富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、半導体材料事業をさらに拡大するため、ベルギーの生産拠点において、先端半導体材料のCMPスラリー*1の生産設備を新たに導入するとともに、フォトリソ周辺材料*2の既存設備を増強します。車載用半導体や、製造工程のDXを支える産業用半導体の需要拡大が見込まれる欧州において、総額約40億円の設備投資を行い、ベルギー拠点の生産能力を拡大します。
5G/6Gによる通信の高速・大容量化、自動運転の拡大、AIやメタバースの普及などにより、半導体のさらなる需要拡大と高性能化が見込まれる中、当社は、半導体材料事業において積極的な成長投資を行っています。2024-2026年度の3年間で、研究開発と設備投資をあわせて1,700億円の成長投資を計画。静岡、韓国平澤拠点における先端レジストの開発・生産・品質評価機能の強化や、熊本拠点におけるCMPスラリーの生産設備の増強など、矢継ぎ早に設備投資を行うことで、半導体材料の生産能力拡大を進めています。
今回、伸長する欧州の半導体市場などに対して製品供給能力を拡大するため、半導体材料の欧州現地法人であるFUJIFILM Electronic Materials (Europe) N.V.(本社:ベルギー・ズウェインドレヒト、代表者:Hans Vloeberghs)が、約40億円の設備投資を行います。先端半導体に使用され、年率13%*3の高い成長性が見込まれているCMPスラリーの生産設備を新たに導入。米国アリゾナ州、台湾の新竹市および台南市、韓国天安市、熊本県菊陽町にある既存のCMPスラリーの生産拠点に、新たにベルギーを加えた世界6拠点の生産体制を構築することで、CMPスラリーのさらなる安定供給を実現します。また、フォトリソ工程で使用する現像液の生産設備を増強。欧州での車載用・産業用半導体の需要増に対応するとともに、品質面での高い顧客要求にも応えていきます。
なお、新たに導入するCMPスラリーの生産設備、増強する現像液の生産設備の稼働開始はいずれも2026年春を予定しています。
当社は、フォトレジスト*4やフォトリソ周辺材料、CMPスラリー、ポストCMPクリーナー*5、薄膜形成材*6、ポリイミド*7、高純度プロセスケミカル*8など半導体製造の前工程から後工程までのプロセス材料や、イメージセンサー用カラーフィルター材料をはじめとした Wave Control Mosaic(ウエイブ コントロール モザイク)™*9などをグローバルに展開。最先端からレガシーノードまで半導体製造プロセスのほぼ全域をカバーする豊富な製品ラインアップに加え、日米欧アジアの主要国に製造拠点を有するグローバルな安定供給体制や高い研究開発力を生かしたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決に取り組み、半導体産業の発展に貢献していきます。
- 所在地
ベルギー・アントワープ州ズウェインドレヒト
- 総投資金額
約40億円
- 投資内容
CMPスラリー、フォトリソ周辺材料(フォトレジスト現像液)の生産設備
- 稼働開始時期
2026年春
- 社名・所在地
FUJIFILM Electronic Materials (Europe) N.V.
Keetberglaan 1A-Havennr.1061, 2070 Zwijndrecht, Belgium- 現在の生産品目
ポリイミド*10、フォトリソ周辺材料(現像液・クリーナー)*10、薄膜形成材

ベルギー拠点の外観
- *1 硬さの異なる配線や絶縁膜が混在する半導体表面を均一に平坦化する研磨剤。CMPは、Chemical Mechanical Polishing(化学的機械研磨)/ Chemical Mechanical Planarization(化学的機械研磨による平坦化)の略。
- *2 半導体製造のフォトリソ工程で使用する現像液やクリーナーなど。
- *3 米国調査会社「Linx Consulting」の半導体材料レポート2023年版より。
- *4 半導体製造の工程で、回路パターンの描画を行う際にウエハー上に塗布する材料。
- *5 CMP スラリーによる研磨後に、金属表面を保護しながら、粒子、微量金属および有機残留物を洗浄するクリーナー。
- *6 低誘電率の絶縁膜を形成するための材料。
- *7 高い耐熱性や絶縁性を持つ材料。半導体の保護膜や再配線層の形成に使用される。
- *8 洗浄・乾燥工程に使われる高純度薬品。半導体製造の洗浄・乾燥工程で異物を除去したり、エッチング工程にて金属や油脂などを取り除くために使用する化学薬品。
- *9 広範囲な波長の電磁波(光)をコントロールする機能性材料群の総称。デジタルカメラやスマートフォンに用いられる CMOS センサーなどのイメージセンサーのカラーフィルターを製造するための着色感光材料を含む。Wave Control Mosaicは、富士フイルム株式会社の登録商標または商標です。
- *10 現在、ポリイミドおよびフォトリソ周辺材料の製造設備増強、研究開発・品質保証の設備増強を進めており、生産設備は一部稼働開始済、研究開発・品質保証の設備は2026年度上半期に稼働開始予定。
お問い合わせ
富士フイルムホールディングス株式会社
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
富士フイルム株式会社
エレクトロ二クスマテリアルズ事業部
- * 記事の内容は発表時のものです。最新情報と異なる場合(生産・販売の終了、仕様・価格の変更、組織・連絡先変更等)がありますのでご了承ください。