「試す」から「実践」へ。AI活用の最前線を体感した「Bridge for Innovation 2026」開催レポート

2026年5月から7月にかけて、富士フイルムビジネスイノベーションジャパンは、お客様向けのコンベンションフェア「Bridge for Innovation 2026」を全国7都市で開催しました。今年のテーマは「ビジネスDXが、企業を変える。AIで変える。」。AIへの関心が高まる中、「AIを業務でどう活用するか」「成果につなげるには何が必要か」といった実践的なテーマを軸に、AIエージェントや業務DXソリューション、最新技術を体験できる展示や講演を実施しました。
本記事では、イベント企画に込めた想いや会場づくりの工夫に加え、注目を集めた展示ブースなど、「Bridge for Innovation 2026」の見どころをレポートします。
目次
「Bridge for Innovation 2026」を支えた、企画と会場づくりの舞台裏

今年は、お客様のAI活用が「試す」段階から「実践」へと移り変わっていることを踏まえ、講演や展示を通じて業務変革を具体的にイメージできるイベントを目指しました。また、会場となった豊洲ショウルームの一部をリニューアルし、お客様と担当営業とのコミュニケーションをより深める空間へと生まれ変わっています。
イベント全体にはどのような想いが込められていたのでしょうか。富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 販売推進部でイベント企画を担当した武井さんと、会場となったショウルームリニューアルを担当した野崎さんに、「Bridge for Innovation 2026」の企画背景と、そのコンセプトを形にした会場づくりについて話を伺いました。
── 今年のBridge for Innovation 2026は、どのようなコンセプトで企画されたのでしょうか。

武井 今年のコンセプトは「試すから実践へ」です。昨年は生成AIが大きな話題となり、「AIで何ができるのか」「まずは触ってみたい」というお客様が多かったです。一方で今年は、「自社の業務でどう活用すればいいのか」「AIを成果につなげるにはどうしたらいいのか」といった、より具体的なご相談が増えています。
そうした変化を受けて、今年はAIという技術そのものを紹介するのではなく、お客様が自社の業務に置き換えて考えられるようなイベントを目指しました。AIだけでなく、DXやセキュリティ、複合機との連携なども含め、「業務全体をどう変えていくか」という視点で展示や講演を企画しました。
── 展示や講演では、どのような工夫をされたのでしょうか。
武井 一つひとつの製品やサービスを紹介するだけではなく、「実際の業務の中でどう活用できるのか」が伝わる構成を意識しました。例えば、講演で紹介した内容を展示ブースで実際に体験できるようにしたり、担当営業がお客さまと具体的な業務課題について話し合えるような展示を用意したりしています。
AIは単独で活用するものではなく、さまざまなソリューションと組み合わせることで、より大きな価値を発揮します。そのため、会場全体を通して、「自社ならこう使えそうだ」とイメージできる体験を大切にしました。
また、全国7都市で開催しているのも、お客さまの近くで直接体験していただきたいという思いがあるからです。実際に見て、触れて、会話することで初めて気付けることも多いと感じています。

武井 「AIはもう試すものではなく、業務で実践する段階に入っている」ということです。「Bridge for Innovation」は、新しい技術を紹介するだけのイベントではありません。お客様が自社の課題と照らし合わせながら、「まずはここから始めてみよう」「この業務なら活用できそうだ」と、次の一歩を考えるきっかけになる場でありたいと思っています。今回のイベントを通じて、多くのお客様のDX推進につながるヒントを持ち帰っていただけたら、とても嬉しいですね。
── 東京会場となった豊洲のショウルームの一部をリニューアルした背景を教えてください。

野崎 豊洲ショウルームは2020年のリニューアル以来、「お客様を成功へ導く懸け橋となる存在へ」をコンセプトに、多くのお客様を迎え、複合機を起点としたDX推進やペーパーレス化、セキュリティ対策、環境への取り組みなど、企業の課題解決につながるさまざまなソリューションを紹介してきました。一方で営業現場からは、製品やサービスだけでなく、富士フイルムビジネスイノベーションジャパンの事業領域や歴史、シンボリックな商材やAI活用の最新情報など、企業としての強みをより深く伝えたいという声が寄せられていました。
そこでショウルームの一部をリニューアルすることにしたのです。今回大きく刷新したのが、エントランスの壁面展示です。お客さまが会場に入った瞬間に、富士フイルムグループが歩んできた歴史や、これまで培ってきた技術を感じていただけるような構成を目指しました。

── リニューアル後、お客さまからはどのような反応がありましたか。
野崎 想像以上に、壁面展示の前で足を止めてくださるお客様が多くいらっしゃいました。
「Acolorって何ですか?」
「このコピー機、昔使っていたよ。」
「懐かしいね。」
そんな会話が自然と始まり、お客さまご自身の思い出話を聞かせていただくこともありました。また、以前は他社製品をご利用されていたお客様から、「改めて歴史を見ると、やっぱり前身はゼロックスなんだね。」とお話しされ、富士ゼロックス時代の技術や取組みに改めて関心されていたことも印象に残っています。
最新技術だけでは伝えきれない会社の歩みや信頼感を、展示を通じて感じていただけたことは、とても嬉しかったですね。営業担当者にとっても、「昔はこんな製品があったんですよ」と会話を広げるきっかけになっていて、商談前のアイスブレイクとしても活用されています。

1962年に富士ゼロックス(旧社名)が発売した国内で製造した初めての乾式電子写真方式の事務用複写機「富士ゼロックス914」
── 今後、このショウルームをどのような場所にしていきたいですか。
野崎 ショウルームは、一度完成したら終わりではありません。AIや新しいソリューションなど、その時々で伝えたいテーマに合わせて柔軟に更新させていきます。歴史を大切にしながら、常に最新の情報も発信していく。その両方を実現できるショウルームにしていきたいですね。そして、お客様と営業担当者が自然に会話を交わし、新しいアイデアや課題解決のヒントが生まれる場所として、これからも進化を続けていきたいと思っています。
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン社長 旗生が語る、AIエージェント時代の企業変革

人手不足や物価高、コスト上昇など、企業を取り巻く環境が大きく変化する中、生産性向上は多くの企業に共通する経営課題となっています。そうした中、「Bridge for Innovation 2026」では、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社 取締役 社長 旗生泰一が、「AIを経営資源にする ~チャット活用からAIエージェント実装へ~」をテーマに講演しました。AIを単なる業務効率化ツールではなく、企業競争力を支える経営資源としてどう活用していくのか。実践的なAI活用や人材育成の考え方について紹介され、会場には多くの来場者が耳を傾けました。講演内容の詳細は、別記事で詳しく紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
最新のAI・DXソリューションが集結。会場で注目を集めた展示ブース

会場には、「FUJIFILM IWpro」や「DocuWorks」など富士フイルムビジネスイノベーションの主力ソリューションに加え、パートナー企業によるさまざまな製品・サービスも展示。AI、業務DX、セキュリティ、クラウドサービスなど、多様なソリューションを一度に体験できる構成となっていました。各ブースでは、製品やサービスの紹介にとどまらず、お客さまの業務課題に合わせて営業担当や技術者が具体的な活用方法を提案。「自社ではどのように活用できるか」「既存システムとどう連携できるか」といった相談も数多く行われ、会場のあちこちで活発なコミュニケーションが生まれていました。


また、AIをより身近に感じてもらうための体験型コンテンツも用意され、多くの来場者でにぎわう場面も。展示を”見る”だけではなく、実際に触れ、対話しながら業務変革のイメージを膨らませられることも、本イベントならではの魅力です。多くの来場者が足を止めていた展示の一つが、富士フイルムビジネスイノベーションのAI技術ブランド「REiLI Business」のコア技術「認識・構造化」AI技術を活用した図面AIブースです。図面をAIが解析し、必要な情報を抽出・構造化するデモには、多くのお客様が関心を寄せていました。今回は、図面AIの説明を担当した富士フイルムビジネスイノベーションジャパン SE統括部 SE技術推進部の石野さんに話を伺いました。
── この図面AIは、どのようなお客様の課題を解決する技術なのでしょうか。

石野 主な対象は、図面を多く扱う製造業のお客様です。製造現場では図面の電子化は進んでいる一方で、検索できるのは部品番号や図面番号など限られた情報だけというケースも少なくありません。そのため、「欲しい図面が見つからない」「類似図面を探すのに時間がかかる」「図面の中身をしっかり見ないと必要な情報を取り出せない」といった課題があります。
今回ご紹介した図面AIは、富士フイルムビジネスイノベーションのAI技術ブランド「REiLI Business」のコア技術の一つである「認識・構造化」AI技術を活用しています。AIが図面全体のレイアウトや構造を理解し、寸法や記号、表題や注記などの情報を自動で抽出・構造化することで、図面情報を検索・再利用しやすい形へと変換します。これにより、これまで個々の図面に埋もれていた設計ノウハウや過去の設計資産を組織全体で活用できるようになり、熟練者の経験を次世代へ引き継ぐ技術継承や、設計・製造業務の効率化、生産性向上につながります。

── この技術ならではの強みを教えてください。

石野 OCRで文字を読み取る技術は一般的ですが、私たちの技術は図面全体の構造までAIが理解し、必要な情報だけを抽出できる点が特長です。例えば、「ここは表題欄」「ここは注記」といった図面全体のレイアウトを認識した上で情報を抽出するため、年代やレイアウトが異なる図面にも柔軟に対応できます。また、類似図面検索では形状形だけでなく図面全体の特徴をAIが学習しているため、現場で本当に探したい図面を見つけやすくなります。
── 今後、この技術をどのように発展させていきたいと考えていますか。
石野 営業、SE、AI技術者でお客様先へ足を運び 、現場の課題や要望を技術へ反映しています。今後は2D図面単体の活用にとどまらず、製造業で生まれる様々な情報を横断的につなぐことで、設計レビュー、検図、見積、製造、品質確認などを支援する技術へと発展させ、図面情報を含めた企業のナレッジをさらに活用していただける世界を目指していきたいと考えています。
図面AIをはじめ、会場では富士フイルムビジネスイノベーションの技術とパートナー企業のソリューションが一体となり、AIを活用した業務変革の可能性を体感できる展示が数多く紹介されていました。「Bridge for Innovation 2026」は、最新技術とお客様との対話を通じて、新たな価値創出につながる場となりました。