日本

富士フイルムと名古屋大学
AI技術※1を用いた肺炎入院患者に対する経過予測技術の共同開発に成功
個別化医療の推進と病院経営の効率化を支援

ニュースリリース

2021年11月22日

このニュースリリースは、報道機関向けに発信している情報です。

富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)と名古屋大学医学部附属病院(所在地:愛知県名古屋市、メディカルITセンター長:白鳥 義宗)は、院内のさまざまな部門システムで管理している診療データを基に、AI技術を用いて、肺炎入院患者の経過を高精度に予測する技術を共同で開発することに成功しました。

肺炎は呼吸器専門医や感染症専門医のみならず、多くの臨床医が診療に携わる可能性が高い急性期疾患で、日本人の死亡原因第5位と報告※2されています。肺炎の診療現場では、入院治療の必要性の確認や、入院患者の経過を予測するために、肺炎の重症度評価手法として作成されたA-DROP※3スコアが用いられてきました。しかし、本来A-DROPスコアは、入院時などにその時点における患者の重症度を評価するための手法であり、評価に用いるデータは年齢や血圧など5つの項目に限られることから、入院後の経過を予測するには精度に課題がありました。
一方、経過を精度高く予測するために、患者属性や診断名などのカテゴリーデータや検査値などの数値データ、診療記録等を学習データに加えたAIモデルによる研究がこれまでも行われてきました。これらの先行研究から、経過予測の精度向上には、A-DROPスコアで用いられるような限定的なデータではなく、院内で日々記録される患者の多様なデータを統合して利用することが重要であると示唆されています。

今回の共同研究では、院内の多様な医療データを一元的に管理できる当社の医療機関向け総合診療支援プラットフォーム「CITA Clinical Finder」※4のデータベースを基に、AI技術を用いて、肺炎入院患者に対する経過予測を高精度に行う技術を開発しました。電子カルテ、放射線部門情報管理システム、検体検査システムなどさまざまな部門システムから「CITA Clinical Finder」に集約された、医師記録、看護記録、患者背景情報、入院診療計画、放射線検査報告、臨床検査結果、処置情報、食事情報などのさまざまな情報を、既往歴など入院前の情報も含めて幅広く活用し、患者一人ひとりの状況に応じた経過予測を行うことで、A-DROPスコアよりも高精度な予測が可能となりました。なお、値が1に近いほど予測精度が高いことを示すAUROC※5は、A-DROPスコアでは0.736であったのに対し、本技術ではその数値を上回る0.888を達成しています。また、本研究結果を解析した結果、経過予測の根拠となり、また精度向上への寄与度が高かった項目は、実際に医療従事者が経過予測の際に重視する食事情報や臨床検査結果などの項目と一致していたことを確認しました。

本研究で開発した経過予測技術を活用し、肺炎入院患者の経過をこれまで以上に高精度に予測できるようにすることで、患者一人ひとりの状況に応じた診療計画の策定や、限られた医療リソースの適切な配分を支援できる可能性があります。富士フイルムは、今後、本技術を実用化することで、個別化医療の推進と病院経営の効率化を支援していきます。

  • ※1 AI技術のひとつである機械学習を用いて開発した。
  • ※2 厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況」より
  • ※3 日本呼吸器学会によって作成され、成人市中肺炎診療ガイドラインで採用されている一般的な肺炎患者の重症度評価手法であり、年齢、脱水状態、呼吸状態、見当識障害の有無、血圧の5つの項目を基に患者の重症度を評価する。
  • ※4 病院内の各診療システムで管理されている、検査画像、バイタル情報、処方などの診療データを1つのプラットフォームに集約・表示する診療支援システム
  • ※5 受信者動作特性曲線下面積(Area Under the Receiver Operating Characteristic curve)を指す。

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