地域の方々のホームドクターとして心の通い合う治療を大切にし、質の高い医療を提供し続けている「岐阜動物医療センター 藤原動物病院」。新たに導入した「富士ドライケム AU20V」の使用感や活用方法などについてお話をうかがった。
岐阜動物医療センター 藤原動物病院
獣医師 藤原 智宏 氏
愛玩動物看護師 野村 麻衣 氏

藤原 智宏 氏(左) 野村 麻衣 氏(右)
- 検体と希釈液の置き換えが不要になり、 ワークフローがスムーズに
- カラータッチパネルの視認性が高く、 操作もしやすい
藤原氏 当院は院長である父が1983年6月に開院して以来、理念である「飼い主様の目線に立ち、よりよい医療を提供する」ことを追求し、地域の皆様にとって身近な動物病院であり続けられるよう努めています。その中で、これまでは1次診療に注力してきましたが、2025年3月のリニューアルオープンに合わせてCT等を導入し、より高度な医療を提供できる体制を整備しました。
現在(2025年10月時点)のスタッフ数は、獣医師11名、愛玩動物看護師6名、看護助手3名、受付3名、クリーンスタッフ1名の計24名で、1ヵ月あたりの平均診療件数は70~120件です。
藤原氏 当院では、CT、X線画像診断システム、超音波画像診断装置、臨床化学分析装置、免疫反応測定装置等の多くの富士フイルム製品を使用しています。画像系の装置については、画質や操作性が良く、申し分のない性能を有していると評価しています。また、検体検査の装置についても使い勝手が良く、簡便な操作で信頼性の高いデータが得られると感じています。さらに、富士フイルムVETシステムズの営業担当者の手厚い対応にとどまらず、電話サポートも24時間体制で提供されているので安心感があります。
藤原氏 当院では「富士ドライケム IMMUNO AU10V」(以下、AU10V)を発売当初から使用し、現在は「富士ドライケム AU20V」(以下、AU20V)を使用しています。免疫反応測定は外注検査でも可能ですが、外注検査はご家族さまへの結果のお伝えまでに早くても1~2日程度がかかってしまいます。これに対して、院内検査は短時間で結果が分かり、迅速に治療に進めるので、ご家族さまと動物の双方に大きなメリットがあると考えています。特に最近は、他県を含めた遠方から来院されるご家族さまも増えてきているので、院内検査のメリットがより大きくなっていると感じています。
野村氏 1日あたり10~20件の検査を行っています。項目別の検査数としてはSAAが最も多く、次にT4とコルチゾールが多い状況です。
藤原氏 プロゲステロンは外注検査に出していますが、産科についての相談が複数寄せられていることを踏まえて、今後はAU20Vで測定を行うことを検討しています。また、TBAもこれまでは使用頻度が低かったので外注検査に出していましたが、やはり1日の変動幅が大きい項目なので、門脈シャントや肝不全等が疑われる場合には院内で測定していきたいと考えています。なお、AU10VとAU20Vの測定値について、AU20Vへの切り替え後に違和感を覚えたことはなく、相関性に問題はないと思っています。
藤原氏 当院が力を入れているFIP(猫伝染性腹膜炎)の診療において、院内で迅速にSAAが測定できるのは大きな利点だと実感しています。具体的に、若齢猫で発熱があり、A/G比が低く、SAAが高値であれば、血液検査だけでFIPの可能性が予測できます。そこからレントゲンやエコー等の画像検査に進み、腹水が溜まっていれば腹水検査、遺伝子検査に出して、FIPと診断できればすぐに治療が開始できます。とりわけFIPは進行が非常に早く、致死率が高い疾患なので院内検査を活用する意義が大きく、実際に命を救うことができた症例を何例も経験しています。
もう一つ、アジソン病は比較的少ない疾患ではありますが、アジソンクリーゼになると命に関わります。そのため、早い段階で除外しておくことが重要であり、その際に院内でのコルチゾール測定が役立っています。
野村氏 AU10Vは検体と希釈液が同時にセットできなかったので、測定の途中でそれらを置き換える操作が必要でした。AU20Vの導入後は、その置き換えが不要になったのでワークフローがスムーズになりましたね。AU10Vでは、希釈を忘れて測定してしまったり、希釈終了に気づかず放置されてしまうようなこともありましたが、そういったミスもなくなりました。測定時間自体はAU10Vと同じですが、前処理等の手間が減ったので、検査にかかる時間全体で考えると2割程度は短縮している感触があります。
また、カラータッチパネルの視認性・操作性が良いことに加えて、インターフェースが臨床化学分析装置の「富士ドライケムNX700V」と統一されているので、スムーズに移行できました。
藤原氏 DIC(播種性血管内凝固症候群)の評価で使用するTATやDダイマー、FDPといった凝固系の項目追加に期待しています。
藤原氏 獣医療の発展や進化に寄与する新たな検査法や検査技術の開発に注力するとともに、製品やサービスのさらなるコストパフォーマンス向上にも取り組んでいただければと思います。
- 一般的名称
免疫反応測定装置
- 販売名
富士ドライケム AU20V
- 届出番号
7動薬第250号
- 一般的名称
臨床化学分析装置
- 販売名
富士ドライケム NX700iV
- 届出番号
29動薬第3089号
- 一般的名称
免疫反応測定装置
- 販売名
富士ドライケム IMMUNO AU10V
- 届出番号
23動薬第1450号-2
- 一般的名称
診断用画像処理装置
- 販売名
デジタルラジオグラフィDR-ID 1200V
- 届出番号
28動薬第468号

- 動物用臨床化学分析装置 富士ドライケム NX700V
- 動物用X線画像診断システム CALNEO Smart V
- 動物用免疫反応測定装置 富士ドライケム AU20V
- CT装置
- 超音波画像診断装置













