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富士フイルムの画像処理技術を搭載したSonosite PX 診断画像の高画質化により神経ブロックの精度向上に貢献

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

名古屋大学医学部附属病院
麻酔科准教授 手術部副部長
柴田 康之 氏

区域麻酔のスペシャリストとして、新たな手技の開発にも取り組んでいる名古屋大学医学部附属病院の柴田康之氏に、超音波画像診断装置「Sonosite PX」の画質に対する評価や今後の可能性についてお話をうかがった。

先生のご専門は。

区域麻酔を専門とし、これまでに超音波ガイド下の星状神経節ブロック、傍脊椎ブロック、肋横突孔ブロックなどの開発を行いました。

Sonosite PXの画像の印象は。

第一印象として、超音波画像ではなく、解剖の白黒写真を見ているような印象を受けました。そして、筋膜間の血管等、今まではなかなか描出できなかった部分が明瞭に見えることには驚きましたね。モニタが進化したことで情報量が多くなったことも、画像のきめ細かさにつながっているのではないかと思いました。

プローブ別の使用用途と使用感は。

コンベックスプローブC5-1は、脊椎、傍脊椎領域での使用に優れ、神経ブロックの手技では脊髄くも膜下麻酔や腰部の硬膜外麻酔において、解剖が見やすくなりました。

高周波のリニアプローブL19-5は、小児の硬膜外麻酔、特に乳児の脊椎周囲のブロックで使いやすいと感じています。当院は小児外科の手術件数が多く、生後2~3ヵ月後の手術も多いため、とても役立っています。

そして、リニアプローブL12-3は、大人の腕神経叢ブロック等の精度向上に寄与していると思います。

超音波画像診断装置の画質が向上することで生まれるメリットは。

神経ブロックの手技が、より安全かつ正確に行えるようになります。また、従来はブロックをすることがなかったような神経もブロックできるようになります。例えば、胸鎖乳突筋を横切る大耳介神経がこれにあたり、脳神経外科の側頭部の開頭手術後に発症する慢性痛は大耳介神経が感覚を伝えているため、高画質の超音波装置を用いて大耳介神経をブロックすることで痛みを止めることが可能になります。

教育面では、看護師の特定行為研修で橈骨動脈ラインの確保や末梢留置型中心静脈カテーテル(PICC)の挿入のデモンストレーションを行う際に、高画質の超音波装置を用いれば一目で神経の位置が分かります。今までは描出された神経の場所を教えてもなかなか分かってもらえないことが多かったので、高画質であることは教育面でもメリットがあると思います。

斜角筋間

小児脊硬膜

高画質の超音波装置が診療に変化をもたらす可能性は。

ペインクリニック領域では、まだ超音波では見えない血管があり、透視と超音波を併用するケースがありますが、超音波画像の高画質化がさらに進めば透視が不要になるのではないかと思っています。例えば、脊椎周囲で脊髄を養っている血管を傷つけてしまうと脊髄虚血が発生して脊髄が障害をうけるため、現在は透視で造影剤を入れて針先が血管に入っていないかを確認しています。今後、超音波でそういった血管が見えるようになれば、透視への依存度が減り、手技を行う環境の自由度が高まるとともに被ばくの低減にもつながると考えています。

Sonosite PXの操作性は。

タッチパネルは感覚的に操作することができ、よく使う機能がボタンになっていることで、より使いやすくなったと思います。そして、操作パネルの高さや角度が自由に変えられるところも良いですね。手術室で手技を行う際は微妙に立ち位置を変えることもあり、立ち位置に合わせて繊細に画面の角度を変えられると、より自然な体勢で手技ができるので非常に助かります。

TGC(Time Gain Compensation)機能は。

Sonosite PXのTGCは超音波の深さに応じて、任意に明るさを調整できるので、以前はできなかったきめ細かい調整で、自分がつくりたい理想の画像に限りなく近づけることができると感じています。

今後、富士フイルムに期待することは。

医療現場で培ったノウハウを活かして、手術室内で働く医療従事者の健康増進につながる装置や、外科医や麻酔科医の動きをサポートするような装置を開発していただければと期待しています。