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内視鏡診断支援機能CAD EYE 医師の負担軽減と検査精度の向上に期待

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

伊勢崎佐波医師会病院
院長
澁澤 公行 氏

救急医療を担う地域の中核病院として発展してきた伊勢崎佐波医師会病院。
院長の澁澤公行先生に内視鏡画像診断支援機能「CAD EYE」を導入した目的や使用感などについてお話をうかがった。

伊勢崎佐波医師会病院の特長は。

当院は1974年に伊勢崎佐波医師会会員の総意によって開院して以来、救急医療を含む地域医療全般に対して、他の医療機関と連携しながら住民の皆さまに高度な医療サービスを提供すべく職貝ー丸となって努力しています。そして現在は、医療としては病院、福祉としては訪問看護・居宅介護支援や医療相談、保険としては成人病検診センターを運営しています。

年間の内視鏡検査数は。

上部、下部消化管内視鏡検査、ERCPを含めて、最近5年間は2,500件前後で推移しており、内訳としては上部が1,500~1,600件、下部が1,100件程度となっています。そして、ERCPの件数は5年間で約2倍に増加し、昨年度は158件でした。

富士フイルムの内視鏡システムを導入した経緯は。

大学卒業後に入局した自治医科大学の消化器・一般外科で、フジノンの内視鏡画像のきれいさに惹かれ、それ以降、新製品が出るたびに情報をチェックしていました。そうした中、LASEREOが登場し、当院では経鼻内視鏡がメインになってきていたため、経鼻の画質に優れたLASEREOをぜひ導入したいと考え、医師会の理事の先生方を説得して導入に至りました。その後、段階を踏んで富士フイルムの内視鋭システムに切り替えていき、今回、AI技術を活用して開発されたCAD EYEが出たタイミングで最後の1ブースも切り替え、検診センターも含めた全ブースが富士フイルムで統一されました。

CAD EYEを導入した経緯は。

当院は地域の救急医療を担う趣旨で開設され、地域でば救急病院”という愛称で親しまれてきましたが、近年、医療の細分化、専門化が進む中で、当院の特長を打ち出していく必要があると考えていました。そのような考えのもと、大腸内視鏡検査の精度を向上させて消化器内科領域の専門性をさらに高めていくとともに、AI技術を用いて開発した装置を導入することによる地域住民の皆さまへのPR効果にも期待して、CAD EYEの導入を決めました。

CAD EYEの検出支援機能については。

使い始めたばかりのころは、病変と疑われる箇所を知らせる音とマーキングに煩わしさを感じることもありましたが、慣れてくると気にならなくなり、むしろ「知らせてくれて助かる」という気持ちの方が大きくなってきましたね。ひだや吸引等で生じた変化がポリープとして認識されることもありますが、過剰に反応した場合はすぐにマーキングが消えますし、本当のポリープはマーキングが出続けるため、まったく支障はありません。

大腸内視鏡検査はストレスが多く、何例も続けていると疲労が蓄積します。そうした時でも、CAD EYEがあれば見落としが少なくなるのではないかと感じています。

鑑別支援機能については。

大規模な病院であれば、検査中に複数の内視鏡医が周りで見ていて、何かあればすぐにデイスカッションができるでしょう。しかし、当院は1人で検査を行うため、5mm前後の過形成ポリープに対してポリペクトミーを行うか否かなど、微妙な判断に不安や迷いを生じることもあります。もちろん最終的な判断は私自身が行いますが、そうした判断を求められる際に鑑別支援機能が後押ししてくれると言いますか、ダブルチェックのようなかたちで安心感があります。また、鑑別の精度についても、まだ使い始めたばかりの段階ではありますが、十分な精度があると感じています。

操作感は。

私は白色光で拾い上げを行い、病変と疑われる箇所はBLIで観察していますが、CAD EYEはフットスイッチーつでオン/オフが切り替えられるので、非常にスムーズに使用できます。

また、一つの画面上で検出や鑑別の情報が表示されるところも良いと思います。画面が二つとなると、視線の移動が大変ですし、別の画面を見ている間にスコープが動いてしまって観察していた場所からずれてしまう可能性もあります。したがって、一つの画面ですべての情報が見られることは非常に重要だと感じています。

CAD EYEが地域医療にもたらす効果は。

CAD EYEが最も貢献するのは、“検診”だと思います。食道がん、胃がん、大腸がんは早期に発見すれば、ほとんどが内視鏡で治療でき、何より命が助かります。消化管がんによる死亡をゼロに近づけるには、できるだけ多くの人に検診を受けていただくとともに、検診の精度を上げていくことが必要になります。その精度向上および医療水準の格差解消に、CAD EYEが貢献するのではないかと期待しています。

教育面での可能性は。

鑑別支援機能が今後さらに発展していけば、判断が難しい病変の答え合わせに使用することで、若手医師の育成に役立てられるかもしれません。現状では、生検しなければ確定診断が得られませんが、その場ですぐに答えが分かることで、より学習効果が高まる可能性があると思います。

今後、期待することは。

私は上部消化管が専門ですので、上部の内視鏡画像診断支援システムには大いに期待しています。上部でもAI技術を活用した診断支援を用いることができれば、検査精度の底上げにつながると思います。

また、大腸内視鏡検査ではスコープの挿入に苦労することがあり、挿入に時間がかかると集中力に影響が出るおそれがありますし、患者さんの苦痛も多くなります。そういった中で、挿入を手助けするような機能や技術を開発していただければ非常に助かります。

加えて、富士フイルムはAI技術も含めてさまざまな分野で技術力を高められていますので、そうした技術力を結集して医療の発展に貢献するものを開発していただきたいと思います。