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ホーム ソリューション 中堅・中小企業のDX推進コラム 業務効率化コラム:請求書業務を効率化する方法|原因から改善方法、ツール選定まで解説

請求書業務は企業の取引を支える重要な業務ですが、手作業や例外対応が増えることで作業負担が大きくなりやすい領域でもあります。特に取引先ごとの個別対応やデータの分断などが重なると、業務のスピードや正確性が低下します。

請求書業務を効率化させるためには、まず非効率になる原因を正しく把握することが欠かせません。

本記事では、請求書業務の非効率が生まれる構造的な原因を整理し、改善に向けた具体策を解説します。

請求書業務が非効率になる本当の原因

取引先ごとの例外処理が増え続ける

請求書業務が非効率になる原因のひとつに、取引先ごとの例外処理が増えている状況があります。

多くの企業では、取引先ごとに請求書のフォーマットや送付方法、締め日などが異なります。そのため、標準的な業務フローだけでは対応できず、個別の処理が必要です。

たとえば、特定の取引先だけ別形式の請求書を作成する場合や、メールではなく郵送で送付するケースなどが挙げられます。このような例外対応が積み重なると、作業手順が複雑になり、担当者の負担が増えてしまいます。

業務データが分断され転記が発生する

請求書にかかわるデータは、受注管理・会計ソフト・Excelシート・紙台帳など、複数の場所に分散して管理されているケースが少なくありません。それぞれのシステムが連携していない場合、担当者は同じデータを何度も手入力で転記することになります。

転記作業は時間がかかるだけでなく、入力ミスや記載漏れが発生するリスクも伴います。たとえば、受注データを会計ソフトに手動で入力し直す作業が毎月発生していれば、それだけで相当な工数が必要です。

データが分断された状態では作業効率が上がりにくく、業務全体の生産性を下げる要因になりやすいといえます。

差し戻しや修正が頻発する

請求書の記載ミスや添付漏れが原因で、上司や経理担当から差し戻しが繰り返されるケースは珍しくありません。

差し戻しが発生するたびに、確認・修正・再送付といった作業が発生し、それが複数件重なると処理全体の遅延につながります。

ミスの多くは、入力ルールが明文化されていない、チェック体制が属人的、といった仕組みの不備が原因です。

また、差し戻しのやり取りがメールで行われる場合、どの請求書がどの状態にあるかを把握するだけでも手間がかかります。

承認前の確認プロセスが整備されていないことが、修正の連鎖を引き起こしています。

月末月初に業務が集中する

多くの企業では、請求書の発行や確認作業が月末や月初に集中します。取引の締め日が同じ時期に設定されていることが多く、短期間に大量の請求書を処理する必要があるためです。

このタイミングでは、請求書作成・承認・送付などの作業が同時に進みます。その結果、担当者の業務量が一時的に大きく増え、ミスが発生しやすくなります。

業務が特定の時期に集中する状態は、作業の遅延や確認不足を招きやすく、請求書業務を非効率にする要因のひとつです。このまま繁忙期への対策を取らずに放置すると、ミスの増加や担当者の過度な負担につながります。

手作業と属人化から抜け出せない

請求書業務では、Excelや紙ベースなど、長年の運用をそのまま引き継いでいるケースが少なくありません。その結果、手作業が多く残り、特定の担当者に業務が依存する状態になりやすくなります。

たとえば、請求書作成の手順や確認方法が担当者ごとに異なり、明確なルールが共有されていないケースでは、担当者が不在になると業務が滞る可能性があります。また、手作業が多いほど処理スピードは遅くなり、取引件数が増えた場合にスケールできません。

手作業や属人化を解消するには、ツール導入の前に業務フロー自体を整理することが重要です。

効率化を成功させる進め方

業務全体を可視化する

請求書業務の効率化を進める際には、まず業務全体の流れを把握する必要があります。

全体の業務には、請求書の作成だけでなく、受注情報の確認・承認・送付・保存・入金管理など、複数の工程が関係しています。各工程で誰が・何を・どのくらいの時間をかけて行っているかを整理することで、問題のある工程や改善すべきポイントが見えてきます。

たとえば、「差し戻しが起きやすい工程はどこか」「特定の担当者にしかわからない作業があるか」といった観点で洗い出すと、対策を考えやすくなります。

現場の担当者にヒアリングしながら進めると、表面には出てこなかった非効率も発見できます。業務の全体像を把握してはじめて、優先して改善すべき部分が明確になります。

標準業務と例外業務を切り分ける

業務を可視化したら、次に「毎回同じ手順で処理できる業務」と「取引先や状況によって対応が変わる業務」を分けて整理します。

前者が標準業務、後者が例外業務です。この切り分けを行わずに効率化を進めると、例外対応まで一律にルール化しようとして現場が混乱するケースがあります。

たとえば、フォーマットが統一されている取引先への請求書発行は標準業務として自動化できる一方、都度条件が変わる取引先への対応は例外業務として別フローに整理するほうが現実的です。

標準と例外を切り分けておくことで、自動化の範囲が明確になり、導入後の運用もスムーズに進めやすくなります。

自動化すべき作業を明確にする

業務の可視化と整理ができたら、次に、自動化できる作業の検討が必要です。請求書業務には、データ入力や転記、確認作業など、必ずしも人が手を動かす必要のない作業があります。

これらの作業を手作業のままにしておくと、時間がかかるだけでなく入力ミスの原因にもなります。

自動化に向いているのは、繰り返し発生する・ルールが決まっている・判断を必要としない、といった作業です。一方、例外的な交渉や確認が必要な対応は、自動化より担当者の判断に委ねるフローを残すほうが安全です。

自動化する作業を先に決めてからツールを選ぶことで、機能の過不足が少ない導入につながりやすくなります。

請求書業務を効率化する具体策

請求データを一元管理する

請求書業務を効率化するためには、請求にかかわるデータをひとつの場所で管理することが有効です。

取引情報や請求金額が複数のシステムや表計算ファイルに分かれていると、転記作業が増え、入力ミスの原因にもなります。

たとえば、受注管理システムと請求書発行ツールを連携させると、受注データから請求書を自動生成できるため、手入力による転記ミスを抑えられます。結果として、担当者の負担軽減にもつながります。

まずは、現在どこにどんなデータが存在するかを棚卸しすることから始めるのが効果的です。

請求書のルールを統一する

請求書のフォーマットや記載項目が取引先ごとに異なる状態は、確認・修正・差し戻しの原因になります。

そのため、自社が発行する請求書については、テンプレートを統一し、取引先名や金額といった必須記載項目をあらかじめ定めて、記載漏れや誤記を防ぐことが重要です。

受領する請求書についても、取引先に対してフォーマットのガイドラインを提示することで、受け取り後の処理をスムーズに進めやすくなります。

ルールを文書化してチーム内で共有しておけば、担当者が変わっても同じ品質で対応しやすい体制が整います。

承認から送付までを自動化する

請求書作成後の承認や送付の工程を手作業で行っている場合、確認のたびに作業が止まり業務が滞りやすくなります。

たとえば、紙の書類で承認を回したり、メールで送付する作業を個別に行ったりすると、処理状況の把握も難しくなります。

承認フローや送付作業をシステムで管理すれば、承認依頼・確認・差し戻しまでを一元化できます。承認完了後に自動でPDF化して送付する設定にしておけば、担当者の都度操作も減らせます。

承認の状況がシステム上で可視化されるため、請求書の状態についての確認作業が不要になり、処理スピードの向上だけでなく対応漏れのリスクも下げられます。

入金消込まで業務をつなげる

請求書を送付した後、入金が確認できたら会計データと照合して「消込」を行う作業が発生します。この工程が手作業だと、入金一件ごとに請求書との突合・台帳の更新・会計ソフトへの入力が必要になり、件数が多い月末は特に負担が集中します。

請求書システムと会計ソフトを連携させておくと、入金データをもとに自動で消込処理が行われ、確認にかかる時間の短縮が可能です。

未入金の請求書もリスト化されるため、支払い遅延への対応も早くなります。請求から入金まで一貫した流れで管理することで、業務全体の工数の削減が期待できます。

請求書業務を効率化するサービスの選び方

自社の業務に合っているか

請求書業務を効率化するサービスを選ぶ際は、自社の業務内容に合っているか確認することが重要です。

企業によって取引件数や請求方法、承認フローは異なります。そのため、機能が多いサービスであっても、実務に合わなければ使いこなせません。

たとえば、請求書の作成から送付までを一括で管理できる機能や、取引情報を簡単に取り込める仕組みがあると業務を進めやすくなります。

サービスの無料トライアルや操作デモを通じて、実際の業務フローにそのまま当てはまるかどうかを確認することで選択ミスを防ぎやすくなります。

例外処理に対応できるか

標準的なフローはシステムで処理できても、取引先ごとの特殊な条件や突発的な修正依頼などに対応できないサービスでは、結局は手作業が残ってしまいます。

そのため、導入前に、イレギュラーな対応が発生したときにどう処理するかを確認しておく必要があります。

たとえば、請求金額の事後変更や分割払いへの対応、複数部門への請求書の振り分けなど、自社で実際に起きている例外パターンをリストアップし、サービス担当者に確認してみてください。

例外対応の柔軟性は、製品資料には明記されていないことも多いため、デモや商談で具体的に確かめておくと安心です。

既存システムと連携できるか

請求書ツールを単独で導入しても、会計ソフトや販売管理システムとデータが連携できなければ、転記作業はなくなりません。こうした転記作業は入力ミスの原因にもなり、業務負担を増やす要因になります。

そのため、導入前には、現在使用しているシステムとのAPI連携やCSV取り込みに対応しているかどうかの確認が必要です。

連携の可否だけでなく、どの項目がどのように同期されるかまで確認しておくことで、導入後に、思っていた使い方ができなかったという事態を避けられます。

法制度対応が継続されるか

請求書業務では、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法制度への対応が求められます。これらの制度は今後も改正される可能性があるため、サービスが継続的に法制度へ対応できるかを確認しておくことが重要です。


導入時点で対応していても、制度改正後にアップデートが遅れたり、有償対応になったりするケースもあります。

法制度への対応が十分でない場合、後から運用を見直す必要が生じる可能性があります。そのため、サービス選定の段階で、法改正への対応実績・更新頻度・サポートポリシーを確認しておくことで将来的なリスク軽減につながるでしょう。

導入後の支援体制があるか

ツールを導入しても、現場への定着には時間と手間がかかります。実際の業務に定着させるためには、操作方法のサポートや運用の相談ができる体制がどの程度整っているかを確認しておくことが重要です。

初期設定のサポートや操作マニュアルの提供、問い合わせ窓口の充実度など、導入後の支援体制はサービスによって異なります。特に、経理担当者が少ない中小企業では、トラブル発生時にすぐ相談できる環境があるかどうかが、継続利用の可否に直結することもあります。

契約前には、どのようなサポートが、どの料金プランに含まれているかを明確に確認し、導入後に想定外のコストが発生しないよう確かめておくことでスムーズに効率化を進められます。

導入時の注意点

部分的な改善にとどめない

「まず請求書の発行だけ自動化しよう」といった部分的な着手は、取り組みやすい反面、全体の効率化には結びつかないことがあります。

たとえば、請求書の発行を自動化しても、その後の承認フローが手作業のままであれば、処理のスピードは変わりません。業務全体の流れを意識せずに一部だけ改善すると、改善した部分の前後で詰まりが生じ、かえって担当者の混乱を招くケースもあります。

取り組む範囲を決める際は、「どこを改善すれば次の工程も楽になるか」という視点で優先順位を判断することで、施策の効果を広げやすくなります。

現場を巻き込んで進める

請求書業務の効率化は、実際に業務を行う担当者の理解と協力が欠かせません。

効率化する計画を経営層や情報システム部門だけで進め、現場の担当者への説明が後回しになると、導入後に「使い方がわからない」「以前のやり方のほうが早い」といった声が出やすくなります。

スムーズに業務を効率化させるためには、現場が新しい業務フローに慣れるまでには時間がかかることを想定したうえで、導入前から担当者を巻き込んで意見を聞く機会を設けることが重要です。

また、現場のヒアリングを通じて、設計段階では気づけなかった例外パターンや運用上の懸念が見つかることもあります。計画の初期段階から現場と一緒に進めることで、導入後のトラブルを減らせます。

ツール導入を目的にしない

「クラウドツールを入れた」「ペーパーレス化した」という事実自体が目的になってしまうと、業務がどう変わったかを十分に検証できなくなる場合があります。

ツールはあくまで業務を効率化するための手段です。そのため、「処理時間がどれだけ短縮されたか」「差し戻しの件数がどの程度減ったか」といった具体的な数値で効果を確認することが重要です。

まずは現在の業務フローを整理し、どの作業を改善したいのかを明確にします。そのうえで適切なツールを選定し、KPI(達成目標となる指標)を設定して効果を評価できるようにすると、請求書業務の効率化を進めやすくなります。

まとめ