「交通DX・GXによる経営改善支援事業等の補助金とは？」
「自社でも利用できる補助金なのだろうか？」
このような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、「交通DX・GXによる経営改善支援事業等の補助金」について、概要や対象事業などをわかりやすくまとめました。記事の後半では、補助金を活用した事例もご紹介します。交通サービスの見直しや事業改善を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
「交通DX・GXによる経営改善支援事業等 補助金」とは、交通事業者のデジタル化・脱炭素化を支援するために、国土交通省が実施する補助金制度です。
ここでは、補助金の基本情報について、以下の内容に分けてまとめました。
- 補助の概要
- 補助率・補助上限・補助対象
- スケジュール
「交通DX・GXによる経営改善支援事業等 補助金」は、国土交通省が実施する制度です。バスやタクシーなどを運営する民間の交通事業者に対して、より便利で使いやすい公共交通を提供できるように、取り組みにかかる費用の一部が支援されます。
詳しくは後述しますが、対象となるのは次のような取り組みです。
| 対象事業 | 補助対象事業者 |
|---|---|
| バリアフリー化設備等整備事業 | 乗合バス・タクシー事業者 |
| 交通DX・GXによる経営改善支援事業等 | 乗合バス・貸切バス・タクシー・公共ライドシェア・日本版ライドシェア事業者 |
| 交通サービス利便向上促進事業 | 乗合バス・貸切バス・タクシー・公共ライドシェア・レンタカー事業者 |
| 地方ゲートウェイの刷新事業 | 乗合バス・貸切バス・タクシー・公共ライドシェア・日本版ライドシェア・レンタカー事業者 |
| 観光二次交通の高度化事業 | 日本版ライドシェア・公共ライドシェア事業者 |
補助率は4分の1～2分の1で、上限額とともに導入する機器や取り組みの種類に応じて変動します。事業者によっては複数の取り組みを組み合わせることで、より大きな補助を受けることも可能です。
補助金の公募は、例年4～5月頃にスタートします。実際に2025年度では、4月21日から5月30日までの期間に申請受付が行われました。年度によっては2次公募が行われる場合もありますが、予算がなくなり次第終了となるため注意が必要です。
詳しくは国土交通省の公式ホームページを確認するようにしてください。
また、着手可能日よりも前に対象事業に着手していたことが発覚すると、交付が決定していても取り消される可能性があります。発注先との契約や発注意思の伝達なども着手とみなされるため、細心の注意を払いましょう。
ここからは、補助金の対象となる交通DX・GX事業について詳しく見てみましょう。補助金の対象となる事業は以下のとおりです。
- バリアフリー化設備等整備事業
- 交通DX・GXによる経営改善支援事業等
- 交通サービス利便向上促進事業
- 地方ゲートウェイの刷新事業
- 観光二次交通の高度化事業
バリアフリー化設備等整備事業は、乗合バスやタクシー事業者を対象としています。高齢者・障がい者などの移動に係る利便性と、安全性を向上する取り組みで支援を受けられます。
補助対象経費と補助率は以下のとおりです。
| 事業内容 | 補助率 |
|---|---|
| 鉄道駅、旅客ターミナル（バス・旅客船・空港旅客）のバリアフリー化、待合・乗継施設整備 | 1/3 |
| ノンステップバス・リフト付きバスの導入 | 1/4または通常車両価格との差額1/2のいずれか少ない額*1 |
| 福祉タクシーの導入（UDタクシーを含む） | 1/3*1 |
*1 メニューによって上限金額などが異なります。詳しくは国土交通省のホームページをご覧ください
交通DX・GXによる経営改善支援事業等では、地域交通事業者を対象としています。例えば、乗合バスや貸切バス、タクシー、公共ライドシェア、日本版ライドシェア事業者などが支援を受けられます。
DX・GXなどによる経営改善に資する取り組みのほか、二種免許取得や採用活動など、人材確保のために行う取り組みも支援の対象となります。
補助対象経費と補助率は以下のとおりです。
| 事業内容 | 補助率 |
|---|---|
| 各種システムの導入 | 1/2 |
| 決済機器の導入 （クレジット決済機器、交通IC決済機器、二次元コード決済機器、その他キャッシュレス決済機器の導入など） |
1/3 |
システムの導入では、以下のようにさまざまなシステムが対象となります。
- 運行管理支援や業務日報自動作成
- 車両動態管理
- 運行計画作成支援
- ODデータ・乗降人数などの自動集計システム
- その他経営改善に資するシステム
例えば、富士フイルムイメージングシステムズが提供するバス停サイネージ「MORA FOR BUS STOP」の導入も、DX・GXなどによる経営改善支援事業に該当します。
交通サービス利便向上促進事業は、ユーザーがストレスフリーで旅行できる公共交通機関を整備することを目的としています。
対象となるのは、乗合バスや貸切バス、タクシー、公共ライドシェア、レンタカー事業者です。多言語対応の強化や、キャッシュレス決済の普及に関する取り組みなどで支援を受けられます。
補助対象経費と補助率は以下のとおりです。
| 事業内容 | 補助率 |
|---|---|
| リフト付きバス | 1/4または通常車両価格との差額1/2のいずれか少ない額
|
| ジャンボタクシー | 1/3
|
| 電源装置 （情報端末への電源供給機器、非常用電源装置など） |
1/2 |
| その他利便向上促進事業 | 1/3 |
地方ゲートウェイの刷新事業は二次交通への円滑なアクセスを目的としたもので、以下のような取り組みへの支援が行われます。
- アプリ専用乗り場の設置など
- 既存の乗り場の改良など、二次交通への円滑なアクセスに資する乗り場の設置
- 乗り場の混雑状況確認のための監視カメラの設置
- 乗り場の混雑状況を表示するためのサイネージの設置など
補助対象事業者は、乗合バスや貸切バス、タクシー、公共ライドシェア、日本版ライドシェア、レンタカー事業者です。
補助対象経費と補助率は以下のとおりです。
| 事業内容 | 補助率 |
|---|---|
| 二次交通への円滑なアクセスに資する乗り場の設置 | 1/3 |
| 二次交通への円滑なアクセスを目的とした乗車環境の整備改善（その他機器の設置・導入） | 1/3 |
| WEBカメラ／サイネージの設置・導入 | メニューによって上限金額などが異なる
|
観光二次交通の高度化事業は、インバウンドが円滑に移動できる環境を整備するための取り組みです。補助の対象となるのは、公共ライドシェアと日本版ライドシェア事業者で、観光地でのライドシェアの導入に関する支援を受けられます。
補助対象経費と補助率は以下のとおりです。
| 事業内容 | 補助率 |
|---|---|
| 車両導入（購入・リース） | 1/2*2*3 |
| 配車管理システムの構築・導入に係る諸費用 | 1/2*2*3 |
| 車体標示の導入、ドライブレコーダーの設置・導入 | 1/2*2*3 |
| そのほかの運行に必要な整備の導入など | 1/2*2*3 |
| 多言語対応機能などの端末の構築・導入に係る諸費用 | メニューによって上限金額などが異なる*3 |
| 公共・日本版ライドシェア導入時における運転者募集 | メニューによって上限金額などが異なる*3 |
*2 メニューによって上限金額などが異なります。
*3 詳しくは国土交通省のホームページをご覧ください。
続いて、実際に補助金を利用した事業の事例を見てみましょう。以下では、バス停サイネージ「MORA FOR BUS STOP」の導入事例をご紹介します。
「MORA FOR BUS STOP」は富士フイルムイメージングシステムズが提供するバス停サイネージで、補助金を活用した導入が可能です。
福岡市では、誰もが安心・快適にバスを利用できるよう、わかりやすい交通基盤づくりを目指しています。
そこで西日本鉄道株式会社は、2024年2月に薬院駅前にバス停サイネージ「MORA FOR BUS STOP」を導入。その後、実績を踏まえた拡張を行い、2025年にさらなるバス停のデジタル化を目指して新たに4台を追加導入しました。
バス停サイネージの導入により、ダイヤ改正時の時刻表や臨時運行の告知を遠隔配信することが可能となり、印刷や現場での紙掲示労務の削減が実現しました。今後は、バス停を地域情報発信のメディアとして活用する機能拡張にも期待が寄せられています。
- * 補助金の活用については2024年の事例です。
最後に、交通DX・GXによる経営改善支援事業等の補助金に関するよくある質問をまとめました。
- 交通DX・GXによる経営改善支援事業等の補助金に関する要領はどこで確認できる？
- 交通DX・GXの補助金申請はいつまで？
- どの時点から着手したものが補助対象となる？
「交通DX・GXによる経営改善支援事業等の補助金に」に関する公募要領は、国土交通省の公式ホームページで公開されています。申請対象、補助率、対象期間、交付手続き、報告義務など、詳細な条件を確認できます。
申請期限については、年度ごとに定められるため、国土交通省の公式ホームページを確認しましょう。
なお、事業が完了したら「事業完了実績報告書」を事業完了日から10日以内、もしくは翌年の2月末までに提出する必要があります。いずれか早い時点が適用され、期限を過ぎた場合は補助金の交付決定が取り消される可能性もあるため注意が必要です。
補助金の対象期間は事業ごとに異なります。2025年度のスケジュールについては以下のとおりです。着手可能日よりも前に対象事業に着手した場合、補助金取り消しの対象となるため注意しましょう。
| 事業 | 着手可能日 |
|---|---|
| バリアフリー化設備等整備事業 | 交付決定日以降 |
| 交通DX・GXによる経営改善支援事業 | 交付決定日以降 |
| 旅客自動車運送事業者の人材確保事業 | 令和6年12月17日以降 |
| 交通サービス利便向上促進事業 | 令和7年3月31日以降 |
| 地方ゲートウェイの刷新事業 | 交付決定日以降 |
| 観光二次交通高度化事業 | 交付決定日以降 |
本記事では、交通DX・GXによる経営改善支援事業等の補助金について解説しました。補助金制度を活用すれば、さまざまな事業改善を費用面のハードルを下げて実現できます。
富士フイルムイメージングシステムズが提供する「MORA FOR BUS STOP」は、補助金の対象となるシステムです。複数バス事業者の運行情報を統合して、都市単位のわかりやすい運行案内を実現します。
- Fine Trafficで複数バス会社の情報を効率的に統合
- 液晶表面の保護ガラスに専用フィルムを加工することで高い視認性を確保
- 自動リブート（再起動）の搭載により、機器フリーズ時の現地駆けつけ作業を削減
実際に「MORA FOR BUS STOP」を導入し、遠隔配信や高い視認性を活かした効率的な運用をスタートさせた事例もあります。補助金の利用や交通DXの取り組みを検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。