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コルチゾールの測定は入院治療を必要とする犬の予後を予測できるのか?

このコンテンツは獣医療従事者向けの内容です。

【はじめに】

もう何年も前になるが、私が担当していた副腎皮質機能冗進症(HAC)と診断し無治療で過ごしていた症例が、腎不全に陥り入院治療にて良好な経過を辿っていたにもかかわらず、退院直前に急死した。剖検は実施していないため死因は不明であるが、HACに罹患していたことは明らかであり、血栓による急死だったのか、入院はどの程度ストレスになるのか?など考えさせられる一例となった。そこで単純に「入院」「ストレス」「コルチゾール」とのキーワードが頭に浮かび、入院中の様々な状況下(入院日数、犬舎の位置[上段、下段]など)において一般的な血液検査項目に加え血清コルチゾール濃度(以下serumcortisol concentration: SCC)を測定した。そうこうしているうちに(初めの考えからは脱線しているが)、入院から24時間後のSECが高値である症例は、予後が悪い傾向にあることに偶然気付かされた。以後、今回紹介させていただく論文の一つになるまで、様々な疾患を有する症例のSECと予後について調査するきっかけとなった。また、偶然にも同時期に英国の大学の研究グループからほぼ同じ内容の論文が報告されたため、この2報から予後を予測するバイオマーカーとしてのSEC測定の活用法について紹介させていただく。