このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
名誉教授
三輪 洋人 先生
内視鏡センター長
富田 寿彦 先生

(左)三輪先生(右)富田先生
阪神地区を代表する基幹施設の一つとして、診断、治療の両面において高度な内視鏡診療を提供する兵庫医科大学病院 消化管内科。AI技術を活用して大腸ポリープ等の病変のリアルタイム検出・鑑別を支援する内視鏡診断支援機能「CAD EYE」の使用感や導入効果についてお話をうかがった。
三輪氏 現在、当科では1.内視鏡を用いた消化管疾患の診断と治療、2.進行消化管がん患者に対する化学療法、3.機能性消化管疾患の診断と治療、の三つを大きな柱とした診療に注力しています。
まず、1.内視鏡を用いた消化管疾患の診断と治療としては、高度な内視鏡治療手技を駆使して年間200例を超える早期食道がん、胃がん、大腸がんの治療を行う中で、近隣の病院で治療できない難しい症例などに対しても良好な成績を残しており、阪神地区における早期がん内視鏡治療のハイボリューム・センターとして認知されています。
次に、2.進行消化管がん患者に対する化学療法においては、特に食道がん、胃がんの治療に力を入れており、現在では消化管がんの抗がん剤治療においては関西を代表する施設の一つとなっています。
そして、3.機能性消化管疾患の診断と治療について、我々が取り組んでいる胃食道逆流症、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などの研究は、日本だけでなくアジアやアメリカ、ヨーロッパにおいても知名度を得ていると自負しています。
富田氏 全体の平均年間検査数は約1万5,000件で、2020年度はコロナ禍の影響によって10%程度減少しましたが、2021年度は約1万4,000件まで回復しました。検査の内訳は、上部が約7,000件、下部が約6,000件、ERCPが500件、その他が約500件で、下部については年々増加しています。
三輪氏 当科では以前から独自のAI開発を含めたさまざまな検討を行い、消化管外科においてもAIによる手術支援技術の開発を行っています。また、私が2021年3月まで副理事長を務めていた日本消化器病学会においては、「AI・ビッグデータ」を「難治がん」、「食」、「再生医療」と並ぶ研究の柱として多様な取り組みを進めています。
三輪氏 画像が鮮明で、操作性についても違和感がないと感じています。
富田氏 従来からの画質の良さに加えて、スコープの硬度調整が可能となったことで操作性がさらに向上したと思います。また、LCIはルーティン検査における病変の拾い上げに有用だと感じています。
富田氏 当院には若手の医師も多数在籍していますので、CAD EYEを若手の支援ツールとして活用することで、検査精度の維持・向上に加えて、教育面でも効果があるのではないかと考えました。また、AI技術を用いた最新のツールということで、研修医や学生のモチベーション向上に期待するとともに、その有用性について検討して情報発信をしていきたいと考え、三輪教授の指揮の下で導入に至りました。
富田氏 大腸内視鏡において見落としやすいとされるのは、フラットな病変と微小病変の二つです。まだ検証段階ではありますが、CAD EYEは、そうした見落としやすい病変について多少遠くからでも検出してくれるという感覚があります。また、検出音や画面表示についても違和感がなく、病変を囲んで表示する水色の枠は、粘膜の色調とのコントラストで視認しやすいと感じています。
なお、検出支援機能は、いわゆる“吸引ダコ”や便塊なども拾い上げる傾向がありますが、検出感度が高いことは見落とし防止の観点からはメリットだと思いますし、医師が確認すればすぐに判断できるので問題はないと考えています。

白色光での観察

枠で囲まれた部分で病変を検出し、検出音を鳴らす
(病変検出支援機能)

病変が腫瘍あるいは非腫瘍の鑑別を行う
(疾患鑑別支援機能)
富田氏 大腸の場合は腺腫がメインであり、比較的炎症の少ない大腸においては非腫瘍と腺腫の鑑別は比較的容易と考えます。そうした意味において、エキスパートの内視鏡医が微小病変の診断に関して腺腫と非腫瘍を迷うケースは少ないと思いますので、実際の有用性については詳細なデータの蓄積が必要だと考えています。その一方で、初学者や若手の医師については、鑑別支援を活用することで自信を持って診断が行えるというメリットがあると思います。
富田氏 支援機能は手元のボタン操作のみでオン/オフが切り替えられるため、ワークフローに変化はありません。
検査時間について、導入前は、緩やかにスコープを抜いてこないと拾い上げないのではないかという懸念がありましたが、実際には従来通りの観察法で問題なく使用できています。また、私が観察時に使用しているLCIは白いものはより白く、赤いものはより赤く、血管も鮮明に描出されることもあり、検出された箇所は瞬時に判断できるので、検査時間に影響はありません。
富田氏 かなりあると思います。内視鏡医は、細かな病変を見落とさないように、常に心掛けており、特に大腸の場合は病変を見落としやすいという意識がありますので、CAD EYEによる支援がもたらす安心感は大きいと思います。加えて、当院では検査室1室で午後から5~6例の大腸内視鏡を行っているため、1例あたりの効果が積み重なることで大きな負担軽減につながると実感しています。当院の内視鏡センターには7室の検査室があり、そのうちの1室でCAD EYEを使用していますが、私自身は、できればCAD EYEを使用して検査をしたいと思うようになりました。
三輪氏 CAD EYEの検出支援、鑑別支援は、AI技術の活用が進んでいく第一歩だと思っています。今後、大腸内視鏡のスクリーニングの意義がますます高まっていく中で、検査の自動化を含めたAI技術の活用をさらに進めて、質の高い医療をすべての国民に提供できる環境を整備する。それこそがAI技術を活用した内視鏡システムのゴールだと考えています。
富田氏 AI技術を活用することで、診断支援のみならずレポートシステムとの連携も含めたワークフロー全体を支援するツールの開発に期待しています。
三輪氏 富士フイルムが展開している幅広い事業のノウハウや技術を活かし、今後の医療の可能性をさまざまな方向から検討することで、医療全体の変革を目指してほしいと思います。

















