日本

導入事例

松山市医師会(愛媛県松山市)

医師会・行政・医療機関が団結し構築したオールインワンシステム

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自治体と医師会が共同で確立した“松山オリジナルマニュアル”のもと、2017年10月に対策型胃内視鏡検診事業を開始。その後、2018年3月からダブルチェックデータ共有サービス「ASSISTA Medical check-ES」を導入し、四国初のオールインワンシステムを実現。

  • * 本記事は取材日時点の情報であり、記事の内容や、施設名、所属、役職などは最新の情報とは異なる場合があります。

(左から)井上氏、蔵原先生、矢野先生、吉野先生、二宮先生

一般社団法人 松山市医師会 事務局
井上 裕樹 氏

日本赤十字社 松山赤十字病院 胃腸センター 所長
蔵原 晃一 先生

医療法人社団 矢野内科 院長(松山市医師会 副会長)
矢野 誠 先生

医療法人 吉野内科 院長(松山市医師会 地域保健部主任理事)
吉野 到 先生

愛媛県立中央病院 消化器病センター長
二宮 朋之 先生

対策型胃内視鏡検診の実施経緯は。

矢野先生 松山市独自のマニュアルを軸とする四国初のオールオンラインシステムの検討は2016年。自治体から松山市医師会に対して、対策型胃内視鏡検診の実施に向けた打診があり、準備委員会を設置しました。初めての取り組みであることから、愛媛県の生活習慣病協議会の消化管部会を担当する松山市民病院の副院長に助言を仰ぎ、医療機関に対策型胃内視鏡検診の概要について説明した上で参加意志を確認するアンケートを提案いただきました。手始めに精密検査実施医療機関と胃がん検診の登録医療機関、その後すべての会員医療機関に向けてアンケートを実施し、57施設が参加の意志を表明。この初動により、早い段階で検診を早期に行う必要性を共有することができました。

対策型胃内視鏡検診を実施するにあたり、バリウム検査の受診者数が毎年100人ほど減少し続けている現状をうけ、胃がん検診全体の『受診率の向上』を至上命題として掲げました。胃内視鏡検診は、近年の胃がん検診において存在感を高めている、まさに受診率向上につながる急先鋒。だからこそ、蔵原先生と二宮先生をはじめ権威の皆さんに相談しながら、安定的に稼働できる検診体制を構築していきました。

二宮先生 検査医師の現状や望ましい読影方法・洗浄方法など、現場視点でアドバイスをいたしました。若手の先生を主体とした委員会でしたので、そのダイナミックな動きを経験に基づく広い視野でサポートすることを心がけました。

ASSISTA Medical checkup-ES(以下、AMCES)を導入した決め手は。

吉野先生 他社製のクラウドシステムと比較して、多くの導入実績を誇っていたことは大きな魅力でした。全国各地の自治体や医師会に支持されているシステムのため大幅なカスタマイズが不要であり、早期の運用開始を希望していた私たちには最適なシステムだと感じました。課題となった導入費用については、自治体が長期的な視点での医師会の総意を理解し、賛同してくれたことで解消することができました。

蔵原先生 二次読影は一つの施設に読影医が集まり実施することが理想ですが、どの地域も他業務との兼ね合いから難しいのが現状ではないでしょうか。その点、AMCESは端末を設置した施設内で二次読影が可能になるため、空いた時間に二次読影を行うことができます。

対策型胃内視鏡検診の初期段階では、一次読影データをUSBメモリーやCD-Rなどの可搬型媒体を用いて、二次読影施設まで運搬していました。受診者の個人情報保護や紛失のリスク、運搬時間や費用などマイナス要素は胃内視鏡検診の永続性を確保する上でも改善は必須。AMCESのクラウドサーバーを用いたオールオンラインシステムを敷いて以降は、効率的な読影サイクルが形成されました。また、国の定めるガイドラインに沿って運用されているというセキュリティ面の安心材料も導入の大きな決め手となりました。

二次読影体制を構築する上で留意した点は。

蔵原先生 読影委員会の改編にともなう二次読影体制の再検討時に、日本消化器内視鏡学会指導医が複数名常勤する環境が望ましいという結論に至りました。その条件を満たしていたのが、松山赤十字病院と愛媛県立中央病院であり、両医療機関から2名ずつ、計4名の読影委員で松山市の二次読影を担っています。いわば“少数精鋭”の体制は、胃内視鏡検診の“質”を担保するための選択。しかし、日夜院内業務をこなすなかで、二次読影の作業時間を確保することは容易ではありません。そこで、両医療機関の二次読影拠点にAMCESと連携した端末を設置し、いつでも一次読影結果を確認できる環境を構築しました。大前提として胃内視鏡検診以外の用途での端末使用を制限することでセキュリティを確保。盤石の環境下で空き時間を有効活用して二次読影を行える点は非常に大きなメリットです。

二宮先生 松山市医師会では胃内視鏡検診においてAMCESのダブルブラインドチェック機能を使用しています。一次読影医・二次読影医の双方が担当医を特定できない機能により、二次読影医は先入観をもたずに公平性をもってダブルチェックを行うことが可能です。その結果、洗浄不足や粘液残
りなどの画像撮影時の改善点について、フラットに指摘できるようになりました。

吉野先生 忌憚なく改善点を指摘される分、私自身も含めた一次読影医は、以前よりも緊張感をもって読影に取り組んでいると思います。

二宮先生 二次読影を担当する立場からすると、AMCESを運用してから、内視鏡画像のクオリティは向上しています。胃がんの見落としを防ぐことが目的ですので、実施当初から厳格に改善指導をお伝えしてきました。その結果、現在ではほとんどの画像が満足のいく内容になりました。一次読影医のスキルアップだけではなく、地域医療を司る当事者としての意識向上にも寄与しているのではないでしょうか。

松山医師会の二次読影体制(ASSISTA運用)

蓄積された検診データの活用方法は。

蔵原先生 日々クラウドに蓄積されていく検診データは、地域医療に貢献する松山市の財産です。症例検討会や研修会、勉強会など、医療サービスの拡充につながる幅広い用途で活用していきたいと考えています。

胃内視鏡検診実施・クラウドシステム導入を検討している自治体様に向けてアドバイスを。

矢野先生 対策型胃内視鏡検診の実施を後押しした大きな要因は、日本消化器がん検診学会が発行する「対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル2015年度版」です。これを叩き台として、自治体担当者の協力を得ながら地域医療の現状を踏まえた“松山市オリジナル”のマニュアルに落とし込めたことで、実施に向けて一気に進んでいった印象があります。医師会だけではなく、自治体との“二人三脚”で根幹を築けたことが、現在の健全な運用につながっていると思います。

井上氏 予算が限られているなかでも、自治体には富士フイルムが推奨する専用端末の導入に賛同いただけました。現場の意見をくみ上げ、そして理解いただけたことが、現在の堅牢なセキュリティにつながっていると実感しています。

蔵原先生 日本消化器がん検診学会のマニュアルは、今後洗浄方法をはじめ様々な項目で改編されていくと思います。それにともない、検診システムについても最新の情報にアップデートしていく必要があります。その点、クラウドシステムのAMCESであれば更新も比較的容易なのではないでしょうか。富士フイルムには、将来的に発展していく胃内視鏡検診を充実のサポート体制で支え続けることを期待しています。

  • * 本記事は取材日時点の情報であり、記事の内容や、施設名、所属、役職などは最新の情報とは異なる場合があります。