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第33回日本乳癌検診学会学術総会が2023年11月24日(金)~25日(土)の2日間、福岡国際会議場(福岡県福岡市)で開催された。24日に行われた富士フイルムメディカル株式会社/富士フイルムヘルスケア株式会社共催のランチョンセミナー3では、聖マリアンナ医科大学附属研究所 ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックの後藤由香氏が座長を務め、公益財団法人岡山県健康づくり財団 保健部 臨床検査課の中川美名子氏、トヨタ自動車株式会社 トヨタ記念病院 健診センターの伊藤真矢氏が講演した。

聖マリアンナ医科大学附属研究所
ブレスト&イメージング
先端医療センター附属クリニック
後藤 由香 氏

公益財団法人岡山県健康づくり財団
保健部 臨床検査課
中川 美名子 氏
今回、富士フイルムヘルスケア株式会社が開発したAI技術*1を用いた支援技術について使用経験を紹介する。
画像処理のノイズ除去技術「DeepInsight」とフルフォーカス技術「eFocusing PLUS」の利点として、電気ノイズのみを除去することでコントラストが良く視認性が向上していること、表層から深部まで一目で観察可能であること、フレームレートが下がらないので追従性が良好であることが挙げられる。これにより、検査時の疲労の軽減、検査時間の短縮が見込める。
DeepInsightは電気ノイズだけを除去するので、後方エコー増強、外側陰影といった重要なアーチファクトはしっかりと残る(図1)。

図1:粘液癌
eFocusing PLUSは浅部から深部まで一目で観察でき、フォーカスを動かす操作回数が減らすことができるが、浅部や深部に限定するとマニュアルフォーカスを用いて観察した方良い場合もあり場面ごとに使い分けるとよい。
eScreeningは、周囲と輝度の特徴が異なる領域をリアルタイムで強調表示するものである。eScreening Markは、周囲と比較して輝度特徴量が閾値よりも高くなった場合に検出ボックスで強調表示する。eScreening Mapは、輝度特徴量が高い箇所を赤く表示する。eScreeningGraphは、閾値を超えた輝度特徴量があった場合に時系列のグラフで表示し、強調表示は同時に3か所まで可能であり、図2は近い場所にある2つの嚢胞がそれぞれ強調表示されている。
また、スクリーニングでは乳腺のバリエーションの間に所見が混じり、見逃す可能性があるような病変もあるが、しっかり強調表示してくれる。
eScreeningの使用上の注意として、まずは正しく走査することが基本となる。また、所見を拾うか、拾わないかを判断し、病変の範囲を見極めるのは検査者である。そして、eScreeningは悪性のみを指摘するものではなく、悪性病変がすべて指摘できるものではない。
検診(健診)スクリーニングにおいては、縦横2方向の走査のうち1方向にeScreeningを入れることを提案したい。この活用法によって、感度の向上、検査者の負担軽減につながっている。また、検査士の育成においては、正しく走査するトレーニングや病変を疑う領域に気づくトレーニングへ活用でき、強調部位を再考し所見に慣れる足掛かりとなる。さらに、ベテラン検査士においても病変部に気づくきっかけとなり、見落とし防止につながる。
富士フイルムヘルスケア株式会社のAI技術を用いた支援技術は、検査士の育成や負担軽減に寄与する。ただし、支援技術の使用にあたっては、基本走査の重要性などをしっかりと意識する必要がある。
- *1 AI技術のひとつであるDeep Learningもしくは機械学習を用いて開発・設計したものです。実装後に自動的に装置の性能・制度は変化することはありません。

トヨタ自動車株式会社
トヨタ記念病院健診センター
伊藤 真矢 氏
当院のマンモグラフィ受診者は1日あたり約25人で、2023年8月に「AMULET s」(以下、S)から「AMULET SOPHINITY」(以下、SOPHINITY)に装置を変更した。トモシンセシスはなく、オプションとして18×24のシフト圧迫板、FUJIFILM Mammo QC 品質管理ツール、プロジェクション機能、乳腺量測定機能をつけている。
SからSOPHINITYに変更したことで、電源投入から撮影までの時間が約15分から7分と大幅に短縮した。撮影間隔は15秒、画像表示は5秒と全体的に速くなった。また、装置がコンパクトになったことで圧迫感の軽減につながっている。フットスイッチは棒状から幅広の形状になり、圧迫時のレスポンスが格段に向上した。加えて、品質管理は、1Shotファントムにより1回の撮影で10項目の検査が実施でき、導入によって手間と時間が大幅に削減できた。
SとSOPHINITYを比較すると、新しい画像処理であるダイナミック処理によって、厚くて乳腺密度の高い乳房(=乳腺内コントラストの低い乳房)ほど観察しやすくなった印象がある(図3)。この新しい画像処理は、乳腺領域に加えて脂肪領域を認識することで、デンスブレストのコントラストを向上させている。そして、2段階のダイナミックレンジ圧縮で、乳腺内コントラストを高くしても脂肪やスキンラインの黒潰れを抑制している。SOPHINITYでは、乳腺内のコントラストが高く、乳腺外の脂肪組織も黒潰れすることなく観察しやすい画像となっている。一方で乳腺散在のようなSで観察しやすい乳房は、SOPHINITYでもコントラストがつきすぎることはなく、適正な画像となる。
鮮鋭度についても、コントラストと同様にSより向上しているが、粒状性が目立つこともない。(図4)
線量についても、当院ではN モード・D-TAP+2とやや線量を上げて運用しているものの、SOPHINITYはSより線量が少なく、粒状性は目立たない印象がある(図5:34:43)。
SOPHINITYには、スキンラインと乳頭位置を撮影台面上に投影する「プロジェクション機能」が搭載されている。この機能について、スキンラインを合わせようとして伸展や描出がおろそかにならないかと危惧していたが、実際に使用すると、ポジショニングの際に乳頭ラインが分かるのは非常に便利だと感じた。私の活用方法は,最初スキンラインを意識せずにポジショニングをし,圧迫直前にラインを参考にしている。マンモグラフィは対称性が重要であるため、とても重宝する機能であり、当院のスタッフにも非常に評判が良い。
その一方で、投影された乳頭ラインに合わせてただ検出器の上下を動かすだけでは、非対称の原因がわからないままになる。そこで、ポジショニング向上のための提案として、上下を動かす前に受診者の立ち位置、向きの調整をする。そして再度ポジショニングをして乳頭ラインが合うかを確かめる。このようにして自分の癖や傾向を把握していくことを勧める。
圧迫時の痛みについて、圧迫自動減圧制御(Comfort Comp“ なごむね”)は、私自身が体験して圧迫圧が和らぐことを実感した。検査で使用する際は、受診者に対して事前に機能説明をしっかりしておくとより効果が高まるのではないかと思う。乳腺自体の痛みは、技師の技術で改善するのは難しいため、なごむねを活用するのも一つの手だろう。
画質の良い装置を使用しても、ポジショニングが悪ければ効果が発揮されない。私自身、ポジショニングはどれだけ経験を積んでも極めることができないと痛感している。今後も乳腺の構造が分かるような撮影を心がけていきたい。
- * ダイナミック処理技術はAMULET Innovalityより使用可能な機能です。
本講演では富士フイルムグループのAI技術の活用によって乳癌検診の新たなワークフローを提案いただいきました。
超音波では、ARIETTA 850 DeepInsightで高画質が実現し、新たに検出支援機能が登場しました。これらを乳癌検診に使用することで、検査の感度向上のみならず検査者の負担軽減にも寄与しています。
マンモグラフィでは、新製品AMULET SOPHINITYに搭載されたプロジェクション機能がポジショニング技術の向上に役立つことがわかりました。フィルターのターゲットがタングステンになったことで、画質が向上し線量も減少しました。これらのサポート機能は使い勝手がよく、手間はかからないため非常に助かるものですが、適切な使い方を学んだうえで活用することが重要となります。
ALOKA ARIETTA 850は、ARIETTA 850 DeepInsightと呼称します。
販売名:超音波診断装置 ALOKA ARIETTA 850
医療機器認証番号:228ABBZX00147000
製品名:AMULET SOPHINITY
販売名:デジタル式乳房用X線診断装置 FDR MS-4000(AMULET SOPHINITY型)
認証番号:304ABBZX00020000
製品名:AMULET s
薬事販売名:デジタル式乳房用X線診断装置 FDR MS-2000
認証番号:223ABBZX00021000
製品名:AMULET Innovality
販売名:デジタル式乳房用X線診断装置 FDR MS-35000
認証番号:224ABBZX00182000

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