富士フイルムビジネスイノベーション
ホーム 企業情報 企業活動 技術開発への取り組み 富士フイルムビジネスイノベーションのデザイン​ DESIGNERS プロダクトデザイナー

プロダクトデザイナー

2026.4

現場のリアルから、外観デザインを考える

プロダクトデザイナー 綾部 

2017年入社。商業用大型プリンターの外観デザインを担当。市場調査や現場観察からデザイン検討、生産段階まで一貫して関わり、プロの現場で長く使われる製品のデザインを追求している。

商業印刷機ならではの外観デザインの面白さ
——どんな製品の外観デザインを担当していますか?

私が担当しているのは、印刷工場に導入される商業印刷機や企業内の大量印刷用の複合機です。オプション機をつなげると全長が10m近くになるような大型機も扱っています。商業印刷機などBtoBの製品の外観デザイン全般に共通して言えるのは、外観の“見た目”だけで完結する仕事ではないという点です。形や色、素材、仕上げを考える前に、まず「現場でどう使われているか」「どんな場所に置かれているか」を自分の目で確かめにいくことが重要です。新製品の開発にあたっては、国内外の印刷現場を実際に訪問し、合計で46件ほど実際にお客様に使われている現場を観察しました。

——実際に見て、どんな気づきがありましたか?

国や地域によって設置環境や使われ方、考え方に大きな違いがあることを実感しました。国内はエンジニアサポートが手厚いぶん、比較的推奨に近い使われ方が多い一方、海外ではカバーを外して使っていたり、推奨外の状態で稼働しているケースもありました。また、設置環境や身体寸法の違いもあり、使われ方のばらつきは想像以上に大きいと感じました。そうした現実を踏まえたうえで、どこを重視し、どこを削ぎ落とすのかをチームで議論しながら、外観と操作性の両面で最適解を探していくところに、この仕事ならではの奥深さがあると感じています。

デザインを、プロセス全体で考える
——複合機の外観デザインで、やりがいを感じる時は?

コンセプトの検討からデザイン、市場導入まで、製品づくりのプロセス全体に関われることに、やりがいを感じています。私が担当している商業印刷機は、製品寿命や開発期間が長く、ひとつの製品を数年にわたって担当することもあります。そのため、デザインだけを切り出して考えるのではなく、最終的にどう世に出るかまでを見据えて関わることが欠かせません。初期段階で得た現場の実態は、その後のデザイン検討全体の土台になっています。ユーザーの姿や設置環境を具体的に思い浮かべられるからこそ、外観だけを切り出して考えるのではなく、設計や生産を含めた後工程まで一貫した視点でデザインに向き合うことができます。

デザインの質を高めるための環境づくり
——業務環境について工夫している点は?

「良い仕事をするには、良い作業環境が必要だ」という学生時代の先生の言葉が、ずっと自分の中に残っています。デザイン検討では、頭の中で思い描いた形をすぐに具現化して検証することが大切です。以前は工作室の環境が十分とは言えず、改善したいと考えていた中で、VRや3Dプリンターを活用した検討環境を、自分なりに整えてきました。特に大型印刷機は、すぐに実物大のモックアップを用意するのが難しいので、VRは欠かせないツールになっています。

触れたときに伝わる品質を大切に
——外観デザイナーとして大切にしていることは?

堅牢さや品質の高さを、モノを通してどう伝えるかという点です。商業用の大型印刷機は、プロの現場で長く使われる製品なので、見た目の印象だけでなく、実際に触ったときの感覚がとても重要になります。ドアを開けたときにスムーズに動くか、ガタつきがないか、ズレや違和感を感じさせないか。そうした数値では表しきれない部分までを含めて、品質だと考えています。

——その感覚を磨くためにしていることは?

仕事以外でも「モノ」に触れる時間を大切にしています。趣味のひとつがクラシックカメラの収集で、60年以上前のカメラにもよく触れています。電子部品を使わず、すべて機械的な構造だけで成り立っているカメラは、長く使われることを前提に作られており、操作したときのクリック感や巻き上げの滑らかさなど、細部まで配慮されています。そうした精緻な作りに触れるたびに、「良いモノとは何か」を実感します。そうした経験は、今の仕事にも自然とつながっています。装飾を足すのではなく、必要な要素だけを残して引き算していく。その上で、機能と形が無理なく成立している状態を目指したい。将来的には、外観だけでなく構造や機能への理解も深め、いわゆるエンジニアリングデザイナーと呼ばれるような領域にも挑戦していけたらと考えています。