富士フイルムビジネスイノベーション
ホーム ソリューション 中堅・中小企業のDX推進コラム 業務効率化コラム:レガシーシステムの問題点とは?刷新方法と押さえるべきポイントについて解説

レガシーシステムとは、長年使われてきた結果、現在の業務や技術環境に合わなくなった企業の既存システムのことです。

​​かつては業務を支えてきた一方で、現在のシステムには合わずに、保守コストの増大やDX推進の妨げとなり多くの企業で深刻な経営課題として表面化しています。技術者の高齢化や新技術との連携​が難しくなることは​、競争力低下のリスクも高める要因にもなりかねません。​

​​本記事では、レガシーシステムが問題視される理由や刷新方法についてわかりやすく解説します。​

​​レガシーシステムとは​

​​レガシーシステムが問題視される理由

​​DX推進の加速に既存システムが対応できない​

DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めようとした場合に、レガシーシステムが残っていると、ボトルネックとなり新しい施策に着手できないケースがあります。

​​たとえば、AIやビッグデータ分析を導入したくても、古いシステムからデータを取り出せなかったり、APIで連携できなかったりする問題が挙げられます。

​​顧客データを活用したサービス改善を行いたくても、処理に時間がかかってしまうことで競合他社に遅れをとってしまいかねません。また、システムの柔軟性が失われることで、市場変化にすばやく対応できず、ビジネス機会を逃すことにつながります。

クラウド活用や新技術導入が難しく競争力が低下しやすい​

レガシーシステムは構造上、クラウドサービスやモバイルアプリとの統合が困難な傾向にあります。​

​​競合企業がクラウドを活用して開発スピードを上げたり、運用コストを削減したりしている間、レガシーシステムを利用し続けていることで自社だけが高額な保守費用を払い続ける状況に陥ります。

​​新しいビジネスモデルを取り入れようとしても、システム改修に何か月もかかり、市場投入のタイミングを逃す可能性も否定できません。​

​​結果として、イノベーションの速度で競合に劣り、市場でのポジションを失っていくリスクが高まります。

セキュリティー要件や法令に追従しにくい​

古いシステムは、新しいサイバー攻撃から守るためのセキュリティー更新プログラムが提供されなくなることがあります。

​​システムの土台となるソフトウェアのサポートが終了しても、更新すると他の部分に影響が出る不安から、危険な状態のまま使い続けている企業は珍しくありません。​

​​また、個人情報に関する法律や会計書類の保存ルールが変わっても、古いシステムでは対応に時間と費用がかかってしまいます。

​​もし、ハッキングや情報漏えいなどのトラブルが起きれば、会社の信用低下や賠償金の支払い、最悪の場合は営業停止に追い込まれる可能性もあります。

2030年問題に直面する​

2030年問題とは、少子高齢化の進行により生産年齢人口(15〜64歳)が減少し、社会や企業活動に幅広い影響が及ぶことを指します。出生数の減少と高齢者人口の増加が同時に進む日本では、2030年前後に労働力確保が一層困難になると見込まれています。​

​​経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査」では、​​ ​​2030年には最大で約79万人のIT人材が不足​​するとされており、人材不足は業務効率化やDX推進、新規事業の展開にも影響を及ぼす可能性が高いです。

​​さらに、労働力不足に加え、専門知識や技能の継承が難しくなること、国内市場の縮小による国際競争力の低下も懸念されています。​

​​2030年問題は、人口構造の変化を起点とする社会全体の構造的な課題であり、企業には中長期的な視点での対策が求められます。

レガシーシステムから脱却が進まない要因3選

移行リスクが高い​

レガシーシステムからの移行が進まない理由として、移行リスクの高さが挙げられます。長年稼働してきたシステムを新しい環境へ移行する際、業務停止やデータ損失といった重大なトラブルが発生するリスクがあります。​

​​特に金融機関や製造業など、24時間365日の稼働が求められる業種では、数時間のシステム停止でも顧客離れや売上損失につながります。​

​​また、システムの仕様書が残っていない場合、どの機能が業務に必須なのか判断できず、移行後に想定外の不具合が起きる可能性も高まります。

​​そのため「現状は不便でも動いているから変えない」という判断がされやすく、結果として現状維持を選ばせる要因となっています。​

投資対効果が見えにくい​

レガシーシステムの刷新には多額の投資が必要な一方で、その効果を数値で示すことが難しいという課題があります。

​​新しい売上が生まれるわけではなく、「将来のリスク回避」や「保守コストの削減」といった間接的な効果が中心になるためです。

​​たとえば、保守費用が​​年間300万円から100万円​​に下がったとしても、初期投資が大きければ回収までには長い時間が必要です。さらに、DX推進による競争力向上といった定性的なメリットは、費用対効果として評価しにくい面があります。

​​効果を明確な数値として示せないことが予算確保の障壁となり、レガシーシステムからの脱却を遅らせる原因のひとつになります。​

現場のリソース不足

現場の人手不足も、レガシーシステム脱却を妨げる要因です。​

​​レガシーシステム刷新には既存業務を継続しながら、要件定義や移行作業を並行して進める必要があります。しかし、多くの企業では日常業務に追われ、プロジェクトに十分な人員を割けない状況です。

​​特に、レガシーシステムを理解しているベテラン社員は日常業務でも欠かせない存在であり、専任にするのが難しい傾向にあります。​

​​外部ベンダーに依頼する方法もありますが、自社の業務を理解してもらうための説明や調整に時間がかかり、結局は社内メンバーの負担の増加につながります。​

​​結果として、業務を回すことが優先され、刷新の必要性を感じていながらも、抜本的な見直しが後回しになってしまうのが実情です。​

レガシーシステム刷新のためのアプローチ方法

モダナイゼーション​

モダナイゼーションとは、既存システムの機能を維持しながら、内部構造や技術基盤を現代的なものへ更新する手法です。

​​システム全体を一度に作り直すのではなく、古いプログラミング言語を新しい言語に変換したり、画面のインターフェイスを改善したりして段階的に刷新します。

​​たとえば、COBOL​(コボル)​でプログラミングされた基幹システムを汎用性の高いJavaに書き換えることで、保守できる技術者を確保しやすくなります。

​​業務フローやデータ構造は大きく変えないため、ユーザーへの影響を最小限に抑えられる点も特徴です。​

​​既存システムの資産を活かしながら、技術的な課題だけを解決したい企業に向いています。​

マイグレーション

マイグレーションは、既存システムのデータやアプリケーションを別の環境へ移し替える手法です。

​​オンプレミスのサーバーで動いていたシステムをそのまま仮想環境へ移動させる「リホスト」や、一部の機能を見直しながら移行する「リプラットフォーム」などの種類が挙げられます。​

​​たとえば、古いサーバーのサポート終了が迫っている場合、システムの中身を維持したまま新しいサーバーに移行することで、当面の運用リスクを抑えられます。

​​ただし、根本的な設計の問題は残るため、中長期的には別の対策の検討も必要です。​

​​移行の規模や期間を調整しやすいため、予算や時間に制約がある企業でも実施しやすいアプローチ方法です。

クラウド移行

クラウド移行は、オンプレミスで運用していたシステムをAWSやMicrosoft Azureなどのクラウド環境へ移す手法です。​

自社でサーバーやネットワーク機器を保有する必要がなくなるため、ハードウェアの保守コストや運用負荷を削減できます。

クラウド事業者が提供するAIや分析ツールと連携しやすく、DX推進の基盤としても機能しやすいのがメリットです。

ただし、既存システムをそのままクラウドへ移すだけでは十分な効果が得られないため、クラウドの特性を活かした設計変更も併せて検討する必要があります。​

アクセス量に応じてサーバーの処理能力を柔軟に増減させられるため、繁忙期と閑散期で業務量が変動する企業に適しています。​

レガシーシステム刷新に向けて企業が押さえるべき重要ポイント

現状システムの可視化と課題の明確化​

​​刷新プロジェクトを始める前に、現在のシステムがどのような構造で、どこに問題があるのかを把握する必要があります。

長年の改修でシステムが複雑化していると、どの機能が何に影響するのか誰もわからない状態になっているケースも少なくありません。​

まずは、システムの構成図やデータフロー図を作成し、業務プロセスとの関係を整理する必要があります。その際、年間の保守コストや障害の発生頻度、技術者の確保状況といった定量データもあると有効です。

​​こうした可視化作業により、優先的に対処すべき課題が明らかになり、経営層への説明材料としても活用できるようになります。​ ​

段階的な移行戦略(ロードマップ)の策定

システム全体を一度に刷新しようとすると、リスクやコストが膨大になってしまいます。​

​​失敗時の被害を最小限に抑えるためには、影響範囲が小さい部分から段階的に移行する計画を立てることが重要です。

​​たとえば、最初の半年で営業支援システムだけをクラウド化し、その成果を検証してから次の1年で基幹システムへ着手するといった具合です。

​​それから、各フェーズで達成目標と予算を明確にし、3年から5年といった中長期のロードマップを作成します。途中で市場環境や技術トレンドが変化しても柔軟に対応できるよう、半年ごとに計画を見直す仕組みも設けておくと計画倒れを防ぎやすくなります。​

​​経営層・現場が協働する推進体制づくり

​​システム刷新は情報システム部門だけで完結できるプロジェクトではありません。経営層が予算と人材を確保し、現場部門が業務要件を明確にする協力体制が不可欠です。

​​経営層が承認だけして現場任せにしたり、逆に現場の意見を聞かずにトップダウンで進めたりしてしまうと、プロジェクトが頓挫するリスクが高まります。

​​そのため、定期的に経営層・IT部門・業務部門が集まる会議体を設置し、進捗や課題の共有によって認識のズレを防ぐことが重要です。​

​​外部のコンサルタントやベンダーを活用する場合も、丸投げせずに社内メンバーが主体的にかかわることで、刷新後の運用もスムーズに進みやすくなります。

まとめ:レガシーシステムから脱却してさらなる企業成長を!