このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
BLIやLCIなどの画像強調機能を用いて、炎症の診断や微小な病変の発見をサポートする4色のLED光源搭載の新内視鏡システム「ELUXEO(エルクセオ)」。
藤田医科大学の宮原良二先生と舘佳彦先生にELUXEOの画像の特長などについてお話をうかがった。
高度な先進医療の提供、臨床研究、教育に注力するとともに、地域の基幹病院としての性格も併せ持ち、救急を含めて軽症から重症まで幅広い患者さんを受け入れています。
富士フイルムの内視鏡はSapientiaの頃から使用していますが、LASEREOは非常に衝撃的でした。LASEREOの白色光で食道を観察した際、非腫蕩粘膜の血管、あるいは早期がんの粘膜の血管と背景粘膜とのコントラストが、今まで見たことがないほど美しいと感じました。
LASEREOのBLIは明るく、中遠景でも視認性が良い点が特長の一つだと思います。また、食道がんの腫瘍血管が比較的長く見えたり、胃では表面構造がabsentとされる所見でもLASEREOのBLIを用いると表面構造が見えるケースがあるなど、より深い部分まで見える印象があります。
LASEREOのLCIについては、ピロリ菌感染による粘膜の赤みとがんの赤みとの区別がつきづらい症例において、LCIを用いることでがんが明瞭に観察できたため、胃がんの発見に有効であるという印象を持ちました。そこで数年前からスクリーニング検査のルーチンにLCIを取り入れており、胃の中は白色光とLCIで観察しています。
白色とBLIの拡大および非拡大はLASEREOと同等だと感じました。
一方、LCIについては前向き臨床試験を行い、いくつかの特徴をまとめました。まず、食道のエキパートの先生方は、以前から同じ0-Ⅱc型の早期食道がんでも陥凹面の赤みが強ければ少し深いとおっしゃっていましたが、その基準については難しいところがありました。それがELUXEOのLCIで観察すると、特に粘膜固有層から粘膜筋板に侵入する過程で、おそらくは血管の形状が変化するためだと思いますが、色合いが大きく変化している現象に気づきました。具体的には、粘膜上皮もしくは粘膜固有層にある間はピンク色で、粘膜筋板まで入ってくるとサーモン色に変わるというものです。そして、こうした色味の変化だけで深達度診断を行うと、約50例の前向き研究で正診率が約80%という結果が得られたため、論文化しました。これはLASEREOのLCIでは再現できなかったため、ELUXEOのLCI特有の現象と考えられます。
また、胃においてもELUXEOのLCIが有用だと感じたため、胃がんの診断にどのように寄与するかについて研究を行いました。その研究ではLCIを用いることで胃がんと周囲粘膜の色のコントラストが上がると考えていたので、白色光とLCIでそれぞれ同じ画角で病変を撮影して色差を数値化したところ、LCIの方が約2倍の色差になるという結果が得られています。
さらに、早期胃がんにおいてELUXEOのLCIもしくは白色光で血管密度を観察した際の色について検討しました。結果として、従来から分かっていることではありますが、がんは周囲粘膜よりも血管密度が上がっているということが我々の研究でも確認できました。

0-Ⅱc病変、陥凹面は発赤調

陥凹面は“サーモン色”に変化

胃角部大彎、萎縮に乏しい口側粘膜との境界が不明瞭

色コントラストが向上し、口側境界が明瞭化
[提供]藤田医科大学病院 宮原 良二 先生
2020年4月に、藤田医科大学の4番目の教育病院として、愛知県三河地区の地域医療を担うために開設されました。当院は救急医療とがん診療を柱とし、24時間365日、断らない救急医療を実践するとともに、がんに対する先進医療に注力しています。
早期胃がん、早期食道がん、大腸がんの内視鏡診断・治療を主として、本院である藤田医科大学病院と同じレベルの医療を提供しています。私自身は肝臓領域を専門とし、超音波による肝臓の硬度の診断と脂肪化の客観的な診断を専門的に行っています。また、消化管内視鏡についても専門医を取得しており、日常的に診断・治療を行っています。
画像がきわめて明るく、病変が見やすいと思います。専門医ではない若手の医師でも早期胃がんなどの診断が行いやすいのではないかと感じています。また、BLI、LCIに関してはLASEREOと遜色なく、BLIはELUXEOの方が若干シャープに見える印象があります。
BLIは食道や腫瘍性病変の観察に使用しています。LCIは萎縮の程度や有無を確認する際に使用するほか、胃の最終チェックとしてLCIで胃全体を見渡して微小な病変がないかを確認しています。
下部においては、単発のSSA/Pとして紹介を受けた病変をLCIで観察したところ、広範囲の多発病変であることが分かり、適切な治療を実施することができたという症例を経験し、LCIの有用性をあらためて実感しました。