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日本

ポータブルエコーのインタビュー

ポータブルエコー「iViz air」活用事例:「膀胱エコーによる尿量確認と排泄アセスメント」後編

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

前編にて、患者である佐藤さん(仮名)の状態についてご紹介しました。後編では、ポータブルエコーiViz airを活用した結果とその効果、活用のポイントについてご紹介します。

ポータブルエコーiViz airの活用「画像を見せながら説明する」

佐藤さんの膀胱をiViz airで見た結果、尿が600mlほど溜まっていることがわかりました。600mlというと、2回分くらいの尿量です。腎臓は幸い問題ありませんでしたが、もしこのまま放っておいたら症状が悪化する可能性もあったので、早めに対応できで良かったと思いました。

ご家族には、溜まっている尿量をiViz airの画像を示しながら説明し、尿道にカテーテルを入れる処置を提案しました。この「画像でお見せする」というのが一つのポイントだと思っています。超音波診断をした画像は見慣れていないと何がどうなっているのかわからないですが、「ここが膀胱です」、「これが溜まっている尿です」といった具合に、画像を図示して説明することで、初めて見る方でも理解してもらうことができます。

ただ、画像を見せて「尿がこれだけ溜まっています」と伝えても、どのような状態がわからないですよね。今回は、iViz airの膀胱尿量自動計測機能によって600mlという数字が出ていたので、「通常の方は200~300mlおしっこが溜まると、お手洗いに行きたくなるんですよ。おばあちゃんのお腹の中には今ペットボトル1本以上の量が溜まっていますよ」とお話しました。

そうすることで、今どういう状況で、どのような処置が適切なのかをイメージしてもらいやすくなったと思っています。

ポータブルエコーの活用メリット・効果

今回の症例は、ポータブルエコーを当てた結果、カテーテルを入れた方が良いという判断になりました。その逆で、ポータブルエコーを活用したことで、入れる必要のないカテーテルの処置を回避することもよくあります。

ポータブルエコーがないと膀胱の状態が可視化できないため「とりあえずカテーテルを入れる」という判断をすることがあります。処置の方法としては正しいのですが、患者さんにとっては痛みが伴いますし、避けられるのであれば避けたいものだと思います。

在宅診療時は、CTやレントゲンを毎回撮ることができません。その代わりに、スマホのようにポータブルエコーを使いこなすことができれば、容易に体のことを説明できると感じています。

もう一つ、ポータブルエコーを活用していて利便性を感じることは、超音波診断した画像を共有できることです。

今回は、ポータブルエコーの画像を医療用のICTを使って紹介いただいた病院の先生にも共有しました。在宅医療チームだけではなく患者に関わる方全員が共通の情報を把握できたのは非常に有用だと感じます。

ポータブルエコーの今後の期待

今後期待することは、訪問看護師の方にもポータブルエコーを活用してもらうことです。例えば、私が診察の最中に他の患者さんに呼ばれたとします。その際、ポータブルエコーを使いこなせる看護師さんがその方のご自宅へ先に訪問し、超音波診断した情報を送ってくれたら、処置のスピードは変わってきます。

ポータブルエコーの普及と、活用できる人の育成が、チーム医療の可能性を広げていくと感じています。

ポータブルエコーiViz airの活用ポイントのまとめ

最後に、今回の症例・iViz airの活用ポイントについてまとめておきます。

症状把握:
病院の医師からの連絡を受け、翌日に患者宅に訪問。同居の家族から、2週間ほど排尿ができていないと説明を受ける。

iViz airの活用を決断した理由:
患者は過去に腎臓がんを患い、腎臓が片側しかないため、状態を早急に把握したいと思った。また、尿が作られている場合、膀胱にどれくらいの尿が溜まっているか確認したかった。

活用結果:
膀胱に尿が約600ml溜まっており、うまく排尿できていないことが判明。尿をつくる状態は問題ないことがわかった。

活用の効果:
尿を排出するため、尿道にカテーテルを入れる処置をとった。

活用のポイント:
「排尿ができない」という症状に対し、尿は作られているが、うまく排尿ができていない状態だと把握ができた。患者の家族にもiViz airの画像を示しながら状況を説明することができ、共通認識を持つことができた。

販売名

FWUシリーズ

認証番号

301ABBZX00003000

医師 / 在宅
一般社団法人medX 神田川訪問診療所 診療部長/悠翔会在宅クリニック川崎 前院長
宮原 光興 先生

出身大学:東京医科大学

主な経歴:東京都済生会中央病院、東京警察病院、東京医科大学病院など

専門(学会等):日本外科学会認定外科専門医、日本外科学会、日本消化器内視鏡学会、日本大腸肛門病学会、日本消化管学会

在宅医療に関わるきっかけ:これまで外科医として手術、化学療法などに携わっていました。そのような中、独居であった祖母が認知症、がんとなり、自宅での療養を開始しました。医師でありながら、自宅療養のリアルなイメージがつかず、また適切なサービスを提案できなかった経験が、在宅医療を始めるきっかけになりました。

患者様の人生に寄り添うには、病院だけでも在宅だけでも十分とはいえず、状況に応じたスムーズな連携が重要だと考えます。私は現在でも在宅医療に加え週1回の病院勤務を通じて、病院・在宅の両面から患者様をサポートする努力をしております。