最新の設備・検査方法を導入するとともに、豊富な知識・経験を備えた獣医師・愛玩動物看護師・スタッフが質の高い獣医療・サービスを提供し、動物の生涯をトータルでサポートする「アルプス動物病院」(群馬県高崎市)。関根敦院長に「Nu.Q® Vet Cancer Test」を導入した理由や、メリットを実感した症例などについてお話を伺った。
関根先生 当院は、「思いやり」、「信頼」、「感謝」を理念として掲げ、思いやりを持って接することで信頼関係が強くなり、より多くの感謝が生まれるという考えをスタッフ一同で共有しています。そして、この理念がスタッフの明るさや誠実さ、真摯さとして診療や接遇に現れていることが当院の特長となり、ご家族さまからの支持や評価につながっていると感じています。
医療面では、最新の医療機器や検査などを積極的に導入して、迅速かつ精度の高い診断・治療を実現するとともに、年間の診察件数2万4,000件以上、手術件数800件以上という多くの症例を通して、豊富な経験と知見を蓄積しています。診療対象は犬・猫・ウサギ・フェレット・ハムスター等の小動物で、犬と猫は完全に隔離された病棟で診療を行っています。また、猫については、キャット・フレンドリー・クリニック(CFC)のゴールド認定を取得し、CATvocate認定を持った愛玩動物看護師が在籍しています。

アルプス動物病院 院長
関根 敦先生
関根先生 私は、以前から「信頼性が高くて簡便ながん検査があれば、積極的に導入したい」と考えていました。そうした中で、Nu.Q® Vet Cancer Testのことを知り、初期段階では検出が難しいリンパ腫、血管肉腫、軟部組織肉腫などが血液検査で簡便にスクリーニングできれば、早期発見の可能性が大幅に高まるのではないかと考えました。また、私自身が人間ドックを受ける際は、必ずがんマーカー検査を追加していて、安心感が得られると感じていました。これらの点から、Nu.Q® Vet Cancer Testは、早期発見だけでなく、ご家族さまの安心感や満足感にもつながると考えて導入を決めました。
CT・エコーに進む際の納得感も得やすい
関根先生 採血管、依頼書等のツールがよくできているので、検査からご家族さまへの報告までがスムーズに進められると感じています。その中で、Nu.Q® Vet Cancer Testで検出感度が高いがんは、獣医師・愛玩動物看護師が日常的に遭遇するもので、それが原因で亡くなっている子もたくさん見ています。Nu.Q® Vet Cancer Testは、そうしたメジャーながんを発見できる検査なので、スタッフも意欲的に取り組んでいるように感じています。
関根先生 「費用が高いから受けない」という方はあまりいらっしゃらないですね。それよりも「良い検査を受けさせてあげたい」という、意識の高いご家族さまが多いように思います。
関根先生 ハイリスク、グレーゾーンの場合は、必ずCTとエコーを提案しています。その際、ご家族さまもそうした次の段階の検査を希望されるので、納得していただいた上で検査が進められると感じています。
なお、ローリスクの場合、獣医師は「無駄な検査をしてしまって申し訳ない」と思いがちです。しかし、ご家族さま目線で言えば、何も見つからないのが一番なので、「安心を提供できた」と考えるべきだと思っています。

【CASE 1】X線検査にて右前脚第三指に抽出されたマス病変
関根先生 【CASE 1】導入後、最初に検査を行った症例は特に印象深いですね。代々ゴールデン・レトリーバーを飼われているご家族さまの11歳の子に、がん検診としてNu.Q® Vet Cancer Testを行ったところ、グレーゾーン(71 ng/mL)という結果が出ました。そのため、2週間後の再検査を予定していたのですが、1週間で「指が腫れている」と来院されたので、X線検査を行うと骨肉腫が疑われました。CTを撮影し画像を読影した結果、骨盤や脊椎にも転移が見られ進行した骨肉腫と診断しました。この子は、指の腫れはあったものの、痛みがなく、跛行も見られなかったので、Nu.Q® Vet Cancer Testを測定していなければ骨肉腫だと分からなかった可能性が高いと思います。また、グレーゾーンという結果が出たことで、ゴールデン・レトリーバーのことをよく理解されているご家族さまがいつも以上に注意して観察されていたからこそ、指の腫れに気づけたのではないかと思います。
【CASE 2】8歳のバーニーズ・マウンテン・ドッグで、2年前に軟部組織肉腫の摘出手術をしてから再発が見られない子に、Nu.Q® Vet Cancer Testを行ったところ、グレーゾーンという結果が出ました。この結果が以前の軟部組織肉腫の影響によるものかは分かりませんが、ご家族さまとは「今後も半年に1回、検査をして様子を見ていきましょう」とお話をしています。
【CASE 3】12歳のゴールデン・レトリーバーで、来院時に黄疸が出ていて、虚脱していた症例では、肝臓の腫瘍を疑いましたが、エコーをしても診断がつけられず、肝生検も難しい状態でした。そこで、Nu.Q® Vet Cancer Testを選択したところ、ハイリスクの中でも>650 ng/mLという最大の測定値が出たのでがんの可能性が非常に高いと分かりました。この子はそれから1週間後に亡くなってしまったのですが、ご家族さまとしては「原因不明で亡くなった」のではなく、「がんで亡くなった可能性が高い」と分かり、一定の納得が得られたのではないかと思います。
関根先生 導入にあたって、検査のポイントをまとめた動画を作成して、当院のSNSアカウントで公開しました。また、待合室でのポスター掲示や健診のDMへの掲載も行っています。これらの取り組みに加えて、獣医師自らが診察室で勧めることも重要だと考えています。
関根先生 犬のがんの早期発見・早期治療に貢献できるのはもちろん、信頼性の高い新たな検査を導入して診療・検査の幅を広げることで、当院自体の価値が高まり、イメージ向上にもつながると感じています。

がん検査の院内掲示ポスター
関根先生 富士フイルムの製品で言えば、健診を受診していただいたご家族さまへのサービスとして、インスタントカメラのチェキで撮影した写真をプレゼントしています。多忙な業務の中で写真を撮るのは大変だと思いますが、スタッフたちが笑顔で明るく撮影をしてくれていて、ご家族さまからも好評です。
関根先生 当院は、検査や診療の幅をさらに広げていきたいと考えているので、新たな検査や技術の開発に期待しています。その中で、猫のがん検査にも期待しており、特にリンパ腫については血液検査でスクリーニングできれば、細胞診に進む上での大きな後押しになると考えています。

- 犬のがんに対する血液検査「Nu.Q® Vet Cancer Test」
- 動物用X線画像診断システム「FUJIFILM DR CALNEO Smart V」
- 動物用免疫反応測定装置「富士ドライケム IMMUNO AU10V」
- CT装置
- 超音波画像診断装置














