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麻酔科領域で活用される「Sonosite PX」~神経ブロック手技の精度や安全性の向上に寄与~

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

横浜市立大学附属病院 院長
横浜市立大学 麻酔科学教室 教授
後藤 隆久 先生
横浜市立大学附属病院
麻酔科 診療教授/手術部 部長
水野 祐介 先生
横浜南共済病院 麻酔科 部長
渡邊 至 先生

ベッドサイドユースの人間工学に基づいて設計されたデザインと高精細な画像で、迅速な診断をサポートする超音波画像診断装置「Sonosite PX」。

横浜市立大学附属病院の水野祐介先生と横浜南共済病院の渡邊至先生に使用感や有用性などについてお話をうかがった。

(左)後藤 隆久 先生(中央)水野 祐介 先生(右)渡邊 至 先生

横浜市立大学附属病院の麻酔科の特長は。

水野先生 当院の麻酔科は、手術麻酔を核として、集中治療、救急医療、ペインクリニック・緩和医療の各分野にまたがる総合診療を行っています。そして、研究においては基礎研究と臨床研究の両面で力を入れています。

横浜南共済病院の麻酔科の特長は。

渡邊先生 当院は横浜市立大学附属病院から最も近い距離にある関連施設として、日々附属病院と密接な連携をとりながら診療にあたっています。手術室については、20近くある関連施設の中で2番目に新しく改築されたこともあり、最新の部門システムやエコー、外科用Oアームなどを備えていることに加え、無線LANを介した術中画像の転送・連携や手術部スタッフへのインカムの導入など、IT技術の活用も進んでいます。

SonoSite製品との出会いは。

水野先生 私は、SonoSite M-Turboが最初で、その後に登場したSonoSite Edgeについては、画質の良さもさることながら、手術室外にも持ち出しやすいコンパクトさや経食道プローブが使用できる点などにも有用性を感じました。

渡邊先生 私は1999年に登場したSonoSite 180が最初でした。当時のエコーは大型化・高機能化という流れがありましたが、私が臨床麻酔と併行して携わり始めていた救急の現場では、200kg近くある装置を頻繁に移動させるのは難しく、高機能化によって操作に専門性が要求されたため、エコーが活用しづらい状況でした。

そうした時に、高速起動でコンパクト、シンプルな操作性で手軽に使えるエコーとしてSonoSite 180が登場し、すぐにファンになりました。その後、M-Turbo、Edge、Sonosite PXと使用してきた中で、圧倒的な立ち上がりの速さと画質のバランス、プローブと本体の堅牢性は、SonoSite製品の変わらない魅力だと感じています。

PXの使用用途は。

水野先生 主に手術室で使用し、用途としては中心静脈カテーテルや末梢動脈カテーテル、末梢神経ブロックが非常に多く、その他に心エコーでも使用しています。その中で、神経ブロックについては、画質の良さからPXを使用する医師が増えてきている印象があります。

渡邊先生 基本的には水野先生と同じで、手術室における神経ブロック、血管確保、POCUS(Point-of-care Ultrasound)が中心になります。

総頸動脈プラーク症例

閉鎖神経ブロック症例

コンベックスプローブ(C5-1)の評価は。

水野先生 主に、腰方形筋ブロック(QLB)や座骨神経へのアプローチなどで使用し、良い画質が得られると感じています。

渡邊先生 実は、Edgeのコンベックスプローブには少し物足りなさを感じていたのですが、PXのコンベックスプローブは、その比較においてだけでなく、今の時代に求められる性能を十分に備えているという意味でも非常に良くなったと思います。最近は、硬膜外麻酔が減り、体幹のブロックが増えたことで、コンベックスの使用機会が多くなってきているため、今回の進化がもたらす価値は大きいと感じています。

超音波画像診断装置の画質が向上することで生まれるメリットは。

渡邊先生 神経や血管がしっかりと確認できることで、手技の精度が向上するのはもちろん、我々としても不安なく手技ができます。

水野先生 細かいところまで見えて、確認できることで、手技の安全性も高まると思います。その一方で、教育という観点では、高画質なエコーで慣れてしまうと、使用できる装置の幅が狭くなる可能性があるため、基本的な技術を身につけるまでは、さまざまなエコーを使用した方が良いと考えています。

渡邊先生 教育面ではさまざまな考え方があると思いますが、私は高画質なエコーが使用できる環境であれば、若手のうちから積極的に活用していった方が良いのではないかと考えています。

PXの操作性は。

水野先生 操作部分はタッチパネルと必要十分なボタンで構成されていて、従来よりも使いやすくなったと感じています。

渡邊先生 操作パネルの高さや角度が自由に調整できるようになった点には好感を持っています。神経ブロックを行う際は、立ち位置が非常に重要になりますので、画面の位置や角度を自由に変えられることで手技が行いやすくなりました。操作部分に関しては、ゲインのダイヤルが使いやすく、TGC(Time Gain Control)も有用だと感じています。

PXの機能、仕様については。

水野先生 装置の使い方やスキャン方法を3D動画で解説する「ラーニング機能」は、教育用途として手術直前の確認などで有用だと思います。

渡邊先生 ラーニング機能は、多言語対応になっている点も良いと思いました。他に、あらかじめ配置したドックに接続するだけで充電できる「パワーパーク」はM-Turbo、Edgeでも使用していて、高い機動性を発揮していると思います。

今後、富士フイルムに期待していることは。

水野先生 エコーに関しては、今後も画質、機動性、耐久性のトータルバランスを追求しながら、さらなる機能向上を実現していただければと思います。そして、エコーのみならず、さまざまな装置やシステムの相互接続性を向上させるとともに、将来的にはICU用や手術室用のような製品パッケージの提供にも期待しています。

渡邊先生 製品や技術の進化は素晴らしいことだと思いますが、同時に、人間もそれらの進化に歩みを合わせていく必要があります。その点で、富士フイルムは、従来から「SonoSite Japan Education Center」などを通じた情報発信に注力し続けており、私はそうした企業姿勢に大きな価値を見出しています。特に麻酔科領域においては、エコーの進化によって医療のスタイルが大きく変わりつつあり、麻酔科医全体のスキルアップが求められていますので、今後も質の高い製品の開発と教育活動を併せて継続していただければと思います。