航空機や輸送機器の部品を製造しているA社。東日本大震災で製造にかかわる各種データのBCP対策としてバックアップ体制の見直しを進めていました。
課題
毎月100時間かかっているバックアップ作業の工数を削減したい
A社の情報システム部では、経営層からリスク対策強化を命じられ、バックアップ体制を強化しました。具体的には、週に1回、23時から翌日7時までかけてファイルサーバ内のデータをフルバックアップし、毎日の差分データを約4時間かけて行うバックアップシステムを構築し運用を始めました。しかし、データの増加に伴い、この運用方法が情報システム部にとっては大きな負担となりました。
「CAD/CAEのデータが想定していた以上に増加していたことに加え、動画データを保存したいなどのニーズも高まっており、ストレージが逼迫してきました。次第にバックアップも予定された時間内で終わらなくなり、通常業務に影響を及ぼしかねない状態でした」(情報システム部・H氏)
データ削除の要請に応えてもらえず、データ保管容量不足に対するクレームが・・・
現状を改善すべく、H氏はストレージの増強およびバックアップシステムの見直しを行いました。ところが、ファイルサーバを増設したことでバックアップに当初の想定より時間がかかることが判明し、システム全体を見直す必要がでてきました。また、すぐに再び容量不足になり、さらなる増設も必要に。これらの問題を解決するのは、機器の導入費用・保守メンテナンスなど、設備更新に多額の費用が発生するため容易ではありません。そこで、せめて不要データを削除することで負担を軽減しようと各部門に協力を要請しました。しかし、誰もデータを削除してくれないという結果に。
「調査の結果、半年以上アクセスしていない、いわゆるコールドデータが80%を占めていることが分かりました。ユーザー部門へ、その状況を説明し協力を要請したのですが、今後、参照する可能性があるため削除できないと言われてしまったのです」(H氏)
一方では、データ保管容量が全く足りていない、もっと増やしてほしいというクレームを受けて、H氏は打つ手もなく頭を抱えました。
課題のポイント
- ファイルサーバの増設により、バックアップ作業にかかる時間も増え続けている
- データ保管容量が不足しており、社内でクレームが出ている
この課題を解決した方法とは?
解決のポイント
- コールドデータを磁気テープにアーカイブすることで、バックアップにかかる時間を大幅に削減
- ファイルサーバのストレージ領域に余裕ができ、容量不足も解消した上に、パフォーマンスも向上
コールドデータを切り分けて管理することで、バックアップが容易に
H氏は展示会の富士フイルムブースに展示されていた、磁気テープによるデータストレージに興味を持ちました。信頼性が高く容量単価にも優れ、大容量データの長期保管に適していると紹介されており、自社で使えるのではないかと可能性を感じたのです。
「磁気テープが昔とは違い、大きく進化しているらしいということは、なんとなく知っていましたが、使ってみようと思ったことはありませんでした。しかし、富士フイルムの担当者から磁気テープの使い勝手が格段に良くなっていることや、バックアップを楽にする活用方法について教えてもらい、今必要なのはこれだという手応えを感じました」(H氏)
富士フイルムの担当者から提案されたのは、コールドデータを磁気テープにアーカイブするという使い方でした。データを、使用頻度に応じてデータをコールドデータとホットデータに切り分けて保管することで、バックアップにかかる時間を削減できるのです。これこそ、まさにH氏が欲していた情報でした。
ストレージ領域の容量不足が解消し、パフォーマンスも向上
検討を進め、導入が決まりました。コールドデータの取扱いは、一定期間アクセスがないデータを自動的に移動しアーカイブできるため、手間も掛かりませんでした。コールドデータを磁気テープに移したことで、ファイルサーバのストレージ領域に余裕ができ、容量不足も解消。さらに、サーバのパフォーマンスが改善され、業務効率の向上にも貢献できました。
「コールドデータを分けて管理することで、ファイルサーバの容量も確保でき、システムのバックアップも計画時間内で問題なく完了できています。各部署の要望を叶えつつ、情報システム部の負担も軽減することができました」(H氏)
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本内容は、基本的に実例に基づいていますが、顧客情報の保護などの観点から一部内容の改変を行い構成しています。