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ホーム ソリューション 中堅・中小企業のDX推進コラム ITセキュリティーコラム:PC(パソコン)の不正利用による情報漏えいの実態を解説

企業のPCから顧客情報や機密データが外部へ流出するニュースを目にすることがあります。しかし、その原因は外部からのサイバー攻撃ではなく、社員による不正利用が引き金となっているケースも少なくありません。

「うちの会社は大丈夫」と思っていても、個人クラウドへのアップロードやUSBメモリへのコピーといった行動が、取り返しのつかない情報漏えいにつながるおそれがあります。

本記事では、PCの不正利用による情報漏えいの実態と具体的な対策方法を解説します。

PC(パソコン)の不正利用とは

PC(パソコン)の不正利用による情報漏えいが及ぼす影響

金銭的被害

情報漏えいによる金銭的損失は、想像以上に広範囲におよびます。まず、被害に遭った顧客への損害賠償金が発生します。その総額は、漏えい件数に応じて数千万円から数億円規模になることも珍しくありません。

さらに、原因調査のために外部のセキュリティー専門家を雇う費用やお詫び文書の郵送費、コールセンターの設置費用なども必要です。

取引先から契約を打ち切られることで失う将来の売上や、株価下落による時価総額の減少も無視できません。

社会的信用の低下

金銭では測れない信用の失墜も、企業にとって致命的な打撃のひとつです。情報漏えいのニュースは瞬時にインターネットで拡散され、長期間にわたって情報が残り続けます。

とくにSNSで情報が拡散されると、事実以上の悪いイメージが広がるリスクもあります。結果として、その後の優秀な人材の離職や新規取引の減少などの損失は避けられません。

こうした信用の回復には数年単位の時間がかかり、場合によっては事業の継続そのものが危ぶまれる事態に陥る可能性があります。

PCの不正利用による情報漏えいの手口

個人向けクラウドサービスへの無断アップロード

GoogleドライブやDropboxなどの個人向けクラウドサービスに、会社のデータを無断でアップロードするケースは、便利に見える一方でリスクがともなう行為です。

社員は「家で作業を続けたい」「スマホでも資料を見たい」といった理由から便利さを優先し、セキュリティーリスクを軽視しやすいです。

しかし、個人のクラウドアカウントは会社の管理外にあるため、セキュリティー上の問題が発生しても会社側で対処できません。

その場でのパスワード・情報漏えいだけでなく、本人の退職後もデータが残り続けることで悪用につながるリスクもあります。

USBメモリや私物HDDの利用による持ち出し

小型で大容量のUSBメモリや外付けハードディスクは、物理的な情報持ち出しの典型的な手段です。

数秒でギガバイト単位のデータをコピーできるため、退職予定の社員が顧客リストや企画案などを転職先で使う目的で持ち出す可能性もあります。

さらに悪質な場合、競合他社に情報を売却して金銭を得ようとする産業スパイ行為に発展するリスクも無視できません。

紛失や盗難のリスクだけでなく、ウイルスが混入している場合もあるため、社内ネットワークに接続した時点で感染が拡大する可能性も頭に入れておく必要があります。

SNSを利用した機密情報の公開

社員が何気なく投稿したSNSの写真や文章から、重要な情報が漏れるケースもあります。

たとえば、オフィスで作業している様子を撮影した写真がある場合。その背景に映ったモニターから、顧客名や契約金額が外部に漏れてしまう可能性があります。

また、「今日は大手企業Aとの契約が決まった」といった個人的な投稿にも注意が必要です。その一言から、未公開のビジネス情報が外部に伝わるおそれがあります。

本人に情報を漏らす意図はなくても、フォロワーや第三者がスクリーンショットを保存して拡散することで、取り返しのつかない事態になりかねません。

PC(パソコン)の不正利用による情報漏えいが発生した時の対処法

PC隔離・アカウント停止・漏えい範囲の特定

不正利用が疑われるPCを発見したら、まず該当機器をネットワークから切り離します。

LANケーブルを抜いたりWi-Fi接続を解除したりすることで、データの外部送信や証拠の削除を防げます。同時に不正利用者のアカウントを停止し、社内システムへのアクセスを遮断してください。

また、物理的な情報の持ち出しや漏えいなど、内部不正が原因で情報漏えいが発生した場合は対応が異なります。

対象アカウントのサービス権限の停止や、パスワードの変更などが必要です。後の調査を円滑に進めるためにも、アカウントの削除は行わないよう注意してください。

そのうえで、どの情報がいつ・どこに流出したのかを特定します。アクセスログやファイル通信履歴を確認し、影響を受けた範囲を確認します。

証拠保全(ログ・操作記録など)

法的措置や社内処分を検討する際、客観的な証拠が不可欠です。該当PCのアクセスログやファイルのコピー履歴、USBメモリの接続記録などを時系列で整理する必要があります。

可能であればハードディスクの完全なコピーを専門業者に依頼し、元データを改変せずに保存してください。

クラウドサービスやメールサーバーのログも重要な証拠になるため、一定期間は削除せずに保管します。スクリーンショットや写真による記録も有効ですが、日時情報が改ざんされていないことを証明できる形で残すことが重要です。

経営層や情報システム部門への連携

情報漏えいは、一部署だけで対応できる問題ではありません。とくに内部犯行による不正が疑われる場合は、懲戒処分や法的措置の検討が必要となるため、組織全体での意思決定が欠かせません。

発覚後は、上司や情報システム部門の責任者へ速やかに報告し、経営層への連絡ルートを確保します。報告の際は「いつ・誰が・何を・どのように漏えいさせたのか」を、現時点で判明している事実のみをもとにまとめます。

憶測や推測を交えると、状況をさらに混乱させる可能性がある点にも注意が必要です。経営層は、被害者への通知や謝罪、マスコミ対応など重要な意思決定を担うため、情報共有のスピードがその後の被害の大きさを左右します。

警察・専門機関へ相談

情報の不正持ち出しや転売が疑われる場合、警察への被害届提出を検討してください。その際には、サイバー犯罪相談窓口や都道府県警察のサイバー犯罪対策課が相談先となります。

また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)や日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)といった専門機関も、技術的なアドバイスや対応方法の情報提供を行っています。

個人情報保護委員会への報告義務が発生するケースもあるため、法務部門や顧問弁護士と連携しながら進めることが重要です。早期に専門家の助言を得ることで、法的リスクを軽減しながら適切な対応が可能になります。

PC(パソコン)の不正利用による情報漏えいへの対策

アクセスログの管理

誰がいつどのファイルにアクセスしたのかを記録するアクセスログは、不正利用の早期発見と抑止力につながります。

ファイルサーバーへのアクセス履歴やUSBメモリなどの外部デバイス接続記録、クラウドサービスへのアップロード履歴を自動で記録する仕組みを導入するのが効果的です。

ログは最低でも半年から1年間保存し、定期的に異常なアクセスパターンがないかチェックする必要があります。

たとえば、深夜に大量のファイルをダウンロードしている社員や、業務に関係ないフォルダーへ頻繁にアクセスする動きは、不正の兆候として注意が必要です。ログの存在を社員に周知することで、見られているという心理的な抑止効果も期待できます。

ソフトウェアの利用制限

会社が管理していないソフトウェアを勝手に導入することは、情報漏えいの原因になります。PCにインストールできるソフトウェアを制限し、事前に承認されたもののみ使用可能にする設定を行うことが重要です。

とくにファイル転送サービスや個人向けクラウドストレージ、チャットツールなどは業務用として認めたもの以外はブロックしてください。

また、USBメモリや外付けハードディスクへの書き込みを禁止する設定も有効です。

どうしても外部デバイスが必要な場合は、暗号化機能付きの指定製品のみを使用し、利用申請と承認のプロセスを設けることで徹底した管理につながります。

ITリテラシーの向上

どれだけ技術的な対策を施しても、社員のセキュリティー意識が低ければ情報漏えいは防げません。

社員のセキュリティー意識の向上のためには、年に2回程度の頻度でセキュリティー研修を実施し、具体的な事例を交えながら危険性を伝えることが重要です。

「自宅で仕事をするために会社のデータをクラウドに上げる」「取引先とのやり取りを個人のメールで行う」といった行為がなぜ問題なのかを理解してもらうことが大切です。

また標的型メールの見分け方や、怪しいリンクをクリックしない習慣なども教育内容に含めてください。テストメールを送って反応を確認する訓練も、実践的な学びの機会として効果的です。

まとめ