運用
- 症状や治療薬の副作用を即時確認でき、患者の満足度を高める院内検査に注力
井内氏 糖尿病、高血圧などの生活習慣病を専門的に診療するクリニックです。糖尿病専門医・指導医、高血圧専門医、総合内科専門医たちが、専門性の高い治療と生活習慣を改善する適切な情報提供を行っています。開業以降、多くの患者様にご来院いただき、2024年1月に受け入れ体制を強化した新施設に拡張移転しました。
当クリニックを構える東京・日本橋エリアは都内屈指のオフィス街で、来院される患者様の多くは若年層のビジネスパーソンです。生活習慣病は自覚症状が現れにくく、不健康な生活習慣が続くと重篤な病気につながりかねません。生活習慣病の予防、早期発見、早期治療には継続的な通院が欠かせないため、患者様の通院負担を和らげる診療の仕組みづくりに努めています。
井内氏 私は卒後から一貫して大学病院で勤務し、糖尿病・代謝・内分泌内科で臨床と研究に従事してきました。もともとは臨床よりも研究への関心が強かったのですが、大学病院で日々診療にあたるなかで、患者様と接しながら疾患を快方に向かわせることに適性を感じるようになりました。こうした医師としての考え方の変化がきっかけになり、私にできる生活習慣病診療で多くの人々の健やかな暮らしに貢献したいという想いが大きくなりました。
開業するにあたり目指したのは、患者様に今までにない新しい価値を提供できる医療施設です。生活習慣病の予防や快方を目指す患者様に前向きな気持ちで通院いただけるよう、効率的な診療を支援する医療機器とデータ処理システムと、長年にわたる研究で得た知見を組み合わせた当クリニックを開業しました。
井内氏 検査結果を採血当日に得たいと考えていました。医療界全体では、血液検査結果を1か月・2か月後に患者様へ説明するのが一般的です。ただ、検査結果をいち早く得ることは患者様と当クリニックの双方に大きなメリットがあります。
患者様の心理としては、採血から時間を空けずに検査結果を知りたいものです。症状の改善状況や体調を気にかけている患者様にとって、採血当日に検査結果と医師からのフィードバックがないと不安がふくらみます。患者様の不安を解消して継続的に通院いただくためには、院内で検査を迅速に行える検査装置が必要でした。
当クリニックの立場では、検査結果を採血当日に得ることで即時的かつ適切な治療が可能になります。糖尿病をはじめとする生活習慣病治療の進歩にともない、医師は診療時に治療効果だけでなく治療薬の副作用にも目を光らせることが重要になりました。万が一、検査から2か月後に副作用が出ていた場合、その2か月を遡って分析しなければならず、どうしても後手後手の治療になってしまいます。治療にダイナミックさをもたらし、患者様のリスクマネジメントを徹底する観点から、院内で検査結果が迅速に判明する装置を探しました。
井内氏 測定速度の速さと検査業務を効率化できる仕様が決め手になりました。生化学検査は採血した血清を遠心分離した上で測定を行うため、どうしても時間がかかってしまいます。「富士ドライケムNX700」は測定速度が比較的速く、全血から血漿を分離するフィルター「プラズマフィルターPF」を使用すると遠心分離が不要になるため、生化学検査の検体処理と検体測定の両面で時間短縮が期待できました。
測定項目は比色27項目と電解質3項目が測定可能で、生活習慣病を多角的に診断・治療する当クリニックにとって有意義な仕様だと思いました。最大5検体まで同時測定可能で、検体ごとに測定項目が異なっていても測定速度が速い点も魅力です。コンパクトな躯体サイズは検査室の限られたスペースに収まりよく設置する上で重要でした。
採血管より全血を吸引し血球濾過膜を通過させることで測定用の血漿を抽出して測定する。
他社メーカーの生化学検査装置と比較した結果、「富士ドライケムNX700」は柔軟かつ自由度の高い検査ができると判断しました。さらに、私自身が前勤務先で「富士ドライケム」を使用した際に実感した使いやすさと、40年以上の歴史を誇る「富士ドライケム」シリーズの信頼感も後押しして導入を決めました。
併せて、「富士ドライケム」シリーズらしい迅速な測定性能をもち、インフルエンザウイルス、肺炎マイコプラズマ、新型コロナウイルスなどに対応した感染症検査装置「富士ドライケム IMMUNO AG2」も導入しました。
井内氏 当クリニックを開業するにあたり、DX(デジタルトランスフォーメーション)を駆使して予約から始まり、受付、診療、会計、処方箋受取まで、効率的な患者フローを構築したいと考えました。生活習慣病の治療方法や医療機器が年を追うごとに発達しているように、データ処理システムも技術進歩が顕著です。私は診療の効率化のポイントは検査データと電子カルテを結びつけるシステムにあると考え、「富士ドライケムNX700」と同系統システムの「MiniNet-Neo」を導入しました。
「MiniNet-Neo」は、「富士ドライケムNX700」と「富士ドライケム IMMUNO AG2」はもちろん、各種検査装置の検査データを自動集計・一元管理し、電子カルテと連携できます。検査データを紙カルテで管理する場合、スタッフの時間と労力を費やすだけでなく、紙カルテの取り違えや記入ミスなどのヒューマンエラーが生じるリスクがあります。同システムは検査オーダーごとのバーコード運用も可能で、患者フローの主軸である診療面の効率化とヒューマンエラー防止に寄与すると判断しました。
井内氏 基本的には総コレステロールをはじめとした脂質項目や、肝機能を診るγーグルタミルトランスペプチダーゼなどの酵素項目を測定しています。肺疾患・心疾患のある患者様ではC反応蛋白やクレアチンフォスフォキナーゼアイソザイムMBといった項目も測定しています。1日あたりの検査数は40~60件で、患者様の希望に応じて採血当日の検査結果報告に対応しています。生化学検査のうち特殊項目に限り外部の検査会社に委託するため、ほとんどの生化学検査は院内検査で行っています。
現在は「富士ドライケムNX700」を1台追加した2台体制で運用しています。今後の患者数増加を見据えた検査体制の強化、一方の装置に万が一トラブルが発生した場合でも滞りなく生化学検査を遂行するためのバックアップとして追加導入しました。
井内氏 導入前に抱いていた印象よりも短時間で測定できています。測定速度の速さは患者1人あたりの診療時間に現れており、患者様が来院してから採血・測定・結果判定まで20分程で完了しています。
井内氏 初めて使用する看護師もいましたが、院内ルールを作成したことで問題なく運用できています。シンプルな操作手順も円滑な検査を後押ししており、現在では看護師1人で1日あたり最大40件の検査が可能です。
井内氏 採血・検査から時間を空けずに結果を得られるので、開業前に懸念していた治療薬の副作用や症状の早期確認を実現できています。患者様の立場では、「採血当日に検査結果を報告できる」という特長は満足度向上につながっています。開業してみると、多くの患者様が採血当日の検査結果報告を希望することがわかりました。限られた時間のなかで来院される患者様のニーズを応えられている現状は、「富士ドライケムNX700」あっての成果です。施設運営を行う立場から同装置の測定速度を評価すると、検査結果が15分前後で判明する場合と1か月・2か月後に判明する場合を比べると、競合施設との差別化において大きな差があると思います。
迅速な測定性能は急患対応においても貢献しています。救急患者様の状態確認には医師による診察、バイタルデータ確認などの方法がありますが、必要な情報をすべて把握できるとは限りません。当クリニックの急患対応では、生化学検査によって疾患の原因を特定できた症例はいくつもあります。即時的な検査・結果判定のおかげで、当クリニックでの治療もしくは二次診療施設への紹介を速やかに判断できています。
井内氏 「富士ドライケムNX700」をはじめ、「富士ドライケム IMMUNO AG2」、血球分析装置、HbA1c測定機器、尿分析装置、免疫測定装置などの各種検査機器と電子カルテを結ぶ中核システムとして運用しています。検査オーダーや検査結果の集計には検体IDバーコードを活用しています。
井内氏 各種検査機器の検査データを効率的に一元管理できています。様々な検査機器を駆使して生活習慣病を治療する当クリニックにとって、メーカーを問わず検査機器を連携できるのは大きなメリットです。患者様ごとの検査データを一元管理・自動集計できるため、検査データの取り違えを防ぎ、スタッフの集計業務の手間を軽減できました。今では当クリニックの医療の安全性を担保しつつ、診療効率を維持する上で必要不可欠なシステムになっています。
井内氏 患者様の「検査結果を早く知りたい」というニーズに応え、患者様の満足度を高めます。院内検査を行う上で、検査装置の導入コストやデータ管理の労力を懸念する施設様もあるかと思います。院内検査を開業時から実施してきた私としては、コストや労力を上回るたしかなメリットを実感しています。各施設状況に応じて院内検査を取り入れる方法は必ずありますので、「MiniNet-Neo」を活用した効率的な検査システム構築などを検討してみてはいかがでしょうか。
井内氏 「糖尿病をはじめとする生活習慣病の治療といえば日本橋れいわ内科」と評価いただけるよう引き続き精進していきたいです。開業以来追求してきたスムーズな診療や丁寧なコミュニケーションが実を結び、患者様は着実に増えています。生活習慣病の予防・治療は、患者様の生活習慣病に対する考え方がカギになります。「富士ドライケムNX700」と「MiniNet-Neo」に基づく迅速な検査サービスで、患者様が前向きに生活習慣病の治療や生活習慣の改善に取り組む流れをつくっていきたいです。
井内氏 「富士ドライケムNX700」の測定速度と検査精度はそのままに、同時測定検体数と検査項目数を増設した新たな装置開発を期待しています。当クリニックの患者数と検査数は増加傾向にあり、スタッフの工夫だけでは効率的な検査遂行に限界があります。40年以上にわたり生化学検査装置を開発してきた富士フイルムの技術力を活かして、より多くの検査数に対応する装置を開発いただければありがたい限りです。
井内氏 開業の苦労は諸先輩方から聞いていましたが、実際に開業してみると想像以上に大変なことがわかりました。一方で、開業したからこそ得られるやりがいや達成感もあります。自分を信じて必死に取り組む姿勢があれば、立ちふさがる困難を乗り越え、患者様からの信頼を確立できると思います。
理想の医療施設をかたちにできるか不安な方は、開業をサポートしてくれるパートナーを探してみてはいかがでしょうか。富士フイルムをはじめ、質の高い医療機器・システムを手掛けるメーカーはありますので、きっと理想の医療施設を実現できるはずです。
- 販売名
富士ドライケム NX700
- 承認番号
14BlX10022000125
- 製造販売業者
富士フイルム株式会社
- 販売名
富士ドライケムIMMUNO AG2
- 承認番号
14B1X10022000123
- 製造販売行う者
富士フイルム株式会社
- 富士ドライケムNX700のカタログ
- 富士ドライケム IMMUNO AG2のカタログ
- 本記事のPDFデータ