愛知県安城市に1998年に開業したりんごの樹動物病院。
動物一次診療や他院からの紹介診療などの診療ニーズに、高水準の獣医療技術と医療機器装置で応えている。
同院は、新たな超音波画像診断装置としてワイヤレス型の「iViz air V Linear」を導入し、エコー検査に関わる課題解決にとどまらず、院内全体の業務効率化を図っている。
加藤 奈央 副院長(左)
旭 あすか 動物看護師長(右)

左から、加藤 奈央 副院長、近藤 元紀 院長、旭 あすか 動物看護師長
- 据え置き型装置とワイヤレス型装置の用途を明確にして、エコー検査効率を改善
- 愛玩動物看護師が経過観察や入院管理の主要業務を担い、獣医師の業務量を削減
「iViz air V Linear」の携帯性と精細な画質
近藤院長 『ホスピタリティ』『知識・技術』『設備』を獣医療の3本柱として掲げ、一般診療・予防診療から手術・入院を必要とする高難易度症例まで幅広く対応しています。
私の生まれ故郷である安城市に開業して25年余り、3本柱の“質”を日々高め、愛知県西三河地域のペットライフに携わってきました。

りんごの樹動物病院
住 所 愛知県安城市高棚町蛭田52-2
設立年 1998(平成10)年
動物用ワイヤレス超音波画像診断装置
「iViz air V Linear」
旭師長 入院室やICUでのエコー検査の煩雑さが課題でした。当院は据え置き型の超音波画像診断装置2台を運用していましたが、入院室とICUまでの通路が狭く、装置の移動に時間と手間がかかっていました。そこで、入院室とICUに携帯できるワイヤレス型の超音波画像診断装置の導入を近藤院長と加藤副院長に提案しました。
加藤副院長 富士フイルムの「iViz air V」シリーズは、デモ機を試用した結果、画質が優れており、操作方法がシンプルで使いやすかったです。「iViz air V」シリーズはリニアプローブとコンベックスプローブの2種類展開で、当院は主に10㎏未満の小型犬と猫の診療が多いことから、プローブ先端が小さく薄い形状の「iViz air V Linear」を希望しました。
近藤院長 超音波画像診断装置は外来、手術室、入院室など幅広いシーンで用いられるため、装置の移動時間・準備時間を短縮できれば診療フロー全体の効率性向上が期待できます。「iViz air V Linear」は携帯性と画質に加えて、電源を入れてからの立ち上がりが20秒程という特長がありましたので、当院が掲げる3本柱の『設備』の水準を高め、理想とする円滑なエコー検査につながると判断しました。
鮮明な画像と使いやすさ
加藤副院長 入院室やICUの動物の経過観察、胸水や腹水の有無や消化管の動きの確認、膀胱の尿量モニタリングなどさまざまな用途で使用しています。
旭師長 カテーテルを設置している動物の尿量が想定以上に出ていない場合には、「iViz air V Linear」で膀胱内の状況を確認しています。プローブを当てるだけなので動物の負担が少なく、カテーテルや膀胱の状態を確認でき原因追求に役立っています。
近藤院長 尿道カテーテルの留置状況を「iViz air V Linear」で確認したところ、カテーテルの先端部分まで明瞭に写し出されていました。肺エコーも鮮明でBラインを正確に評価できました。観察対象の臓器によっては、据え置き型の超音波画像診断装置と差が小さい印象です。
旭師長 愛玩動物看護師としても経過観察や給餌のタイミングを判断するために必要な情報を得られています。シンプルな操作できれいに画像を描出できるので、動物看護師向けのエコー検査の教育にも適していると感じました。

「iViz air V Linear」を用いて描出した
尿道カテーテル画像

「iViz air V Linear」を用いて描出した胃蠕動運動画像

「ARIETTA 65V」を用いて診察室でエコー検査を行う加藤副院長
加藤副院長 リアルタイム性において据え置き型の超音波画像診断装置と遜色ありません。ワイヤレス型のため導入前はあなどっていた部分もありましたが、使いやすさに驚きました。
加藤副院長 入院中やICUの動物に負担をかけることなく、エコー検査を行えるようになりました。重症や予断を許さない状態の動物を据え置き型の超音波画像診断装置の付近まで運ぶことは状態悪化のリスクを伴います。「iViz air V Linear」を導入したおかげで安静場所から動かすことなくエコー検査が可能になり、動物を第一に想う低侵襲診療の質を高めることができました。
旭師長 獣医師の業務負担軽減に貢献していると思います。尿道カテーテルの詰まりが疑われる状態では、愛玩動物看護師が獣医師に事前報告の上、「iViz air V Linear」でカテーテルの状況を確認し対処します。導入以前は、獣医師が他症例を診ている場合、診療を終えるまで愛玩動物看護師と動物を待機させていました。「iViz air V Linear」を導入した結果、愛玩動物看護師がカテーテルの状況確認や位置調整、給餌のタイミングや量を判断するための情報収集を行うことで、獣医師は診察に専念できるようになりました。
近藤院長 獣医療界では獣医師の業務量改善が望まれていますが、当院では「iViz air V Linear」の導入により愛玩動物看護師へのタスク・シフトが進んでいるのは喜ばしいことです。
運用可能性を追求し、業務効率化と医療水準の向上を目指す
加藤副院長 麻酔や検査に携わる機会が多いことから、神経ブロック、FNA(穿刺吸引法)に活用したいです。ワイヤレス型の超音波画像診断装置は、動線が限定される手術室においても携帯性という長所を発揮するはずです。検査者の見やすい場所にタブレットを設置できる分、穿刺や採取が行いやすくなるので、一日でも早く実施できるよう院内調整を進めていきます。
旭師長 2022年に愛玩動物看護師法が施行され、獣医療のウェルネスケアにおける愛玩動物看護師の重要度は高まっていると実感しています。私自身、エコー検査の一端を任せられることが、院内全体の医療水準や業務効率を上げるモチベーションになっています。愛玩動物看護師の担当業務のなかでも、エコー検査はやりがい・学びがいのある領域のひとつだと思いますので、「iViz air V Linear」を活用して活躍の機会を広げていく愛玩動物看護師が一人でも増えることを願っています。
近藤院長 「据え置き型の超音波画像診断装置は精査やスクリーニング」、「『iViz air V Linear』は経過観察や消化管、膀胱などの特定臓器の簡易的な確認」と両装置の使い分けを明確にしたことで、当院の診療効率や獣医師の業務負担を改善できたと実感しています。
「iViz air V Linear」の特長である機動性は緊急診療に適しており、持ち運びのしやすさは訪問診療にも役立つはずです。当院で実際に運用して、超音波画像診断装置としての性能の高さだけでなく、富士フイルム製品の信頼性の高さをあらためて実感できましたので、「iViz air V Linear」の追加導入を視野に入れつつ、西三河地域のペットライフに寄与するより良い獣医療環境を構築していきたいです。

りんごの樹動物病院が運用する
臨床化学分析装置「富士ドライケムNX600V IC」、
免疫反応測定装置「富士ドライケム IMMUNO AU10V」
- 販売名
FWU Vシリーズ
- 届出番号
3動薬第3032号
iVizは、FUJIFILM SonoSite, Inc. の商標です。
- 販売名
超音波診断装置ARIETTA 65V
- 届出番号
届出番号:6動薬第1177号
- 販売名
富士ドライケムNX600V IC
- 届出番号
2動薬第1722号
- 販売名
富士ドライケム IMMUNO AU10V
- 届出番号
23動薬第1450号-2
- 動物用超音波画像診断装置 「iViz air V」のカタログ
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