内視鏡システムのビデオスコープに内蔵されているイメージセンサーは、医師が病変を見つけて正確な診断を行うためにとても重要なパーツです。
内視鏡イメージセンサー開発を担当する野村に、自身のアスピレーション(志/こうしたい、こうなりたいという思い)と業務内容を語ってもらいました。
イメージセンサーとは
イメージセンサーとは、カメラのレンズから入った光を電気信号に変える装置。この仕組みによって、光が画像や映像として再現される。内視鏡システムでは、胃や腸内に光を照射して、粘膜表面の模様や血管の輪郭などを観察する。
- 内視鏡製品の改善や、次世代を担う新しい内視鏡向けイメージセンサーの開発。
- 富士フイルムの内視鏡システムを業界No.1にし、病気の早期発見によりたくさんの患者さん、ご家族を笑顔にする。
進路を意識し始めた中学生の頃には、「将来、なんらかの形で医療に携わりたい」という思いを抱いていました。きっかけは、私のことをとてもかわいがってくれた大好きな祖父をがんで亡くしてしまったことです。ショックでしたし、成長するにつれて、「もしも、がんがもっと早く見つかっていれば、祖父は助かったのかもしれない」という思いが芽生えました。
医療に携わる道を模索した結果、医師になるという道だけでなく、「医療機器の開発」というアプローチでも人々の健康に貢献できることを知りました。電気工学の大学教授だった叔父の影響もあり、私自身も大学で電気工学を専攻。勉強を重ねながら、「がんの早期発見につながる医療機器を開発し、たくさんの患者さんやご家族を笑顔にしたい」という思いが強まっていきました。
大学院を経て、富士フイルムに入社。配属されたのは内視鏡のエレクトロニクス開発部門でした。入社以来、がんの早期発見に役立つ医療機器である内視鏡システムのイメージセンサー開発に携わっています。
自分の中の「成長意欲」を自覚し始めたのは、小学生の頃でした。常に競い合っていた5歳上の兄の存在や、成績優秀な幼なじみたちの影響もあり、負けず嫌いの自分はいつしか、「常に周囲よりも1つ上、ハイレベルな環境を目指したい」と考えるようになりました。
大学進学の際、当初目指していた国立大学を諦め、指定校推薦で私立大学に進学するという決断をしたことがありました。大きなターニングポイントでした。決断をしたときは、安心や悔しさなどいろいろな感情が込み上げてきて、塾の先生の前で大泣きしてしまったのを覚えています。でも、この選択によって大学進学がゴールではなくなり、「ここから成長していくことが本当の目標だ」という意識が芽生えました。
おかげで、大学在学中も安住することなく成長し続けられたように思います。
富士フイルムに入社したのは、「優秀な人が多い職場で働きたい」と考えたから。あえて楽な道を選ばず、よりハイレベルな環境の中で自身のアウトプットの最大化を目指す——就職のみならず、高校進学や大学の研究室を選択する場面でもこの軸で判断してきましたが、「いずれも正解だった」と思っています。
富士フイルムには、社員の成長を促す環境のひとつとして「オープン・フェア・クリア」の風土があります。アイデアや提案がしっかりしていれば、若手社員でも評価され、製品開発に反映されることが少なくないんです。私も、入社当初から積極的に発言し、実際に製品に反映された経験を持っています。挑戦を恐れず、自分の意見を発信したいという人や、技術やアイデアを形にして、たくさんの人たちの健康に貢献し、笑顔を増やしたいという思いがある方にとっては、最高の環境かもしれませんね。
私のアスピレーション(志)は「富士フイルムの内視鏡システムを業界No.1にし、病気の早期発見によりたくさんの患者さん、ご家族を笑顔にする」です。これは入社したときから今までずっと変わっていません。
当社の内視鏡システムをご使用になった医師から「今まで使った内視鏡システムで一番きれいな画像だ」と言われたときは「自分のこれまでの努力が報われた」と感じました。というのも、内視鏡センサー開発の現場では常に「小型化」と「高画質」の両立という技術的なトレードオフに対処することが求められるからです。開発の難しさもそこにありますね。
内視鏡システムは患者さんの体内に挿入される医療機器です。高画質を求めて先端のカメラやセンサー部分が大きくなりすぎるとビデオスコープの径も太くなってしまい、患者さんの体への負担が大きくなります。一方で、医療の現場ではより鮮明な画像が求められており、そのためにはセンサーの性能向上が欠かせません。自分で細かい調整を幾度も繰り返し、ようやく生み出した画像の品質をほめてもらえたのは、胸がいっぱいになるような経験でした。
私たちの内視鏡システム開発の最大の強みは、「医師からのフィードバックを大切にし、すぐに製品開発に反映させる」ところだと考えています。業界や現場のニーズに合った製品をどんどん提案していけますし、製品の精度も高めていけるので、それが病気の早期発見にもつながり、患者さんやご家族の笑顔にもつながります。私たちが業界No.1を目指すことによって、よりたくさんの「笑顔を増やすこと」ができると信じています。
内視鏡イメージセンサー開発のプロフェッショナルを目指して成長していくだけでなく、これからは「人と人をつなぐ」役割も果たしていきたいです。内視鏡システムの開発において、最終製品としての最適なソリューションを見つけ出すためには、センサー技術だけでなく、ほかの技術や領域のスペシャリストたちとの連携も不可欠です。
今は次世代内視鏡システムの開発プロジェクトにリーダーとして関わっていますが、高画質化と小型化の両立や操作性の向上を図りながら、AI技術との融合により、病変の検出精度を向上させることを目指しており、所属するグループ以外のメカニクスや画像設計、商品化グループなどのメンバーを巻き込みながら推進することにやりがいを感じています。これからも現状に満足せずに、周囲と協力しながら、さらに高品質な内視鏡を開発していけたらうれしいですね。
休日の過ごしかた/趣味
趣味は旅行です。好きなアーティストのライブ開催に合わせて日本各地を旅行するのが好きですね。年に1度は夫婦でライブ開催地に旅行しています。ときには、旅先での美味しいご飯を目当てに旅をすることもあります。
休日の日課として、ジム通いもしています。運動すると心身がすっきりしますし、いつまでも健康に若々しくいたいので、なるべく週1回以上は行くようにしています。