操作性デザイナー 萩原
2019年度入社。複合機のハードウェア操作性デザインを担当。用紙補給や消耗品交換、紙づまり除去など、お客様が操作する場所について、迷いなく、確実に操作できるように作り込んでいる。

オフィスで使われる複合機の操作のしやすさ、使いやすさのデザインを担当しています。用紙の補給や消耗品の交換、用紙づまりの除去など、日常業務の中で繰り返される操作を、見た目の分かりやすさだけでなく、力の入れやすさや動かしやすさ、操作時の音や抵抗感といった感覚まで含めてデザインします。設計者と連携しながら試作と検証を重ね、製品としての使い勝手と品質を確認し、市場に出るところまで関わっています。
思い入れがあるのは、A3カラー複合機の「Apeos C 3067シリーズ」です。ハードウェアの操作性を担当し、開発から市場導入まで一連の経験を初めてできた製品でした。この製品では、これまで専門のエンジニアが行っていた複合機やオプション品の設置作業、定期的な部品交換の一部を、お客様自身でもできるようにする新しい取り組みがありました。手順が多く難しい作業を、どうすれば操作できるようになるのか。その方針づくりから関わることができたのは、大きな経験でした。


操作性は、複合機を初めて使う方から、身体の特性が異なる方まで、幅広いユーザーを想定して作り込む必要があります。自分ひとりの感覚だけでは偏ってしまうので、操作性のエキスパートである先輩と一緒に構想や試作品を確認し、多角的な視点を取り入れながら検討を進めています。操作性は、年単位の積み重ねで身につく部分が多く、長年の知見と経験を持つ先輩方から「こういう視点もあるよね」と示唆をもらいながら、より良い答えを探っています。
はい。プロダクトデザイナーとは特にやり取りが多いですし、UIデザイナーやグラフィックデザイナーとも連携します。たとえば車椅子の方や高身長の方なども想定しながら、UI画面のグラフィックが見えにくくならないか、操作として無理がないかを一緒に判断していきます。デザインセンターは和気あいあいとした雰囲気で、フリーアドレスでもあるので、「この人に相談すると早いかも」と思ったときに、躊躇なく話しに行けるのも魅力だと感じています。


お客様にとっての「使いやすさ」は、毎日の業務をストレスなくできることだと思っています。だからこそ、操作する人だけでなく、使われる環境やシーンも含めて考えなければいけません。たとえば、外装カバーを開け閉めするときの音が大きいと、操作中の方だけでなく、近くで働く方にとっても気になってしまいます。目に見える操作だけでなく、その周囲まで含めて想像しながら検討していく必要がある点に、操作性デザインの難しさがあると感じています。
設計側にとっては当たり前の操作でも、ユーザーにとってはそうではない。そのギャップをどう埋めるかというところです。なぜ迷ったのか、どこでつまずいたのかを丁寧に整理し、客観的な結果をもとに設計や開発と共通認識をつくりながら改善を重ねます。実際にカタチにしてくれるのは設計者なので、その皆さんにいかに問題を共感してもらうかを大事にしています。ひとつ直すと、また別の課題が見えてくる。その繰り返しの中で、操作性を成立させていく難しさと、この仕事ならではの面白さを実感します。

デザインセンターでは、ヒト中心のデザインをとても大切にしています。複合機は、本当にさまざまな方が使う製品です。「この人には良いけれど、この人には使えない」というものはつくれない。だからこそ、できるだけフラットな視点で、いろいろなユーザーの立場に立って考えることを意識しています。操作の一つひとつについて、「誰かを無意識に取りこぼしていないか」を問い直しながら判断を重ねています。
操作性デザインは、ユーザーの迷いや不安を一つずつ取り除いていく、とても根気のいる仕事だと思っています。その中で、インハウスのデザインセンターだからこそ、開発の初期段階から市場導入、その後の使われ方までを通して関わり、「本当に使いやすくなったのか」を確かめ続けることができます。設計や開発と議論しながら最適解を探る過程で、操作性だけでなく、製品やサービス全体を捉える視点も自然と身についていきました。ユーザーの立場で考えることや、粘り強く改善を重ねることを楽しめる方にとっては、学びの多い仕事だと思います。私自身もハードウェアの操作性を軸にしながら、より広いUXの視点で価値を考えられるデザイナーを目指していきたいと考えています。










