富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、1カートリッジあたりの最大記録容量100TB(非圧縮時40TB)を実現し、大容量データを安全に低コストで保管できるデータストレージ用磁気テープ「FUJIFILM LTO Ultrium 10(40TB)データカートリッジ*1」(以下LTO10(40TB))を1月より発売します。
近年、企業や組織に対するランサムウェアなどのサイバー脅威が深刻化する中、業務データや顧客情報、研究成果などの機密性の高いデータを安全に保管・管理することが、あらゆる業種において重要な課題となっています。
磁気テープは、大容量データを保管する目的で用いられるデータストレージ・メディアです。安定的にデータの読み書きが行える*2だけでなく、ネットワークから物理的に切り離した環境での保管が可能なため、サイバー攻撃によるデータ損失・消失のリスクを低く抑えられることから、大容量データを安全に保管できるデータストレージ・メディアとして、データセンターや大手IT企業などで広く使用されています。主にデータのバックアップ用途で利用されている磁気テープの出荷容量は、2020年以降、年率10%超の成長を続けており、今後も増えると見込まれています*3。
今回発売するLTO10(40TB)は、2025年6月に発売した「FUJIFILM LTO Ultrium 10 (30TB) データカートリッジ」(以下LTO10(30TB))の上位モデルにあたる製品です。LTO10(30TB)と同様に、面記録密度*4の向上に寄与する当社独自の磁性体材料「微粒子ハイブリッド磁性体」を採用しているほか、新たに独自の薄層化技術によりテープの厚みを薄くしテープ長を伸ばすことで、記録容量を増加させました。これにより、LTO(30TB)の約1.3倍となる、シリーズ最大記録容量を実現しました。さらに、LTO10(40TB)は、LTO10(30TB)など現行製品と比較して使用推奨温度・湿度の範囲を拡大。温度範囲は現行製品の15℃~25℃から15℃~35℃に広がり、湿度は最大80%(温度15~25℃の条件下)*5まで対応可能となりました。これにより、高温・多湿な環境でも安定して使用でき、さまざまな現場にご活用いただけるデータストレージ・メディアです。
当社は今後も、世界シェアNo.1*6のデータストレージ用磁気テープメーカーとして、お客さまのニーズと信頼にお応えする高性能・高品質のメディアを開発・提供することで、ICT社会の発展に貢献していきます。
- *1 磁気テープストレージメディアの規格「LTO Ultrium」の第10世代に対応。Linear Tape-Open、LTO、LTOロゴ、UltriumおよびUltriumロゴは、Hewlett Packard Enterprise社、IBM社およびQuantum社の米国およびその他の国における登録商標です。
- *2 材料設計を最適化することで、磁気ヘッドの高精度なトラッキングと優れた走行耐久性を実現。
- *3 出典:LTO Tape Technology - Ultrium LTOをもとに、年平均成長率を算出。
- *4 磁気テープの単位面積あたりに記録できるデータ量の密度
- *5 温度35℃では湿度50%まで対応。現行製品は温度15~25℃で湿度50%まで対応。
- *6 生産者シェア。当社調べ。
記
「FUJIFILM LTO Ultrium10(40TB)データカートリッジ」
2026年1月
| 型番 | 包装形態 | 価格 |
|---|---|---|
| LTO FB UL-10 40.0T | 5巻×4 | オープン |
| LTO FB UL-10 40.0T LP20*7 | 20巻×1 | オープン |
| LTO FB UL-10 40.0T ECO*8 | 20巻×1 | オープン |
- *7 大規模ユーザー向けの20巻単位で包装した製品
- *8 ポリプロピレン製の個別包装用プラスチックケースを使用せず、20巻単位で低密度ポリエチレン(LDPE)製の透明な袋に一括包装することで、約890 gのプラスチック包材を削減した製品(簡易包装製品)
データテープの高容量化における鍵のひとつが、面記録密度の向上です。LTO10 (40TB)は、当社独自の磁性体材料「微粒子ハイブリッド磁性体」を採用し、磁性粒子の微細化によって高い面記録密度を実現させました。さらに、現行品のLTO10(30TB)と比較して、独自の最新の薄層化技術によりテープの厚みを約2割薄くし、カードリッジ1巻当りに巻き込めるテープの長さを約3割伸ばすことに成功しました。これにより、面記録密度の向上とテープ長の伸長を両立させ、LTOシリーズ最大記録容量100TB(非圧縮時40TB)を実現しました。
耐久性に優れたベースフィルムの採用により、使用推奨環境*9を拡大しました。LTO10(40TB)は、現行製品に比べて温度範囲を15℃~25℃から15℃~35℃に広げ、湿度も最大80%(温度15~25℃の条件下)まで対応可能となりました。
従来よりも高温・多湿な条件下で使用でき、さまざまな運用環境に対応することで、環境負荷や企業の運用負担の軽減に貢献します。
- *9 製品の性能を安定して発揮できる温度・湿度の範囲。
HDDと比較して初期導入のコストを抑えられ、大容量データを低コストで保管することが可能です。また、ネットワークから物理的に切り離した「エアギャップ」環境でデータを保持できるため、システム障害やランサムウェア、ハッキングなどによるデータ損失・消失のリスクを低く抑えられ、大切なデータを安全に保管できます。
- 最大容量(非圧縮時)
100TB(40TB)
- 最大転送レート(非圧縮時)
1,000MB/秒(400MB/秒)
- カートリッジメモリー
32KBの電磁誘導アンテナ付きEEPROM内蔵
- テープ幅
12.65mm
- テープ厚み
4.0μm
- テープ長
1,337m
富士フイルムホールディングス株式会社
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
- * 記事の内容は発表時のものです。最新情報と異なる場合(生産・販売の終了、仕様・価格の変更、組織・連絡先変更等)がありますのでご了承ください。













