日本

下部消化管におけるLCI/BLI画像アトラス

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

斎藤 豊 先生

国立がん研究センター 中央病院 斎藤 豊 先生、 坂本 琢 先生

国立がん研究センター 東病院 池松 弘郎 先生

神津クリニック 神津 隆弘 先生

わが国では大腸がんが、悪性腫瘍による死因の中で、男性では第3位、女性では第1位を占めております。胃がんはピロリ菌の除菌が進み今後漸減すると考えられますが、大腸がんは増える傾向にあります(*1 2017年大腸がん罹患数予測:149,500人、死亡数予測:53,000人)。大腸がんは便潜血による一次検診とその後の内視鏡を受診する事で罹患率、死亡率ともに減少すると考えられております。最新のデータでは*2 10年生存率は65.9%であり、早期のⅠ期であれば90.8%になります。そのため、消化器内視鏡医にとって早期で病変を発見し低侵襲で治療していく事が重要となっています。
しかしながら内視鏡検査を行っても一定の割合で見逃しが発生しinterval cancerといって後から発見される事があります。ポリープだけでなく、表面型・陥凹型腫瘍を発見・診断する事が重要となります。

最近の内視鏡の技術革新と進歩は目覚しく、画像強調観察(IEE)による大腸病変のdetection、質的診断と量的診断においてその有用性が数多く報告されております。当院が中心になって行った*3 多施設共同研究では、LASEREOシステムに搭載されているBLI-brightにより、白色光に対して大腸腺腫またはがんのDetection Rateを向上させるという結果となり、論文として発表しました。近年ではLCI機能が搭載され、明るい画像強調機能としてポリープ・腫瘍のDetection Rateの向上が期待されます。

本アトラスはLCI/BLIを用いて拾い上げ~精査・診断までの症例を提示し、先生方が大腸内視鏡検査でよく遭遇するであろう非腫瘍、腫瘍性病変等、疾患の所見に拡大診断等を用いて呈示致します。LCI/BLIをご活用されている先生の日々の診療に、LCI/BLIはどのような症例で有用性があるのかご参考になれば幸甚です。

  • *1 出展元:2017年、国立がん研究センター がん情報サービス ganjoho.jp
  • *2 出展元:2018年、国立がん研究センター 全がん協加盟がん専門診療施設の診断治療症例について
  • *3 出展元:2017年、GIE(Detectability of colorectal neoplastic lesions using a novel endoscopic system with blue laser imaging:a multicenter randomized c ontrolled trial.)

本症例はS状結腸の3mmの腺腫である。白色光では周囲粘膜との色調差が無く認識が困難であるが、LCIにて赤色が強調され容易に認識可能となった。BLIでも同様。拡大でJNET Type 2Aと診断。Cold polypectomyで切除した。

神津クリニック
神津 隆弘 先生

使用機種:EC-L600ZP7

本症例はS状結腸に存在する5mm大の0-Ⅱc病変である。白色光の視認性は不良であるが、BLI-bright、LCIでは、藤井が提唱するO-ring signとして良好に視認できる。病変陥凹部はBLI拡大で、Vessel patternは口径整・均ーな分布、Surface patternも整でJNET Type 2Aと診断できる。クリスタルバイオレット染色下観察では、Ⅲs型 pit patternであり、EMRで一括切除を行った。病理組織結果は、Tubular adenoma(low grade), pHMO, pVMOであった。

国立がん研究センター 東病院
池松 弘朗 先生

使用機種:EC-L600ZP

本症例は下部直腸に存在する25mm大の0-Ⅱa+Ⅱc(LST-NG)病変である。BLI-bright>LCI>白色光の順に境界が明瞭に観察される。中心の相対陥凹部のBLI拡大でVesselは口径不同・不均な分布、Surface patternも不整でJNET Type 2Bと診断できる。インジゴカルミン撒布で病変境界、中心の相対陥凹も明瞭となる。クリスタルバイオレット染色後のLCI観察にてVessel patternとPit patternの両者が明瞭に観察できV1(non-invasive pattern)と診断しESDで一括切除を行った。病理組織結果は高分化管状腺癌,深達度pSM1(600µm), budding grade 1, lyO, vl, pHMO, pVMOであった。

国立がん研究センター 中央病院
斎藤 豊 先生

使用機種:EC-L600ZP7

0-Is+Ⅱa(LST-G, mixed type)病変である。肉眼形態からは、祖大結節部分の評価が重要であるが、それ以外にもⅡa成分内での陥凹の有無にも注意する必要がある。本例では、病変中心部でわずかに相対的陥凹を有しており、同部がLCIでは白色調に描出されている。同部を拡大観察すると、BLIではJNET Type 2Aあるいは2B相当、pit patternはV1型軽度不整でありV1(non-invasive pattern)と診断できる。

国立がん研究センター 中央病院
坂本 琢 先生

使用機種:EC-L600ZP