富士フイルムビジネスイノベーション
ホーム ソリューション 中堅・中小企業のDX推進コラム ITセキュリティーコラム:セキュリティーホールとは?発生する要因や想定されるサイバー攻撃、対策などを紹介

セキュリティーホールとは、ソフトウェアやOSなどに存在する欠陥のことです。セキュリティーホールを放置すると、不正アクセスやサイバー攻撃の対象となり、機密情報が流出するリスクが高まります。

本記事では、セキュリティーホールが発生する要因や想定されるサイバー攻撃、対策などを紹介します。セキュリティー対策の強化や見直しに取り組んでいる方は、最後までご覧ください。

セキュリティーホールとは

脆弱性との違い

セキュリティーホールと脆弱性の違いは、対象範囲の広さです。脆弱性とは機密情報の流出やシステムダウンなど、重大な損失を招く可能性のある問題点全般のことです。

プログラム上の欠陥に加えて、仕組みや運用体制など、安全性に問題があると判断された対象すべてが脆弱性に該当します。

一方、セキュリティーホールはOSやソフトウェアなど特定のプログラムに存在する欠陥を指します。脆弱性の一種であり、より具体的なリスクを示す言葉です。

脆弱性の詳細に関しては、以下の記事もご覧ください。

セキュリティーホールが発生する4つの要因

古いバージョンのOSやソフトウェアの使用

使用しているOSやソフトウェアの最新プログラムが配布されているにもかかわらず、古いバージョンを使い続けているケースです。

古いバージョンを使い続けると、新たに発見されたセキュリティーホールに対応できません。その結果、攻撃者からターゲットにされる可能性が高まり、機密情報の流出やマルウェア感染などの被害に遭いやすくなります。

また、ベンダーからのサポート期限が終了する前に、OSやソフトウェアのアップデートが必要です。サポート期限が終了したバージョンに対し、修正プログラムの配布やセキュリティー対策の強化は実施されず、安全性が低下します。

開発時に設計ミスやバグが発生

ソフトウェアやシステムの開発時に、設計上の欠陥やソースコードの記載ミス、テストの実施不足などが原因で、セキュリティーホールが発生するケースです。

開発現場では限られた人員で設計〜リリースまで、一連の開発工程を終わらせなければなりません。

開発期間が短いほど、セキュリティーホールの特定や修正に割ける時間が減ります。安定運用のために、開発スケジュールには余裕を持たせることが重要です。

運用時の設定ミスや更新作業の遅れ

システムやソフトウェアなどでの設定ミス、担当者の業務過多など、人為的な要因でセキュリティーホールが生じるケースです。

デフォルトで設定されている内容が、必ずしも正しいとは限りません。アクセス権限やポートの開放範囲など、過剰に権限や公開範囲が設定されていないか、運用前に確認が必要です。

開発期間が短いほど、セキュリティーホールの特定や修正に割ける時間が減ります。安定運用のために、開発スケジュールには余裕を持たせることが重要です。

セキュリティー対策が不十分

セキュリティー対策の見直しと強化が必要な場合、以下のどちらかに自社が該当しているか、まず確認が必要です。

  1. セキュリティーツールの導入が必要
  2. 従業員の意識改革が必要

1の場合は自社が解決したい課題に応じたツール選定が必要です。たとえば、パソコンやスマートフォンなどの安全性対策を強化するとしましょう。

モバイルデバイスの対策にはEDRとMDMがあります。EDRは端末上の不審な挙動を監視し、マルウェアの検知・駆除や侵入経路の特定を支援します。

一方、MDMはアプリのダウンロード制限やアップデート管理などを一元的に行えるため、安全性と利便性を両立しやすい点が特徴です。

また、2は従業員のセキュリティーに対する意識の低さが原因で、機密情報の流出リスクが高まるケースです。

機密情報を扱う意識が低いと、パスワードの使い回しやメールの誤送信、フィッシングメールの開封などが発生しやすくなります。セキュリティー研修や勉強会を定期的に開催し、従業員の意識を高めることで、慎重な行動を促します。

セキュリティーホールを放置した場合のリスク

リスクの種類

主な被害

ハッキング

・機密情報の流出

・データの削除や暗号化

・Webサイトの改ざん

マルウェア感染

・機密情報の流出

・デバイスの動作不良

・通常業務の遂行に支障が発生

機密情報の流出

・社会的信用の低下

・顧客との取引停止

・損害賠償請求

ハッキングやマルウェア感染の被害に遭った場合、機密情報が流出する可能性が高まります。仮にセキュリティー対策の不備が原因で顧客情報が流出した場合、顧客との取引停止に加え、損害賠償を請求されるおそれも生じます。

多額の損失を避けるにはセキュリティーホールを放置せず、素早く対応することが重要です。

セキュリティーホールを狙ったサイバー攻撃

ゼロデイ攻撃

ゼロデイ攻撃とは、攻撃者がOSやソフトウェア上に潜んでいる未知の欠陥を悪用するサイバー攻撃です。未知の欠陥とは、開発者が認識できていないまたはユーザーに公表していない欠陥です。

自社製品の欠陥に気づいたベンダーが、セキュリティーパッチ(修正プログラム)を配布する前に攻撃を仕掛けられることから、ゼロデイ攻撃と名付けられています。

攻撃の予兆を検知するのが難しいため、ゼロデイ攻撃を受けた場合は機密情報の流出やマルウェア感染、システムダウンなど、大規模な被害に遭うリスクが高まります。

以下の予防策と攻撃後の対応策を実施し、ゼロデイ攻撃の被害を最小限に抑えましょう。

主な予防策

攻撃後の対策

・OSやソフトウェアの定期的な更新

・データの暗号化

・機密情報の隔離

・バックアップデータの取得

・脆弱性診断ツールの導入

・ネットワークの遮断

・システム管理担当者へ連絡

・ウイルススキャン

バッファオーバーフロー攻撃

バッファオーバーフロー攻撃とは、バッファの許容量を大幅に超えるデータを送り、誤作動を引き起こすサイバー攻撃です。バッファとはデータを一時的に保存する領域です。

バッファに許容量以上のデータが書き込まれると、プログラムの強制終了やサーバーダウンなどの不具合が生じます。また、送られたデータのなかに、機密情報を外部に流出するコード内容が混じっていた場合、情報漏洩を招く可能性が高まります。

被害を抑えるにはログデータの取得やモニタリングなどで、社内ネットワークに侵入した不正アクセスや脅威を素早く検知することが重要です。

SQLインジェクション

SQLインジェクションとは、データベース用語「SQL」を使用し、データベース内で不正操作を行うサイバー攻撃です。攻撃を受けると、データの改ざんや削除、機密情報の流出などを招く可能性が高まります。

SQLインジェクションは、Webフォームなどの入力値をSQL文に「文字列連結」して実行してしまう実装を悪用します。対策として、プレースホルダ(パラメータ化/バインド変数)を利用します。

プレースホルダとは、SQL文の可変部分をパラメータとして分離し、入力値をSQLに直接連結しない仕組みです。これにより、入力値に不正なコードが含まれていても“命令”ではなく単なる文字列として扱われ、不正実行を防止できます。

OSコマンドインジェクション

OSコマンドインジェクションとは、攻撃者がWebサーバーに不正な命令文を送り、不正操作を実行するサイバー攻撃です。WebサイトやWebアプリケーションのセキュリティーホールを突いた攻撃で、ユーザーからの入力値を十分に検証しない場合に発生します。

たとえば、シェルに入力値をそのまま反映させる仕組みだと、OSコマンドインジェクションの被害に遭いやすくなります。

シェルはユーザーとOSに、双方からの指示内容を伝え合うプログラムです。入力値を検証せずにそのままシェルへ渡す仕組みでは、不正な命令まで実行されてしまいます。結果として、データの改ざん・削除や情報漏洩につながる恐れがあります。

クロスサイトスクリプティング

クロスサイトスクリプティング(XSS)とは、Webページに不正なスクリプトを埋め込み、ユーザーにそのスクリプトを実行させる攻撃です。

ユーザーが入力フォームの送信やサイト上に掲載されたリンクをクリックした際、不正なスクリプトを読み込み、個人情報を抜き取ります。

クロスサイトスクリプティングは、Webサイトや掲示板、SNSなどの欠陥を悪用したサイバー攻撃です。脆弱性診断の実施やWAFの導入などを行い、被害の発生リスクを減らしましょう。

クロスサイトリクエストフォージェリ

クロスサイトリクエストフォージェリとは、特定のWebサイトやアプリ、SNSにログイン中のユーザーを狙ったサイバー攻撃です。

攻撃者はユーザーが気づかないうちに、事前に作成した偽のサイトやページへアクセス先を変更し、アカウント情報やセッション情報を乗っ取ります。

ユーザー本人が操作しているようになりすまし、指定口座への不正送金や会員情報の書き換えなどを行い、ターゲット企業に損失を与えます。

被害を防ぐにはユーザー側と運営側、双方の立場での対策を把握しておくことが重要です。従業員には、業務に無関係なWebサイトへのアクセスを控えるように指示を送ります。

また、脆弱性診断を定期的に実施し、自社サイトやSNSなどでのセキュリティーホール解消に努めましょう。

DNSキャッシュポイズニング

DNSキャッシュポイズニングとは、DNSサーバーに潜むセキュリティーホールを悪用したサイバー攻撃です。DNSサーバーに保存されているキャッシュの内容を改ざんし、ユーザーを偽サイトのIPアドレスに誘導します。

偽サイトへアクセスしたユーザーは、個人情報の盗取やデバイスのマルウェア感染、サーバーダウンなどの被害に遭うリスクが高まります。

不要にDNSサーバーの情報を公開しないなど、運用面でも露出を最小化しましょう。

DNSサーバーとは

DNSサーバーは、ドメイン名とIPアドレスの対応付け(名前解決)を提供するサーバーです。IPアドレスはネット上の「住所」にあたり、その対応関係を維持するDNSはインターネット通信に不可欠です。

IPアドレスからデータの送信元や送信先などを識別します。ただし、IPアドレスはコンピューターが識別するために使用され、人間が見るとただの数列が並んでいるようにしか見えません。

人間がIPアドレスを理解できるように変換したのが、ドメイン名となります。DNSサーバーは人間とコンピューター、双方が通信でのやりとりを交わす際に欠かせない存在です。

セキュリティーホールへの5つの対策

OSやソフトウェアをアップデートする

OSやソフトウェア、ハードウェアは定期的にアップデートを実施し、最新バージョンを利用することが重要です。アップデートを行う目的の1つは、セキュリティーホールの解消に努め、安全性を強化することです。

古いバージョンを使い続けると、リリース後に発見された新たなセキュリティーホールへ対応できません。機密情報の流出やマルウェア感染などの被害に遭う可能性が高まります。

また、アップデートはユーザーがデバイスを快適に利用できるよう、機能性や操作性を高める内容も含まれています。

アップデートには新機能や不具合修正に加えてセキュリティ修正も含まれます。更新プログラムが配布されたら、速やかに適用しましょう。

セキュリティー対策ソフトを導入する

セキュリティー対策ソフトを活用するメリットは、マルウェア感染の脅威に加え、従業員の行動が原因による機密情報の流出リスクを軽減できる点です。

セキュリティー対策ソフトには、主に以下の機能が搭載されています。

  • マルウェアの検知と駆除
  • スパイウェアの検知
  • フィッシングサイトへのアクセス制限
  • Webフィルタリング
  • ファイアウォール

マルウェアの検知と駆除は、USBメモリやDVDなど、外部ストレージを活用した際にも機能します。

OSやブラウザに標準の保護機能がある場合も、要件を満たさないときは専用のセキュリティー対策ソフトの導入を検討しましょう。

脆弱性診断ツールを導入する

脆弱性診断ツールとは、システムやWebアプリケーション、サーバーなど、さまざまなツールや機器を対象に、セキュリティーホールの有無を調査できるツールです。

診断対象に複数のサイバー攻撃を疑似的に仕掛け、機密情報の流出やデータ消失、システムダウンなど、重大な損失につながる欠陥がないかを調査します。

脆弱性診断ツールを導入するメリットは、比較的短時間で調査を完了できる点です。自動で診断を進められるため、人間であれば数日かかる作業も、場合によっては1時間ほどで完了します。

また、1度ツールを導入すれば、定期的に脆弱性診断を行えるようになり、診断結果をセキュリティー対策の内容に反映できる点も魅力です。

脆弱性診断ツールは、ツールごとに診断の対象範囲や費用が異なります。事前に対象機器と予算を決めておくと、自社の条件に合うツールを選びやすくなるでしょう。

WAFを導入する

WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションを狙う攻撃に特化した防御製品です。WebサーバーとWebアプリの間に配置し、シグネチャやルールに基づいて不正通信を遮断します。

WAFの導入で、ファイアウォールやIPS/IDSなどでは検知できないサイバー攻撃を防げるようになります。WAFが対応可能な主なサイバー攻撃は以下のとおりです。

  • ゼロデイ攻撃
  • バッファオーバーフロー攻撃
  • SQLインジェクション
  • OSコマンドインジェクション
  • クロスサイトスクリプティング(XSS)
  • DDoS攻撃

複数の脆弱性攻撃に加え、事前対策が難しいゼロデイ攻撃の脅威を減らせる点が、WAFを導入する大きなメリットです。Webアプリケーションでの不正アクセスや不具合に悩まされている方は、WAFの導入を検討しましょう。

セキュリティー研修を定期的に開催する

従業員の意識を高めるため、セキュリティー研修を定期的に開催することが重要です。複数のツールを導入してセキュリティー対策を強化しても、従業員の意識が変わらない限り、人為的な要因によるリスクはなくなりません。

人為的な要因が原因での機密情報の流出を防ぐには、セキュリティー研修を受講し、サイバー攻撃の種類や被害、機密情報の扱い方などを学ぶ必要があります。

また、自社で研修の開催が難しい場合、外部の研修を利用するのも1つの選択肢です。豊富な経験やノウハウをもつ方が講師を務めるため、有益な知識を多数学べる研修の開催が期待できます。

まとめ