富士フイルムビジネスイノベーション
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2026年7月3日

全日本DM大賞グランプリ事例から学ぶ、顧客を購入へ動かすDMマーケティングの極意

戦略性・クリエイティブ・実施効果の3つの観点から優れたDM(ダイレクトメール)を表彰する全日本DM大賞(日本郵便主催)。2026年、最上位の金賞グランプリを受賞したのが、アシックス商事株式会社様がシューズ商品のリニューアル販売に伴い実施したDM施策です。デジタルマーケティング支援サービス「Marketing Cockpit」を通じたデータ分析を基盤に、アシックス商事様のDM施策を継続的に支援してきた富士フイルムビジネスイノベーションおよびDM制作パートナーのフュージョン株式会社様の視点から本事例をご紹介します。

データ分析で明らかになったターゲット顧客のリアルな姿

アシックス商事様が販売を手掛けるアシックスのウォーキングシューズ「PEDALA RIDEWALK」は、“大人の街歩きを意識した”優れた機能性と上質なデザインを備えた人気商品です。そのリニューアルモデルとして「PEDALA RIDEWALK 2」の市場投入に際し、拡販を目指しDMマーケティングの検討も開始されました。

DMマーケティングを進める上で主に課題とされたのは、①新モデルへの買い替えの促進、②既存のスニーカーユーザー向けのアップセル、③離反顧客の活性化――の3点でした。

課題解決に向けて、アシックス商事様とともに富士フイルムビジネスイノベーションがまず取り組んだのは、デジタルマーケティング支援サービス「Marketing Cockpit」を活用した精緻なデータ分析に基づく、ターゲット顧客の洗い出しでした。過去のDM発信を起点とした、店舗・EC双方の購入履歴を統合したデータを分析。購入が活発なアクティブ層と、購入が落ち着いている休眠層のそれぞれについて詳細なセグメント分けを行った上で、DMへの反応率が高まる購入間隔や、DMと各顧客セグメントとの関係性などを明らかにしていきました。

データ分析を支援した富士フイルムビジネスイノベーション グラフィックコミュニケーション事業本部 DP事業部の森村 貴志は、「弊社では、2021年からアシックス商事様のDM施策を一貫してサポートさせていただいています。今回の案件では、その中で蓄積されてきた膨大なデータを独自の手法を用いて分析。どのようなお客様がDMをきっかけに購入する可能性が高いのか導き出すことで、DM送付対象の顧客セグメントを絞り込んでいきました」と語ります。

分析の過程では、休眠層に分類されていても、前回購入から810日(約2年3カ月)以内であれば、DMを起点に再購入に至る顧客が一定数存在するといった実態も見えてきました。

疑似試着というDM体験から始まるカスタマージャーニー

引用元:第40回全日本DM大賞 DM DIGEST BOOK

男性用・女性用の2種類が用意されたDMには、従来にはない斬新な工夫が盛り込まれました。そのひとつが、本来は店舗でなければ体感しにくい、顧客がシューズ購入を決断する際の重要な要素である「着用イメージ」を提供したこと。具体的には、圧着展開型のDMの外側に実寸大の商品画像を印刷し、足入れ部分を点線に沿って顧客自身にカットしてもらうことで、実際に足首を入れて、疑似的に試着できるようにしました。

富士フイルムビジネスイノベーションの制作パートナーとして、DMのクリエイティブを支援したフュージョン エグゼクティブマーケティングディレクターの吉川 景博氏は、「実寸大の商品画像の配置については、検討段階で真横や斜めなどさまざまな向きを試しました。また、シューズの外周に沿って型抜きする案も議論に上がりました。その中で、実際に試着する際にお客様の目に映るのはシューズを上から見た姿ではないかというアシックス商事様からの示唆を受け、DMの強度やコスト面も考慮した結果、上向きの画像を掲載し、お客様自身に切り取っていただく仕様に決定しました」と振り返ります。

スニーカーの中でも高価格帯に位置する商品であるため、DMの中面では購入検討者の納得感を高めることを目的に、スタイリングイメージとともに開発者による解説やリニューアルポイントを簡潔に紹介。購入時に利用できる割引クーポンも掲載しました。

加えてアシックス商事様では、店舗において対象商品を目立たせる陳列やディスプレイを実施。店舗スタッフとの連携に基づく接客トーク集の作成・運用や販売コンテストも実施しました。さらに、デジタル施策として商品サイトやSNSを通じて、着用イメージを伝える画像や動画の発信を強化。これらの取り組みを通じて、DMを起点としたカスタマージャーニーを設計した点も見逃せないポイントです。

拡販という成果が証明する、DMマーケティングの有効なアプローチ

一連の取り組みが奏功し、前年同期に実施したDM施策と比較して購入者数は142.9%に増加しました。DM送付数に対する購入率は6.4%を記録。特に、優良顧客セグメントにおいては15.8%という非常に高い数値となりました。また、ECサイトでの購入率も通常の2~5%台を大きく上回る8.1%に達し、DMを通じた疑似試着が購入促進に寄与したと考えられます。

主な成果指標
購入者数

前年同期の施策比142.9%
 

購入率

6.4%(優良顧客セグメントは15.8%)

EC購入率

8.1%

販売拡大という目に見える成果を残した、「PEDALA RIDEWALK 2」のDM施策。アシックス商事様を支援した関係者は、本事例から得た教訓を次のように説明します。

「DMと言うと、とかくクリエイティブ面に意識が行きがちですが、その前提として、しっかりとデータを分析し、過去のDM施策に対するお客様の反応を深く理解することが不可欠。それを基に改善のサイクルを回しながらDMの内容を検討することが重要です。今回は、DMを通じて疑似試着という新たな体験をお客様に提供できたこと、そしてDMの送付にとどまらず、店舗やECサイトへとつながる導線をしっかり構築できたことが、大きな成果につながったと考えています」(森村)

「世の中には、企業として『売りたい』という意識が前面に出たDMが多く見られますが、商品に詳しくないお客様がDMを受け取って、どうしたら購入に向けて次のアクションを起こしてもらえるのか、そのためのストーリーをお客様視点で考えることが、DMづくりには欠かせないと感じています」(吉川氏)

データに基づく顧客理解と、顧客視点による体験価値の提供こそが、これからのDMマーケティングにおける有効なアプローチのひとつと言えるでしょう。

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