富士フイルムビジネスイノベーション
ホーム ソリューション 中堅・中小企業のDX推進コラム ITセキュリティーコラム:CSPMとは?基本的な仕組みや選定ポイントまでわかりやすく解説

クラウドサービスの利用が広がる一方で、設定ミスや管理不足によるセキュリティーインシデントが増加しています。こうしたリスクに対応するツールとして注目されているのが「CSPM(Cloud Security Posture Management)」です。

CSPMはクラウド環境の設定状況を継続的に監視し、リスクの検知・可視化を行うことで、安全な運用を支援します。

本記事では、CSPMの基本的な概念から主要な機能、導入時の注意点まで、導入を検討中の方に向けてわかりやすく解説します。

CSPMとは

CSPMの必要性

クラウド環境では、設定ミスや権限の過剰付与などが原因でセキュリティー事故が発生することがあります。特に複数のサービスを組み合わせて利用する場合、管理が複雑になり、ミスの見落としが生じるケースは珍しくありません。

こうした状況において、手作業によるチェックだけでは対応が追いつかないケースも増えています。CSPMを導入すると、クラウド全体の設定状態を自動的にチェックし、問題部分を即座に把握可能です。

結果として、事故の未然防止や対応の迅速化につながり、クラウド利用を安心して進められるようになります。

セキュリティー担当者の負担を軽減しながら、インシデント発生前に対処できる体制を整えるうえで、CSPMは欠かせない仕組みといえます。

SSPM・CWPP・CNAPPとの違い

クラウドセキュリティーには複数の対策がありますが、それぞれ管理する対象や目的が異なります。

 

管理対象

主な目的

CSPM

IaaS/PaaSの設定

設定状況の継続的監視とリスク管理(検知・是正)

SSPM

SaaSアプリケーション(Microsoft 365やSalesforceなど)

SaaS設定や利用状況の管理

CWPP

サーバーやアプリケーションなどの実行環境

稼働中ワークロードの脅威防御

CNAPP

クラウド全体

CSPMやCWPPなどを統合した包括的なセキュリティー管理

自社が抱えるリスクの種類に応じて、これらを適切に組み合わせることが効果的なセキュリティー対策につながります。

CSPMの主要な機能

複数のクラウドサービスの一元管理

多くの企業では、複数のクラウドサービスを組み合わせたマルチクラウド環境を運用しています。それぞれのサービスには独自の管理画面があるため、各環境を個別に確認していると、見落としや対応漏れが生じやすくなります。

CSPMを使うと、異なるクラウドサービスの設定状況を1つの画面で横断的に確認できます。

担当者はサービスごとに操作を切り替える手間を省きながら、全体のセキュリティー状態を把握できます。また、サービスごとの設定差異も把握しやすくなり、統一的な運用ルールの適用が可能です。

結果として、管理の複雑さを解消し、クラウド全体のガバナンスを高める効果が期待できます。

パブリッククラウドの利用状況とリスクの可視化

クラウド環境では、どのサービスがどのように使われているかを正確に把握することが重要です。しかし、クラウド環境では、どのリソースが存在し、どのような設定になっているかを常時把握することが難しい場合があります。

CSPMは、パブリッククラウド上のリソースや設定状態をリアルタイムで収集し、一覧表示する機能を持っています。たとえば、インターネットに公開されているストレージや、暗号化されていないデータベースを一目で確認が可能です。

さらに、リスクの優先度も表示されるため、対応すべき順序を判断しやすくなります。状況を可視化することで、対策の抜け漏れを防ぎ、継続的な改善につなげられます。

設定ミスやインシデントなどの検知・通知

クラウドの設定ミスは、外部公開や権限の誤設定など、重大なリスクにつながりかねません。

CSPMはこうした問題を自動的に検知し、管理者へ通知を行います。たとえば、不要なアクセス権が付与されている場合や、公開設定が意図せず変更された場合などにアラートが発生します。アラートの通知を受けた担当者は、問題を早期に把握し、迅速な対応が可能です。

問題が発生してから時間が経つほど被害は拡大しやすいため、早期発見・早期対応を実現するこの機能はインシデント対策に欠かせない機能です。

国際基準にもとづくチェック

クラウドのセキュリティー対策では、国際的な基準に沿った管理が求められる場面が増えています。

CSPMは、CIS(インターネットセキュリティーセンター)ベンチマークや各種ガイドラインにもとづき、自社のクラウド設定内容を自動でチェックします。

これにより、自社の環境が基準に適合しているかを継続的に確認が可能です。また、監査対応の際にも、チェック結果を証跡として活用できるため、コンプライアンス対応の工数を削減できる点もメリットです。

基準に沿った運用を維持することで、信頼性の高いクラウド利用を実現できます。

CSPM導入によるメリット

セキュリティー運用の工数を削減できる

クラウド環境の設定管理を手作業で行う場合、担当者はサービスごとに膨大な項目を一つひとつ確認しなければなりません。

CSPMを導入すると、設定内容のチェックやリスク検出を自動化できるため、日常的な確認作業を減らせます。たとえば、毎週数時間かけて行っていた定期点検の作業を、CSPMが代替可能です。

その結果、空いた時間をより付加価値の高いセキュリティー施策に充てられるようになります。人員が限られる中小規模の情報システム部門でも、高い水準でクラウド管理を維持しやすくなる点がメリットのひとつといえます。

インシデント発生リスクを最小化できる

クラウドにおけるセキュリティー事故の多くは、設定ミスや権限管理の不備が原因で発生するケースが多くあります。ストレージの誤った公開設定や、必要以上に広いアクセス権限がそのまま放置されることで、攻撃者に悪用される隙が生まれます。

CSPMはこうした問題を継続的に監視し、異常やリスクのある状態の早期検知が可能です。対応が早いほど被害の規模を抑えられるため、インシデントの発生そのものを未然に防ぐ効果が期待できます。

結果として、インシデントの発生自体を抑えやすくなり、安全なクラウド運用を実現できます。

DX推進とガバナンスの強化につながる

企業がDXを推進する際には、クラウドサービスが活躍する場面が急速に増えます。その一方で、管理すべき設定項目や利用サービスの数も増え、セキュリティー上のリスクが高まりやすい状況に陥りやすくなるのも実情です。

そこでCSPMを活用すると、新たなクラウドサービスを追加した場合でも、セキュリティー基準への適合状況を自動でチェックできます。また、セキュリティー面の不安が軽減されることで、新たなサービス導入やシステム開発を進めやすくなります。

これにより、DX推進のスピードを維持しながら、安全性を確保したクラウド活用が可能です。

CSPMを導入する際の注意点と選定ポイント

自社で利用しているクラウドサービスをサポートしているか

CSPMは、対象とするクラウドサービスに対応していなければ十分な効果を発揮できません。そのため、自社で利用しているサービスがサポート範囲に含まれているかの事前確認が必要です。

たとえば、特定のサービスのみ対応している場合、全体の管理が限定的になる可能性があります。また、今後利用を検討しているクラウドサービスへの対応状況も合わせて調べておくと、ツールの乗り換えや追加投資を防げます。

対応範囲が自社環境とズレたまま導入すると、監視の抜け漏れが生じてしまうため、事前の確認が不可欠です。

マルチクラウド環境でも使用できるか

複数のクラウドサービスを組み合わせて利用している企業では、すべての環境を一元的に管理できるかどうかが選定の重要なポイントになります。

対応クラウドの数だけでなく、各サービスの設定情報を同じ画面で横断的に確認・比較できるかも確かめておくと安心です。

ツールによっては、特定のクラウドでのみ詳細な検知機能が使え、他のクラウドでは基本的な項目しかカバーされない場合もあります。導入を検討している段階で、自社のマルチクラウド環境に対して実際にどこまで機能するかを検証しておくことで、導入後のミスマッチを防げます。

国際基準にはどこまで対応可能か

クラウドのセキュリティー対策では、国際的な基準に沿った管理が求められるケースが増えています。そのため、CSPMツールを選ぶ際は、自社が対応すべき基準のチェック項目がどこまでカバーされているかの確認が必要です。

CSPMによっては、CISベンチマークなどの基準に基づいたチェック機能は備えているものの、対応範囲や内容はサービスごとに異なります。また、基準への適合状況をレポートとして出力できるかどうかも重要な確認事項です。

自社の業種や取引先の要件に応じて、どの基準に対応する必要があるのかを整理し、その要件を満たせるかを確認することが大切です。

費用対効果が見合うか

CSPMの導入にはライセンス費用や運用コストが発生するため、得られる効果とのバランスを検討する必要があります。

CSPMツールの料金体系は、監視するクラウドリソースの数や利用するクラウドサービスの種類によって変動することが多くあります。そのため、初期費用だけでなく、月額・年額の運用コストも含めたトータルの費用を試算したうえで、得られる効果と見合うかどうかの判断が必要です。

たとえば、年間の手動点検コストや万一のインシデント対応コストと比較することで、導入の費用対効果をより具体的に評価できます。

無料トライアルや段階的な導入プランを提供しているベンダーも多いため、まず小規模で試して効果を確認するのも現実的な選択肢です。

サポート体制は十分か

CSPMは導入して終わりではなく、継続的な運用が求められます。そのため、トラブル発生時や設定変更時に相談できるサポート体制が整っているかを確認しておくことが重要です。

具体的には、日本語でのサポートに対応しているか、問い合わせへの回答スピードや対応時間帯はどうかといった項目が挙げられます。また、操作マニュアルやトレーニング資料が整備されているかどうかも、担当者がスムーズに使い始められるかに直結します。

運用面での不安を軽減するためにも、導入後の支援内容まで含めて比較検討すると安心です。

まとめ