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日本

レーザー光源搭載内視鏡システム「LASEREO 7000システム」使用事例

画像強調ときめ細やかな前処置で経鼻内視鏡検査の質と患者満足度向上を目指す

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

赤坂虎の門クリニック
吉田 行哉 先生

日本有数のビジネスエリアである東京・虎の門エリアにおいて、経験豊富な医師と高精度の医療機器を調和させることで、総合病院に比類する質の高い医療を提供する赤坂虎の門クリニック。消化器内科では、レーザー光源を搭載した内視鏡システム「LASEREO 7000システム」を駆使した内視鏡検査を実施し、高い患者満足度につなげている。15年以上にわたり経鼻内視鏡を活用し、その普及に尽力されてきた吉田行哉先生、さらに看護師の方々に経鼻内視鏡や特殊光の使用状況や有用性を中心にお話をうかがった。

赤坂虎の門クリニック
吉田 行哉 先生(中央)/吉田 伊織 看護師(左)/坂口 暁子 看護師(右)

赤坂虎の門クリニックの役割は。

吉田先生 当院は東京有数のオフィス街である虎の門地区で、オフィスワーカーをはじめとした地域の方々の健康を支える“身近な医療施設”として診療や検査を行っています。年齢や国籍が異なる患者様の多様なニーズに応えるため、複数の診療科を標榜しバイリンガル対応など、エリアの特性をふまえた医療を目指しています。

内視鏡検査の特徴は。

吉田先生 長年にわたり蓄積してきたノウハウに加え、常に最新の技術を取り入れることで精度の高い検査を行うとともに、患者様中心の柔軟な対応を心掛けています。

患者様はどなたも来院日数を少なくしたいものです。場所柄、時間が限られたビジネスパーソンの来院が多いので、それぞれ患者様の希望に沿った検査プランを組み立て、必要最小限の来院日数や検査時間を実現するように努めています。初診でも食事を抜いて来院いただければ当日の内視鏡検査にも対応するようにしています。検査方法も可能な限り患者様の意向に沿う方針で、「経口内視鏡もしくは経鼻内視鏡」「鎮静剤を使うかどうか」という検査方法の選択時には、患者様との綿密なコミュニケーションを心掛け、高い検査満足度につなげています。

高精度かつスピード感のある検査対応を徹底した結果、最近の年間検査数は上部が約950件、下部が約450件で推移しています。

COVID-19の感染対策は。

吉田先生 換気の徹底、来院時の検温や手指の消毒といった基本はもちろん、検査時もマスクの着用をお願いし、経鼻検査時はマスクから鼻だけ出す、経口挿入時はマスクに切れ込みを入れるなど、なるべく着用したままで検査を行えるように工夫しています。また、来院いただく前提として、患者様の体調を事前に可能なかぎりきめこまかく把握することにも注力しています。

経鼻内視鏡検査の実施状況は。

吉田先生 私の内視鏡医としてのキャリアの中で、経鼻内視鏡は無くてはならない存在です。2000年代半ばに、患者様の苦痛や不安感の軽減につながる内視鏡検査の選択肢として、当時黎明期にあった経鼻内視鏡をいち早く導入しました。患者様からは「検査中に苦しくない」「次も経鼻で」と好評で、それから15年以上にわたり、私の上部消化管検査の主力を担っています。

経鼻は上部消化管の検査方法として後発ですが、観察方法の工夫、検査機器の性能や画質の向上などが進んだことに加え、患者様の負担が低いということが周知され 、「内視鏡をするなら経鼻でお願いします」と来院する患者様が増えています。

さらに最近は、前処置の負担軽減や効率化を目的としたデバイスが多角的な視点で開発されており、経鼻内視鏡の発展に貢献しています。当クリニックでは、富士フイルムメディカル(株)で販売しているトップ製の 前処置スプレー「ルネミッシュ」と、細径のチューブをガイドに太径のチューブをスライドして鼻腔に挿入していく「経鼻的内視鏡用前処置スティック(スライドタイプ)」を用いた前処置を採用しており、患者様のより一層の負担軽減につなげています。

吉田看護師 富士フイルムメディカル(株)が販売している 前処置アクセサリーに共通するのは、技師や看護師の経験を問わない使いやすさです。太径の長いスティックを挿入する時に経験の浅い技師にとっては鼻腔に接触し患者様に苦痛を与えるのではないかという不安を感じるものですが、経鼻的内視鏡用前処置スティックのスライドタイプは太径の挿入部分が若干短いために安心して挿入することができます。

坂口看護師 喉頭麻酔スプレーは力加減によって噴霧量がばらつきがちですが、ルネミッシュは技師の経験差に左右されず、麻酔効果の安定性につながっていると感じています。

吉田先生 患者様一人ひとりの前処置の記録、例えば、鼻の左右や中鼻甲介か下鼻甲介かだけではなく、鼻腔の広さについても記録しておけば、次回の前処置をさらに効率的に出来る可能性もあります。

LASEREO 7000システムの導入経緯や使用感は。

吉田先生 富士フイルムの黎明期の経鼻内視鏡については、システム更新を重ねるごとにCCD(撮像素子)、水切れ、鉗子口径、視野角などが着実に改善される一方、経口に比べて画質が少し劣るというのが正直な感想でした。経鼻の弱点を意識しながら、近距離で粘膜をなめるように観察し、経口と遜色のないがん発見率をキープしていたのが実情です。

そのような経鼻内視鏡に対する印象を大きく変えたのが、レーザー光源を用いたLASEREOならびに対応スコープの「EG-L580NW」の登場です。白色光の視認性の高さに加え、特に画像強調機能のBLIやLCIを併用した、近接による弱拡大観察は良性と悪性の鑑別に極めて有用であり、それが2017年に当クリニックに着任した際にLASEREO 7000システムを選択した大きな理由の一つです。

また、当クリニックでは外来と内視鏡を並行して行っていますので、軽量化が進んだスコープは、内視鏡医の疲労軽減や検査精度の維持にも貢献していると思います。

LCI・BLIの使い分けや有用性は。

吉田先生 白色光で観察を始め、検査を進めるなかでLCIとBLIを要所要所で活用しています。上部ではピロリ菌を除菌した後の胃がんの発見は難しくなりますが、LCIは腸上皮化生の存在を明瞭に表示するため、除菌後のフォローアップや胃がんの早期発見に寄与しています 。粘膜表層の血管や構造などを強調するBLIは、微細な変化の確認に適しており、生検の必要性を判断する際に重宝しています。

下部も同様に白色光による観察を基本にしつつ、過形成性ポリープかアデノーマ、もしくは内視鏡切除の適応か否かの判断にBLIやLCIを使用しています。また、LCIは炎症性腸疾患の診断においても有用性を感じています。潰瘍性大腸炎の粘膜治癒の判定は、白色光よりも特殊光を活用した方が正確に判定できる実感があります。

10×6㎜,0-Ⅱc,pT1a(M),tub1
前庭部大彎の病変。近距離からのLCI観察では視認性が向上。周囲にラベンダー色を呈する腸上皮化生を伴う。BLIによる近接観察では全周で周囲とは異なる不整な腺管構造を認める。

今後、富士フイルムの経鼻内視鏡に期待することは。

吉田先生 近接による弱拡大時の画像にシャープさが加われば、より観察が容易になると思うので、今後の改良を期待しています。

富士フイルムの経鼻用スコープは極めてしなやかで、挿入性や操作性に優れる点が魅力です。特に鼻腔や喉の通過時、胃体部後壁の反転観察時などに、その特性が生かされていると強く感じます。

ぜひ富士フイルムにはより一層の画質改善だけでなく、挿入性や操作性に優れているという実臨床での実感を科学的に分析し、強みをより強化する研究にも力を入れていただき、トータルバランスに優れた経鼻内視鏡の開発を目指してほしいと思います。

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