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日本

ポータブルエコーのインタビュー

「便秘評価におけるエコーの活用とポリファーマシーへの取り組み」前編

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

この記事では、在宅医療でポータブルエコー「iViz air」を活用して診断した症例について宮原 光興先生にお話を伺いました。今回は、神奈川県にお住まいの80代男性の症例です。

ポータブルエコーiViz airを活用した患者さんのご紹介

住まい:神奈川県
性別:男性
年齢:80代前半
家族構成:一人暮らし
病状の概要:胃がん、胃がん手術後に高血圧、高コレステロール血症、認知症、不眠症

慢性的なお腹の張りと便秘を患っている状態

担当している神奈川県在住の80代男性の佐々木雄三さん(仮名)は、一人暮らしの方で、いつもお腹が張っていて痛いと言っていました。佐々木さんは以前、胃がんの手術をしていて、手術後は高血圧、高コレステロール血症、認知症と不眠症を患っていました。

そのため薬の処方も多く、中には便が出にくくなる副作用がある薬もありました。そもそも、便秘の症状を副作用に持っている薬はとても多いです。例えば、睡眠薬や血圧を下げる薬にも便秘になりやすい成分が入っています。佐々木さんはその両方の薬を飲んでいたということもあり、お通じが出にくくなっていました。

認知症で一人暮らしの患者さん。情報収集が難しかった。

一口に便秘と言っても、さまざまな理由が考えられます。手術後に「お通じが出ない」となった時、一番危険なのは腸閉塞です。手術で腹部を切開すると、腸で癒着が起きてしまうことがあります。

診察において大事なことは、患者本人のお話です。また、周りで介護をされている方からの話も欠かせません。「お通じは出るけど毎回硬い」、「お通じを1回出すのにかなり時間がかかる」などの情報があると、診断の際に役立つことが多いです。

しかし、佐々木さんは認知症の傾向がありました。問診において正確な情報を得ることが難しく、また、ご家族がいらっしゃらないため周りからの多角的な情報は得られませんでした。
レントゲンを撮ることができればいいのですが、そのためには毎回病院へ足を運ばないといけません。在宅医療を希望する方は、基本的に通院が困難な患者です。その方たちに「一度レントゲンを撮りに病院に行ってください」とはなかなか言いづらいのが現状です。

ポータブルエコーiViz air活用の経緯「緊急性を疑った」

診察の基本は、お腹の音を聞くことです。その上で、指を入れて摘便をするか、ポータブルエコーでお腹の状態を見るかという選択肢があります。その場合、後者の方が患者の身体的・心理的負担が少ないと考えます。

ただ、これまではお通じが出ないことに対して、ポータブルエコーを活用する事例は少数でした。それでもポータブルエコーを活用しようと思った理由は、「緊急性」を疑ったからです。もし腸閉塞の可能性があったら、一刻を争わないといけません。

腸閉塞か否かは、ポータブルエコーを活用すればすぐに確認することができます。そのため、診断のためではなく、緊急性があるかどうかの判断のために、今回はポータブルエコーを活用することを決断しました。

それでは、次のページで、佐々木さんにポータブルエコーiViz airを活用した結果とその効果、活用のポイントについてご紹介します。

販売名

FWUシリーズ

認証番号

301ABBZX00003000

医師 / 在宅
一般社団法人medX 神田川訪問診療所 診療部長/悠翔会在宅クリニック川崎 前院長
宮原 光興 先生

出身大学:東京医科大学

主な経歴:東京都済生会中央病院、東京警察病院、東京医科大学病院など

専門(学会等):日本外科学会認定外科専門医、日本外科学会、日本消化器内視鏡学会、日本大腸肛門病学会、日本消化管学会

在宅医療に関わるきっかけ:これまで外科医として手術、化学療法などに携わっていました。そのような中、独居であった祖母が認知症、がんとなり、自宅での療養を開始しました。医師でありながら、自宅療養のリアルなイメージがつかず、また適切なサービスを提案できなかった経験が、在宅医療を始めるきっかけになりました。

患者さまの人生に寄り添うには、病院だけでも在宅だけでも十分とはいえず、状況に応じたスムーズな連携が重要だと考えます。私は現在でも在宅医療に加え週1回の病院勤務を通じて、病院・在宅の両面から患者さまをサポートする努力をしております。