2020年度イノベーション・プリント・アワード

通算で13回目を迎えた2020年度は、アジア・パシフィックの12の国と地域から242の応募があり、その中の27作品が入賞しました。日本は史上最多の16社25作品の応募があり、7作品が入賞を果たしました。

特殊色の使用部門第1位
artbeat publishers Co., Ltd.(東京都渋谷区)
『NEOTOKYOZINEプロジェクト』

出力機種:Iridesse™ Production Press

「NEO-TOKYO」をテーマに、新進気鋭の若手アーティストの写真集をIridesseのシルバーとメタリックカラーで表現したアートブック。
メタリック表現がアーティストの色表現の幅を広げるとともに付加価値の高いアートブックに仕上がっている。また必要部数のみを制作できるクラウド型プラットフォームを構築し、国内外アートブック市場への更なる進出を目指している。
これらのアートブックは書店やアートギャラリーにて販売されている。

美術品の複製部門第1位
株式会社谷口松雄堂(京都府京都市)
『国内外向け日本伝統のお土産』

出力機種:Versant® 180 Press

日本文化を広く知ってもらうため、手軽に楽しめて簡単に持ち運びができるよう、価格面や設計を考慮した作品。
掛け軸は特別な材料を使わず、全て印刷で表現し本格的に見えるように工夫している。屏風は四角隅に金具を取り付け、豪華さを演出。絹目のような凹凸に加工された用紙を使用し、表面にはパール加工を施している。4色をかけ合わせた金茶系の色は金色と比べても遜色なく高級感がある。
この商品を軸に、オンデマンドをフル活用した小ロットオーダーメイド制作を展開予定。ゲームやアニメ業界へのビジネス拡大を狙う。

リーフレット・チラシ・マルチピース部門第1位
昌栄印刷株式会社(大阪府大阪市)
『折り鶴~つるのひとこえ~』

出力機種:Iridesse™ Production Press

折り鶴は、宿泊施設でのおもてなしや復興、病気平癒を願う千羽鶴に用いられるなど、贈る相手を思い折られることが多い。こうした日本の良い風習にプラスアルファの機能を加え、付加価値の高い作品を制作した。
シンプルな和柄やパターン絵柄をIridesseのゴールド・シルバーの色調で表現。バリアブル機能を活用し、デザインにメッセージを組み込むギミックを効かせ、これまでにない折り紙の制作に成功した。
羽を閉じた状態で渡し、受け取った相手が自らの手で翼を広げると、そのとき初めてメッセージを目にすることができるという仕掛け。日本独自のおもてなしの心に「つるのひとこえ」が新たな驚きと感動をプラスする。

ダイレクトマーケティング・招待状・ポストカード部門第1位
昌栄印刷株式会社(大阪府大阪市)
『屏風絵~若き才能を集結~(産学連携作品)』

出力機種:Iridesse™ Production Press

大阪芸術大学との産学連携プロジェクトから生まれた作品。
「産学連携は学生が主役でなければならない」。喜多俊之教授(芸術学部デザイン学科)の理念のもと、デザイナーを目指す学生達が最新のデジタル印刷を体感し知見を深め、実践的な制作活動の重要性を学んでいる。
また実際にIridesseの見学やオペレーション講義を受講し、「私たちのOSAKA」をテーマに、Iirdesseのゴールド・シルバー・メタリックカラーを使用したポストカードを作成。それらを集結し屏風絵を作り上げた。
賑やかな印象だが、一枚一枚には学生の目線でみたOSAKAがIridesseの特徴を活かして表現されている。本作品は大学内外の広報活動等にも利用される。

書籍・マニュアル部門第2位
atelier gray/株式会社加藤文明社(東京都千代田区)
『森美術館「六本木クロッシング2019展:つないでみる」公式図録』

出力機種:Fujifilm Jet Press 720S

表紙にバリアブル印刷を採用した3,000種類の展覧会カタログを作成。
3,000種の一冊一冊すべて異なる表紙デザインは可変データを自動生成することで、クリエイティブかつオンリーワンの要素をより高めている。また、Jet Pressの広色域を最大限に活かし、高いデザイン性も実現。共通の本文はオフセット印刷で出力し、デジタルとオフセット、双方の長所を遺憾なく発揮している。
ミュージアムショップ限定で発売されている本図録が陳列された光景は圧巻で、さながら展覧会の延長のような空間を演出している。自分だけのお気に入りの1冊を選び手に取る体験は、情緒的な価値を付加している。

POS・ポスター部門第2位
株式会社クロスメディア(鹿児島県鹿児島市)
『KATANA美術工芸品カタログ』

出力機種:Iridesse™ Production Press

金属の質感や美しさをリアルに再現することを目指した美術工芸品カタログ。
Iridesseの特殊色、ゴールドとシルバーを効果的に使用したメタリック表現により、金属の鋭くも美しい世界観 をうまく表している。これまで再現が難しかった美術工芸品などの繊細な表現を可能にしたことで、高級美術書 や美術工芸品のカタログ・ポスターなど高付加価値な印刷ビジネスの可能性が広がる。

リーフレット・チラシ・マルチピース部門第2位
株式会社パン・アキモト(栃木県那須塩原市)
『救缶鳥プロジェクト』

出力機種:Versant® 180 Press

「救缶鳥プロジェクト」とは、株式会社パン・アキモト様が開発した非常食用のパンの缶詰を、賞味期限が切れる6か月前に購入者(企業、自治体、個人)から回収し、義援物資として被災地や世界中の飢餓に苦しむ人々の元へ届けるもの。
プロジェクトに賛同した企業や大学向けに提供している缶ラベルをVersant180で作成、少量からでもオリジナルラベルが提供できるようになり、小規模の教育機関や中堅企業などのSDGs活動にも役に立つようになった。
印刷会社でも自社のSDGs取り組みとして採用し、クライアントへのPRにも活用している。