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一包化監査支援システムPROOFIT 1D Ⅱ(以下、1D Ⅱ)を、2025年3月に新潟県の病院として初めて導入していただいた、田宮病院(新潟県長岡市)。運用の効果や今後の期待について、田宮病院 診療技術部 薬局 薬局長代行 佐合 絵里さんに伺いました。
病床数が多く薬剤も多種 精神科病院の監査業務を1D Ⅱが改善

田宮病院は、精神医療の専門病院として、医師や看護師、薬剤師、心理士などが協力し合い、患者さん一人ひとりに寄り添った、きめ細やかな医療を提供しています。
薬局では、患者さんの安全を最優先に考え、445床全ての入院処方を一包化しています。その数は、処方箋1枚あたり1日4回・7日分を基本とし、1週間で約1万2,500包、ひと月に換算すると約5万包に上ります。
精神科の患者さんは、身体疾患のある方も多く、処方薬の種類や数が増える傾向があり、1包の中に12~13錠が収められることも少なくありません。さらに、当院では精神科以外の薬剤は1規格のみ採用しているため、0.5錠や0.25錠*に分割した薬剤が1包に2つ前後含まれる場合もあります。
こうした膨大かつ複雑な一包化薬の監査業務に加え、職員の退職が見込まれたため、人員補完の側面も含めて、1D Ⅱを導入するに至りました。
- * PROOFIT 1D Ⅱは、0.25錠の照合には対応していません。
新潟県長岡市深沢町2300番地
社会医療法人 崇徳会 田宮病院
1967年7月開院の精神医療専門病院。薬剤師4名・薬剤師助手3名。「自分の家族・友人が利用したい病院を目指す」との理念のもと、利用者の視点で治療に取り組む。外来診療科の併設など「開かれた精神医療」を実践し、精神病床385床、介護保険施設60床と、精神科として新潟県屈指の病床数を持つ。
薬剤師1名と薬剤師助手1名の欠員が生じた中、1D Ⅱが2名分の監査にかかる労力をカバーし、想定以上の業務効率化を達成できました。目視のみで行っていた監査に比べて、1D Ⅱを通す工程は増えたものの、画像を用いた正確かつ迅速な監査が可能となったからです。薬剤師の経験による監査時間の差が縮まり、誰でもほぼ同じペースで作業できるのも利点です。
当薬局では、昼間に外来対応を行い、16時頃から入院処方を監査します。従来は、勤務時間内に業務を終えられないこともありましたが、現在は、昼間に1D Ⅱに通しておき、夕方から1D Ⅱの画面を見ながら監査を行うことで、監査時間を大幅に短縮することに成功しました。薬剤師からは「監査が半分の時間で済む」と好評です。
また、薬剤師の負担を身体的にも精神的にも軽減できました。監査は薬剤師の基本業務ですが、高い集中力を長時間維持する必要があり、目に疲労が蓄積します。さらに、「間違いや見逃しはないか」という不安から、強い緊張感が伴います。
しかし、1D Ⅱを通すことで、「機械が誤りを検出してくれる」という安心感が得られ、心身にゆとりが生まれました。実際に、分包機側で形や色が似た薬剤が混ざってしまった事例でも、1D Ⅱが異常を的確に指摘し、目視では見落としていた可能性のあるミスを防ぐことができました。
拡大表示や連続読み込み機能が薬局の業務最適化を後押し
最大の魅力は、画像認識の精度と一覧表示の見やすさです。1D Ⅱを通せば、正しく照合された薬剤は簡単にチェックし、エラーが出たものだけを重点的に確認すればよいため、監査時間の短縮につながります。また、薬剤の画像を5~10倍に拡大でき、刻印や文字を強調してくれるので、目の疲労も軽減できます。
さらに、連続読み込みオプションは、一度に約10人分を読み込めるため、処方数の多い当薬局にとって非常に有効です。読み込み中は1D Ⅱから離れて他の業務に取り組めるため、薬局の業務全般の効率化にもつながっています。
加えて、監査記録のデータを後から見返すことができる点や、ラベル表示を編集して見やすくできる点などが、薬剤師の業務の信頼性や確実性を支援していると感じます。
1D Ⅱの運用により、服薬指導や処方提案などに充てる時間を確保することが理想です。監査業務の負担が軽減されれば、病棟での患者さんへの対応や医師への提案、またチーム医療への関与など、より価値の高い取り組みに注力できると考えています。
また、1D Ⅱの処理速度が向上すれば、外来処方の監査にも活用の幅を広げていきたいですね。そうなれば、入院から外来まで一貫した薬剤管理により専念でき、再入院や再発の予防も強化できます。患者さんに、継続的に親身に関わることこそ、院内調剤の強みであり、私たち薬剤師に課せられた使命だと感じています。
- 「一包化監査支援システム PROOFIT 1D Ⅱ」のカタログ
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