このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
院長
坂本 直人 先生
クリニックの立場からハイレベルな内視鏡診療を実施すべく、2020年9月、千葉県浦安市に開業したさかもと内視鏡クリニック。順天堂大学付属順天堂医院では内視鏡室の室長も務め、大腸内視鏡診断・治療においては国際学会でも講演や内視鏡治療の指導なども経験してきた院長・坂本直人先生に、LED光源を搭載した内視鏡システム「ELUXEO 7000」を導入した背景、質の高い検査に寄与する特殊光の活用状況などについてお話をうかがった。

私は、順天堂大学付属順天堂医院で大腸内視鏡のチーフとして長年勤務し、分院や関連病院はじめ多くの施設から大腸内視鏡検査や治療を必要とする患者さんをご紹介して頂きました。キャリアを重ねる中で感じたことは、大腸内視鏡による診療という領域において、少なからぬ患者様が単一の医師、単一の医療機関で診療を完結することができず、同施設内でも上級医が再度施行したり、地域外も含めて複数の医療機関に足を運ばざるをえない現実でした。また、その多くは十分な技術と診断能力があれば外来で検査から治療まで同時に行うことが可能だということでした。内視鏡を用いたあらゆる診療を地域医療の入口であるクリニックで一度に診断から治療まで完結できるのであれば、患者さんにとって極めて利便性が高いと考えたことが、当クリニックを開業した理由の一つです。
開業から1年数ヶ月が経ち、近隣の医療機関からの紹介やウェブサイトなどをご覧になった患者様も増えており、1日当たりの検査数は、上部内視鏡6〜7件、大腸内視鏡7〜8件程度で推移しています。大腸ポリープや早期癌のほとんどは1回の検査で診断から治療まで完結することができており、当クリニックの役割に手応えを感じています。
患者様にとって内視鏡は「怖い」「痛い」といったイメージがあると思いますが、だからこそ患者様の不安な気持ちに寄り添い、診療から診断、内視鏡的治療に至るまで安全に苦痛なくできるように心掛けています。
手指消毒・換気といった基本的な取り組みのほか、アイガードやガウンを使用し、患者様には内視鏡検査時もクリニックで用意したマスクを着用して頂いております。また、アクリル板の感染防御機材なども用意しております。また、当院は内視鏡専門のクリニックであり、発熱や咳などの呼吸器症状のある方などの受診は控えさせて頂いており、検査前には電話連絡を行い、感染の未然防止にも努めております。
海外の学会でESD等の内視鏡治療のライブデモンストレーションを行う際に富士フイルムの内視鏡システムを使用する機会が増え、症例を通じて機能性の高さや操作性の進化を強く実感しました。会社の取り組みやスタッフの誠意から富士フィルムの内視鏡分野における将来性を感じたのも導入決定の大きな要因となりました。
富士フイルムのスコープは近年、操作性が飛躍的に向上しております。大腸内視鏡に関しても開院してまだ症例数(約1700例)は少ないものの、他院で挿入できなかった患者様も紹介して頂いている中で、現時点で盲腸まで到達できなかった症例*もなく、他社と比べても遜色ないレベルにあると感じております。
先端部が柔らかく、反転操作などがしやすいため襞裏の観察がしやすい利点も感じています。とはいえ、当初は柔らかさや軽さに違和感を覚えたことも事実ですが、スコープの特性を理解すれば多くの症例は軸保持短縮法で挿入可能ですし、受動湾曲などを意識して使用することで難易度の高い症例も腸に負担を与えずスムーズに対応できます。
- * 全周性狭窄を伴う進行癌により物理的にスコープが通過できない症例を除く。
上部内視鏡検査、胃十二指腸においては白色光やLCIを主体とし、早期癌などが疑われた場合にはBLIで拡大して入念に観察しています。食道は早期癌の発見から診断にいたるまでBLIが極めて有用であり、NBI同様欠かせないものだと感じています。一方、大腸においては、挿入時に白色光を使い、抜去時にはLCIの使用を基本としていますが、状況に応じて臨機応変に使い分けています。当初はSSL(sessileserratedlesion)などの病変に対してはLCIでは少し見づらい印象を持っていましたが、慣れてくるにつれて見やすくなってきました。また、コントラストの良さにより、小さな平坦型腫瘍の検出もしやすくなっているように感じております。また、BLIによる拡大観察は画像も鮮明で、JNET分類による診断のもとその場で適切な治療を行うことができます。

WLI撮影画像

LCI

BLI 拡大
これから多くの先生方にとって、病変の検出や鑑別に AI技術を用いることが検討課題の一つになると思います。大腸内視鏡検査においてAIの力を最大限に引き出すためには、検出は人の目では発見しにくいII cやLST-NG等に絞ることと、死角を少なくすることが重要だと考えています。その課題を克服するためにも、スコープに関しては、操作性のみならず、視野角の面で も一層の進化を期待しています。
〒279-0001 千葉県浦安市当代島1-1-11 3階

















