2012年の開院以来、動物とご家族さまに寄り添った獣医療に注力し、段階的に規模を拡大してきた目黒洗足動物病院。その分院として2026年1月から診療を開始した世田谷等々力動物病院の開院の経緯や機器選定のポイント、今後の展望などについて、共同代表者である目黒洗足動物病院の井上貴文先生と世田谷等々力動物病院の福田大介院長にお話をうかがった。
- 地域へのさらなる貢献と規模拡大を目指して分院を開院
世田谷等々力動物病院
福田 大介 先生
目黒洗足動物病院
井上 貴文 先生

福田 大介 先生(左)井上 貴文 先生(右)

井上先生 本院である目黒洗足動物病院では、常に動物とご家族さまに寄り添った診療・サービスを追求しています。2026年1月に開院した分院の世田谷等々力動物病院も本院と同じスタイルをとっており、福田先生のご家族さまのお話をしっかりと聞いて寄り添うキャラクターがそのスタイルにマッチしていると思います。また、本院と同様にトリミングや爪切り、歯磨き、肛門腺絞りなどの幅広いサービスを提供し、ご家族さまの日常に溶け込むことで「何かあったときは、あそこに行けば安心」と思ってもらえるような病院を目指しています。
井上先生 2012年に和田(整)先生と共同で本院を開院した当初から多店舗展開を考えていましたが、ちょうど良いタイミングでテナントの上の階や隣のビルを借りることができ、段階的に規模を拡大することができました。しかし、その後も来院数の増加が続き、キャパシティ的に限界を迎えつつあったことや、新たに導入した腹腔鏡手術の設備のさらなる活用、多店舗展開による人員配置の最適化、10~20年先までを見据えた経営の安定化などを考えて、2025年の春頃から分院開院に向けて具体的に動き出しました。
当初は私が本院、和田先生が分院の管理を行うことを想定していましたが、幸いなことに大学の同期で以前から声をかけていた福田先生を院長として招くことができました。内科も外科も得意なオールラウンダーで、長年の付き合いで厚い信頼を置いている福田先生に来ていただけたことは、私としても組織全体としても大きな転機になりました。
井上先生 立地としては、本院と行き来がしやすい距離で、住宅地に隣接していること、駅から近いこと、近隣のコインパーキングが充実していることなどを重視しました。駅から近いことで病院の認知度が向上する一方で、駅近エリアは騒がしくなりがちです。その点、洗足や等々力は駅の近くから閑静な住宅地が広がっていて、駅近でも落ち着いた雰囲気があるので、動物もご家族さまも安心して安全に来院していただける環境が整っています。
テナントの広さは、ある程度の余裕を持ってトリミングルームを作ることを考えて25坪程度で探し、最終的に本院よりも広い27坪の物件を選びました。この物件は前の道路に面した開口部の広さもポイントで、院内に光が多く入るので明るいイメージを持っていただきやすいと思います。
井上先生 待合室エリアの内装は、床や天井をシャビー加工したウッド調にしたり、診察室のドアハンドルを流木にしたりと、全体的にビーチハウスのような雰囲気で統一しています。外装はシンプルにして、コストを抑えながら住宅地になじみやすい落ち着いた雰囲気を出すようにしました。
院内のレイアウトは、受付を入口正面に配置することで、大きな開口部を活かしながら待合スペースを広くとり、診察室も3室とっています。待合スペースはわんちゃんのしつけ教室で使用することを考えていたため、できるだけ広くとりました。また、診察室が少ないとご家族さまと入院しているわんちゃんねこちゃんがゆっくり面会できない場面が出てくるので、1診と2診で診察をしていても3診で面会の時間がしっかりとれるようにしています。診察室の奥は手術や処置を行うスペースや犬舎・猫舎、レントゲン室、トリミングルームなどにつながっています。犬舎と猫舎は分けていて、大型犬舎を1つ作っているので大型犬の入院にも対応しています。

診察室外観

待合室の様子

流木のドアハンドル

トリミング受付の看板
井上先生 機器選定については、建築費の高騰が想定以上だったため、かなり厳選する必要がありました。そうした中で、富士フイルムVETシステムズの営業担当者さんは本当に誠実で、とにかく導入コストを抑えたいという我々の声をしっかりと受け止めて、その意図をくみ取ったオールインワンでの提案をしてくれたのでとても助かりました。コスト面を考えると中古品を多く使用しなければいけない可能性が高かったのですが、富士ドライケムNX700V、AU20V、COAG2NV、FUJIFILM DR CALNEOFlow V、V Stationをまとめて新品で導入することができました。やはり臨床化学分析装置や血液凝固分析装置、X線画像診断システムは診療の核になるものなので、コストを抑えながら新品で導入できたことは大きかったですね。

動物用臨床化学分析装置
「富士ドライケムNX700V」
「富士ドライケム AU20V」
福田先生 私はこれまで長年にわたって富士ドライケムを使用してきて、測定の早さや検査精度、操作の簡便さ、項目の多さなどの点で優れた装置だと評価しています。また、富士フイルムVETシステムズが提供する受託検査サービスと基準範囲が共通化されている点にも利便性の高さを感じています。
井上先生 私も本院の開業前から富士ドライケムを使用していて、装置の性能だけでなくメンテナンスなどのサービスの迅速さや丁寧さを高く評価していました。共同経営者の和田先生も同様の評価をしていたため、本院を開業する際は富士ドライケムの導入がすぐに決まりましたし、今回の分院の開業にあたっても早い段階から導入を決めていました。
また、これまではレントゲンの画像データを院内PCに保存するという従来型システムを使用していましたが、分院では新たに富士フイルムのフラットパネルと画像データをクラウドのデータセンターに自動保存する「ASSISTA+STORAGE」を導入しました。これにより、分院の画像が本院を含めた院外でもスムーズに確認でき、非常時においても素早くデータが復旧できる環境を整えました。

血液凝固分析装置「COAG2NV」

動物用X線画像診断システム
「FUJIFILM DR CALNEO Flow V」
動物用X線画像処理ユニット
「V Station T」
井上先生 愛玩動物看護師やトリミングなどのスタッフは、専属ではなく本院と分院で流動的に配置する体制にしています。そのため、分院の開院にあたって新たな採用は行っていませんが、今後は獣医師を含めた分院専属のスタッフを採用することも検討しています。
教育についても基本的には本院で行っていますが、分院では福田先生が尿検査についての動画作成などで学術的な指導をされています。実際の採用は今後も本院で行う予定ですが、分院での人材教育については福田先生にお任せして、福田先生の色を出していっていただきたいと思っています。
福田先生 動画については、質の高い診断・治療を行うために、検査装置等をより適切に活用してもらえればという思いで作成しています。
井上先生 福田先生の動画を見た本院のスタッフから「私も等々力で福田先生から教えてもらいたい」という声を聞いています。こうした刺激も分院の良さだと思っていますし、スタッフを流動的に配置することでリフレッシュ効果にもつながっていると感じています。
井上先生 開院の1か月程度前に本院と同じ制作会社に依頼して、本院と統一したフォーマットでWebサイトを作成しました。開院後はSNSでトリミングやドッグトレーニング、休診日などの情報を発信しています。
本院を含めた全体的な集患方針としては、トリミングを非常に重視していて、初回50%オフサービスの効果などもあって、予約がほぼ一杯の状態が続いています。わんちゃんやねこちゃんと暮らすご家族さまの困りごとは、病気よりもトリミングや爪切り、しつけといった日常的なケアに多くあると感じています。そのため、トリミングなどで日ごろから動物病院に気軽に足を運んでいただくことで信頼関係を築き、何かあった時に頼ってもらえる動物病院になれればと考えています。


初めて開業する時は、理想の動物病院を目指して「あれもこれも」と高額な機器などを導入しがちですが、開業資金という枠の中でしっかりと配分を考えることが重要だと思います。当然ながら、高額な装置を多く入れれば建築費や運転資金が減ってしまいます。開業資金の枠の大きさにもよりますが、まずは診療の核となる機器だけを厳選して、最小限の体制でスタートするのも一つの方法だと思います。
世田谷等々力動物病院さまの開業は、富士フイルムVETシステムズがお手伝いさせていただきました。
当社は、動物病院の開業や効率化に必要なさまざまな医療機器をワンストップでサポートします。
動物病院の開業をご検討の方は、動物病院向けの診断機器・各種検査の総合メーカーである当社だからこそできることがございますので、お気軽にお声がけください。
- V Station T / V Station T モバイルクライアント
- FUJIFILM DR CALNEO Flow V
- 富士ドライケム NX700V
- 富士ドライケム AU20V
- COAG2NV
本記事の内容は院内でのご利用を目的としています。
無断転載・複製・改変、および院内以外での表示・掲載はご遠慮ください。













