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日本

内視鏡画像診断支援システム「CAD EYE」使用事例

内視鏡画像診断支援システムの検出機能と
鑑別支援機能が地域の中核病院の効率的で
質の高い診断を担う

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

日本赤十字社 松山赤十字病院
消化管内科 部長
蔵原 晃一 先生

「人道、博愛、奉仕の赤十字精神」に基づき、一世紀以上にわたり地域医療を実践してきた日本赤十字社 松山赤十字病院。2021年3月の新病院開院を機に、消化管内科は内視鏡検査室を増室し、内視鏡画像診断支援システム「CAD EYE」を導入した。現在の内視鏡検査における診断支援機能の有用性、これからの地域医療に貢献する「CAD EYE」の価値について、同科の部長・蔵原晃一先生にうかがった。

貴院の役割とは。

当院は地域医療支援病院として地域医療の最前線に立ち、地域内の医療施設やクリニックと連携し、急性期の高度専門医療、救急医療などを担っています。2021年3月には新病院が開院し、各領域で増床や最新機器・システムの導入を行い、地域住民の皆様により高度で安全な医療を提供する体制を整備しました。

消化管内科の特長とは。

公的医療機関として、緊急内視鏡をはじめとした救急診療を数多く行うほか、中国四国地方で最大規模の専門施設として、最新鋭の機器をもとにした全国水準の内視鏡検査を実施しています。

年間検査数は、上部消化管内視鏡検査が7,500件ほど、下部消化管内視鏡検査が5,000件ほどです。私を含めた8名の常勤医師を中心に、西日本屈指の内視鏡検査数に対応しています。

「CAD EYE」の導入経緯は。

新病院で内視鏡検査室を4室から5室に増やすことを受けて、今回2室に富士フイルムの内視鏡システムを採用し、「CAD EYE」を導入しました。

富士フイルムについては、かねてから上部消化管内視鏡検査におけるLCIの画質や操作性を高く評価しており、下部消化管領域ではダブルバルーンスコープを使ってきました。

これまでの使用実績に加えて、AI技術を活用して病変の検出および鑑別をサポートする「CAD EYE」を導入することは、検査精度の向上や検査医師の負担軽減だけでなく、患者様に安心感を与え、医師と患者様との信頼関係の醸成につながると考えて、当院に有用性を伝えた経緯があります。

「CAD EYE」の各種機能について。

当科の医師からは「スクリーニング検査を後押ししてくれる」と好評で、今までになかった“AI技術を活用した診断支援”ということもあり、興味をもって積極的に活用しています。

「検出支援モード」は、大腸ポリープの疑いのある領域を検出し検査医に知らせてくれるので、拾い上げ診断の効率化に寄与しています。経験を積み始めた段階の医師にとっては、確認するべき箇所の見逃しを防ぐ“お守り”として機能していますし、私のような内視鏡経験の長い医師にとっても、“答え合わせ”を行えるように感じています。医師とAIが一緒に検出しているという感覚があるので、経験問わずすべての医師の安心感につながっていると思います。

「鑑別支援モード」は、腫瘍性と非腫瘍性の違いが画面上に明確に表示されることから、検査現場のスピード感を理解した“一目で判断できる”仕様だと感じました。また、鑑別支援は、検査時の鑑別に活用するだけでなく、医師の鑑別能を養ううえでも有用な機能だと思います。若手医師の成長には、経験豊富な医師による直接指導はなくてはならない要素ですが、日々多くの検査を行う診療科においては、マンパワーによる教育には限界があると思います。若手医師にとって、「鑑別支援モード」を用いた鑑別の時間は、AIを通じた経験を学ぶ貴重な機会になっていると感じます。

画像強調観察+「CAD EYE」について。

私は下部消化管内視鏡検査には白色光を使いますが、医師によって見やすい色調は異なるため、白色光のほかにLCI・BLIという画像強調観察の選択肢があるのは良いと思います。

その点「CAD EYE」はLCIを起動すると「検出支援モード」、BLIを起動すると「鑑別支援モード」にそれぞれ自動で切り替わり、スムーズな検査を後押ししています。拾い上げ診断や病変の鑑別における特殊光観察への期待が高まる現状をふまえると、特殊光とAI技術が調和する「CAD EYE」は、多くの検査医にとって有用なシステムだと思います。

今後「CAD EYE」に期待することは。

大腸ポリープの検出に関わる色調や、スコープの操作性には向上の余地があると思いますが、AI技術を活用した「CAD EYE」の検出支援や鑑別支援はそれらの課題を補い、効率的かつ質の高い診断に貢献していると考えます。

今回の新病院開院に伴い、富士フイルムの内視鏡システム・機器を用いた下部消化管内視鏡検査を初めて実施しましたが、想像以上に満足できる水準でした。それでも、上部消化管領域における高い評価と豊富な実績があるからこそ、さらなる機能向上を期待したいです。

貴院の内視鏡検査における将来展望は。

地域医療支援病院と地域内の医療施設やクリニックが連携する「地域完結型医療」を実践し続けるためにも、病変を“見つける役割”と“治療する役割”を適切に分担した医療体制を検討しています。その場合、地域医療支援病院の当院においては、最新鋭の検査機器の導入と、中核病院としての処置対応ができる人材育成が必要不可欠です。現在は、「CAD EYE」の診断支援と、各検査状況を一括観察できるモニタールームを駆使して、この先の地域医療を担う若手医師を育成し、当科全体の均てん化を図っています。

また、最先端機器を用いて蓄積した診断データをもとに、論文作成・学会発表にも積極的に取り組み、その成果を当院の医療に還元するという相乗効果を生み出しています。

地域の中核病院の使命である「地域住民の皆様の健やかな生活」を支え続けるためにも、これからも人材・機器・システムが有機的に連動する医療体制を追求していきたいと考えています。

施設紹介

松山赤十字病院

〒790-8524 愛媛県松山市文京町1番地

内視鏡診断支援機能「CAD EYE」とは

CAD EYEとは富士フイルムの内視鏡診断支援機能のブランド名称です。膨大な臨床データから深層学習(Deep Learning)を活用して開発。内視鏡検査における病変の検出と鑑別をサポートします。

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