富士フイルムビジネスイノベーション株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:浜 直樹)は、複合機の高画質化・小型化を支えてきた光デバイス技術を応用した独自のレーザー光源「Smart Addressable VCSEL」を活用した空間センシング技術を開発しました。本技術は、レーザー光源やその制御機能をひとつのチップに集約することなどによる小型化を実現するとともに、取得した距離データを解析することで、人や物の位置だけでなく、その動きや移動方向を広範囲で認識できます。こうした小型かつ広範囲なセンシングの特長を生かし、人の接近に応じた機器の自動制御や、人の動きを利用した非接触操作、作業者や通行人の検知による安全支援などへの活用が期待されます。
本技術は、当社が複合機・プリンターの開発で長年培ってきた光デバイス技術を応用したものです。150度を超える広い範囲にレーザー光を照射し、人や物までの距離データを取得するとともに、データを独自のアルゴリズムで解析することで、人や物の位置だけでなく動きや移動方向も認識できます。具体的には、レーザー光を照射する発光部、反射光を受光する受光部、距離を算出する距離計測回路、データを解析するための制御演算部で構成されており、発光部から照射したレーザー光の反射光を受光部で捉え、その往復時間から人や物までの距離データを取得します。(図1、図2)

図1:空間センシング技術の概要

図2:空間センシングのイメージ
- 図1:空間センシング技術は、発光部、受光部、距離計測回路、制御演算部で構成されています。発光部から照射したレーザー光の反射 光を受光部で捉え、その往復時間から人や物までの距離を取得できます。
- 図2:空間センシング技術により、150度を超える広い測定エリアを分割した各照射領域の距離データを取得し、このデータを独自アルゴリズムで解析することで、人や物の位置だけでなく、その動きや移動方向も認識できます。
また、この空間センシング技術の中核となるのが、当社独自のレーザー光源「Smart Addressable VCSEL」です。「Smart Addressable VCSEL」(図3)は、当社の複合機・プリンターの高画質化に貢献してきた面発光レーザー(VCSEL*1)と小型化を支えてきた自己走査型発光素子(SLED*2)の技術を融合したものです。多数のレーザー発光点と、それらを高速に切り替える選択回路を集積しており、レーザー光の照射位置を電気的に高速制御できます。これに、広角投影レンズを組み合わせることで、150度を超える広い範囲への照射を実現しています。(図4)
- *1 VCSEL:Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser(垂直共振器型面発光レーザー):半導体の表面から光を出す小型のレーザー。当社複合機の露光用光源として高速化・高画質化に貢献してきたほか、近年では顔認証や3Dセンシング用途にも用いられている。
- *2 SLED:Self-Scanning Light Emitting Device (自己走査型発光素子):発光位置を電子的に切り替えるための回路機能を、発光部と同一チップに集積した光デバイス。当社のLEDプリントヘッドの中核部品として複合機やプリンターの小型化・高画質化に貢献してきた。

図3:「Smart Addressable VCSEL」の概要

図4:レーザー光を広範囲に照射する(発光部)イメージ
- 図3:「Smart Addressable VCSEL」は、 24×24の格子状に配置された576個のレーザー発光点を複数の発光領域に分けており、発光領域を高速に切り替える選択回路を集積しています。これにより、レーザー光の照射位置を電気的に高速制御できます。
- 図4: 「Smart Addressable VCSEL」は、レーザー光の照射位置を高速に切り替えながら制御できるため、広角投影レンズと組み合わせることで、150度を超える広い範囲への照射を実現しています。
本技術により、人や物の位置だけでなく、動きや移動方向も認識する空間センシングが可能になります。また、カメラ映像ではなくセンサーで取得した距離データを解析する方式を採用していることから、プライバシーへの配慮や通信処理負荷の低減が求められるさまざまなシーンで活用できます。例えば、人の接近を検知して機器を自動的に起動・制御し、機器使用までの時間の短縮と省エネルギーを同時に実現します。また、人の動きを利用した非接触操作や、機器周辺の人や物の状況把握による安全支援への活用も期待されており、オフィス機器をはじめ、設備機器などへの展開を想定しています。
今後、当社は、本技術を活用した空間センシング技術の実用化を進めます。まずは当社複合機に搭載されている消費電力の抑制を通じて環境負荷を低減する技術「Smart WelcomEyes」をさらに進化させ、利用者の接近に応じた機器の起動や省電力状態からの復帰を高精度に実現することで、利便性向上と省エネルギーの両立を図ります。さらに、非接触操作や安全支援などへの応用を検討するとともに、設備機器をはじめとするさまざまな分野での活用可能性を探索していきます。
なお、本技術は、「CEATEC 2026」(2026年10月13日~16日、幕張メッセ)への出展を予定しています。会場では、空間センシングを実現する仕組みと、活用イメージを紹介します。
- * 「Smart Addressable VCSEL」は、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の登録商標です。
- * プレスリリースに掲載されているサービス、施設名、商品名等は各社の登録商標または商標です。
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