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CSR活動報告│環境

生物多様性の保全

富士フイルムは創業以来、すべての事業活動が自然環境から恩恵を受け、また自然環境に影響を与えていることを認識し、環境や生物多様性の保全を重視しています。事業活動を通じサステナブル社会の実現に貢献していく上で、ネイチャーポジティブ(自然生態系の損失を食い止め、回復させること)を重要な社会課題の一つとしてとらえており、この考えの根拠となる方針を制定し、それに基づきさまざまな活動を推進しています。

各拠点における取り組み

当社は国際目標 30by30(2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する)に貢献するため、環境省「30by30アライアンス」に賛同し、自然共生サイトへの登録を進めるなど各事業拠点での生物多様性保全の取り組みを進めています。

富士フイルム 湧水の森林(もり)

(神奈川県 南足柄市)

神奈川県南足柄市の当社神奈川事業所足柄サイトの近隣にある当社社有林を中心とする森林で、複数の湧水が存在し、豊かな水資源に支えられ多様な生物種が存在しています。
当社は1934年の創業時から、これらの湧水を写真フィルムやディスプレイ材料などの製造に使用してきました。地域のステークホルダーとともに森林や湧水の保全活動を継続し、また自然環境に大きな負荷をかけない操業を継続したことにより、現在は樹木が大きく育ち、それを住処にするフクロウなどの肉食性動物を頂点とする生態系ピラミッドが構成されています。

森林の中の湧水

また、第二水源地「清左衛門地獄池」は箱根「箱根ジオパーク」の「ジオサイト」に位置付けられ、その湧水は「平成の名水百選」に選定されています。地域のために水を探し求めた清左衛門の伝承が伝わり、中の島の「狩野厳島神社」や池の畔の「弁財寺」とともに地域住民により大切にされてきた場所です。当社は地域住民を筆頭とするステークホルダーの方々とともに周辺環境の保全活動を行い、夏祭りなどの自然の中で催される伝統行事にも協賛してきました。

上述の生態系を維持する保全活動を継続しながら、地域の伝統行事を通じた文化的サービスへの協賛も行っていきます。

第二水源池「清左衛門地獄池」

湧水の森林(もり)で見られる動植物の一例

シラカシ、ケヤキなどの大径木

エビネ

キセキレイ

スナヤツメ

アズマヒキガエル

ゲンジボタル

タマムシ

サガミラン

タンスイベニマダラ

富士フイルム 癒しの小径(こみち) 

(静岡県富士宮市)

当社富士宮事業場内では、富士山を源とする清涼な湧水が複数か所から湧き出ており、準用河川 清水川に合流しています。清涼な湧水のみに生息するカワヂシャやバイカモなどの水草を育み、カジカ、カワヨシノボリ等の魚類、カモ類、サギ類等の鳥類からなる河川を中心とした豊かな生態系が形成されています。また、緑地の一部は常緑広葉樹のスダジイやアラカシなど自然林に近い景観を示しており、林床には希少なキンランやエビネ等の植物が確認されています。

湧水が合流する清水川

当社は2006年に清水川に沿って遊歩道を整備し、2016年に「癒しの小径」と命名しました。
当社の従業員は、これらの自然を楽しみレクリエーションに活用すると同時に、有志による清掃活動や希少な植物を保全するための外来植物の駆除による保全を行っています。
「癒しの小径(こみち)」では、これ等の保全活動を継続するとともに、工場見学者などに地域の自然の大切さを経験していただく機会の提供も行っていきます。

従業員有志による清掃活動

癒しの小径(こみち)で見られる動植物の一例

ミクリ

タシロラン

カジカ

ニホンヤモリ

バイカモ

ヒメアナンデールヨコエビ

カワヨシノボリ

スジダイ、アラカシなど常緑広葉樹林

コサギ

水循環ACTIVE企業

1社が内閣官房水循環政策本部より「水循環ACTIVE企業」に認証されています。

高機能材料の製造拠点における水資源保全の取り組み

(富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング第8製造本部/熊本)

ディスプレイ材料や半導体材料の製造を行う、富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング第8製造本部(熊本)の所在地である熊本県菊陽町を含む熊本地域(熊本市とその周辺市町村)と呼ばれる地域には豊富な水資源があり、本地域では生活用水のほとんどを地下水で賄っています。豊かな地下水が保持できた理由のひとつが、阿蘇山麓から菊陽町に広がる白川中流域の水田であり、この水田に大量の水が浸透し、地下水に供給されています。昨今、シリコンアイランドと言われる九州に半導体関連企業の進出が加速し、地下水採取量の増加が見込まれることから、熊本県においても生活や産業を支える地下水保全の重要性がますます高まっています。
同事業場ではこの地下水を守る活動として地下水かん養林の植林・整備や、かん養田の保全の活動を進めており、従業員やその家族が植林活動や田植え、稲刈りに参加しています。

地下水かん養田での田植えの活動

事業場内の雨水の再利用のための設備

  • *1 内閣官房リリース「99社を「水循環企業」に登録・認証しました!」