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導入事例

診療放射線分野における感染症対策の重要性

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袋井市聖隷袋井市民病院

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

Hydro Ag+の持続除菌が拓く”新しい環境整備”への期待として、「診療放射線分野における感染症対策ガイドライン」について袋井市民病院の山本氏にお話しいただきました。(富士フイルムメディカル広報誌「AtoZ」2020年秋号に掲載)

日本診療放射線技師会
医療安全対策委員会 委員長
静岡県放射線技師会 会長
袋井市立聖隷袋井市民病院
画像診断室
山本 英雄 技師

診療放射線分野における感染症対策の標準化を目指した

聖隷福祉事業団の概要は。

キリスト教精神に基づく「隣人愛」を基本理念とし、医療、保健、福祉、介護サービスの4事業を柱に、全国に161の施設を展開する社会福祉法人です。グループ内の放射線部門としては、医療施設、健診施設、有料老人ホームの付属診療所など15施設に約270名の診療放射線技師が在籍しています。

日本診療放射線技師会(以下、技師会)の医療安全対策委員会の取り組みは。

重大な医療事故が複数発生した1999年以降、国を挙げて医療安全に取り組んでいこうという流れが生まれ、その中で技師会としても本格的に医療安全に対する取り組みを始めました。医療安全対策委員会では、各種の講習会や学会におけるシンポジウムの開催、機関誌での啓蒙活動など、医療安全に関するさまざまな取り組みを実施しています。

ガイドラインを作成した背景

①診療放射線技師の感染対策に対する意識
②診療放射線技師の感染リスクの高さ
③感染対策の標準化の必要性

「診療放射線分野における感染症対策ガイドライン」を作成した経緯は。

まず、①について、2016年に改訂した「放射線業務の安全の質管理マニュアル」内の「放射線業務医療安全確保のためのチェックリスト」に基づき、聖隷グループ内で調査を実施したところ、他のチェック項目と比較すると感染症対策への意識が低いという結果が出ました。

次に、②について、一般的に感染管理を担当している部署は医師や看護師、薬剤師、臨床検査技師が中心となっており、診療放射線技師の関与が少ない傾向にあります。その一方で、放射線科にはさまざまな診療科の患者さんが初期診断のための検査に訪れ、感染症に関する情報がないまま対応することが多く、特に救急における撮影では血液や体液に触れる危険性もあります。

さらに、③について、診療放射線分野の感染症対策については、施設や診療放射線技師によって差が大きく、非常に意識が高い施設もあれば、そうでない施設もあります。

このような課題意識を委員会内で共有していた中で、前・日本診療放射線技師会会長の中澤靖夫氏の強い後押しもあり、ガイドラインの作成を開始しました。

ガイドラインの作成で工夫した点は。

当初は、診療放射線技師の業務に関連した感染症対策に限定しようと考えていました。しかし、委員会の中で、診療放射線技師の感染症に対する知識を高めるためには、感染症の分類や手指衛生の手順など基本的な事項についても収録すべきではないかという意見が出ました。そこで、方向性を変更し、感染症対策の基本から診療放射線技師の業務に特化した事項までを網羅するガイドラインを目指しました。そして、作成にあたっては、診療放射線分野において先進的な感染対策を実施されている亀田総合病院や北海道大学病院、聖隷横浜病院などのマニュアルを参考にしました。

放射線科内でのHydro Ag+アルコールクロスの使用例

カセッテ、立位撮影台

車椅子

ストレッチャー

ドアノブ

発行後の反響は。

複数の施設で、保健所の立入検査で確認される院内感染対策体制マニュアルを作成する際の参考にしているとうかがっています。また、新型コロナウイルスの感染拡大によって、ガイドラインの存在意義や重要性がさらに高まっていると感じています。

感染症対策は撮影技術の一つと考えるべき

診療放射線分野における感染症対策の重要性は。

診療放射線技師は、被検者と接触する機会が多い職種です。その中で重要なのは、自分が感染しない、他人に感染させないこと。自らが感染源とならないように注力することも撮影技術の一つと考えるべきでしょう。

また、撮影室はもちろん、ポータブル撮影やCT、MRIなどにおいても、装置の構造上よく触る場所や飛沫がつきやすい場所など、日頃から装置に触れている診療放射線技師だからこそ分かることがあります。診療放射線分野においては診療放射線技師が積極的に感染症対策に関わることで、より安全な放射線診療につながると考えています。

今後の展望は。

私自身、ガイドラインの作成は、手指衛生の手順やガウンの着脱方法などの基本をあらためて確認する良い機会になりましたが、同時に知識があるからといって実践できるとは限らないと感じています。したがって、技師会として感染症対策のトレーニングにいっそう力を入れていく必要があると考えています。

さらに、今後のガイドライン改定では、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた非常時の対策や、それぞれの検査装置や撮影補助具などに適した消毒剤・消毒方法を追加していければと考えています。

装置の天板やフレームなど持続除菌が効果的な場所は多い

Hydro Ag+の“持続除菌”というコンセプトは。

アルコール消毒は、消毒後すぐに雑菌の増殖が進むのが当然だと考えていたため、率直に除菌効果が持続することに驚きました。そして、神奈川県の学校で実施された“いちにちひとふき除菌”*1で学級閉鎖数がゼロになったと聞き、その効果の高さに興味を惹かれました。

診療放射線分野においてHydro Ag+アルコールクロス/スプレーの活用が期待される場所は。

装置の天板やフレームなど、診療放射線技師や被検者がよく触れる場所の消毒に用いることで、感染リスクの低減が期待できます。加えて、更衣室のかごやドアノブ、スリッパなど頻繁に消毒することが難しい場所に用いるのも有効でしょう。Hydro Ag+アルコールクロス/スプレーは乾燥後も抗菌コートが残るので、例えば1日2回清拭する場所があれば、そのうち1回をHydro Ag+アルコールクロスに置き換えるという使い方も良いかもしれません。

Hydro Ag+アルコールスプレーについては、カーテンや布製のパーティションなど、クロスでは拭けないものの消毒に有効だと考えています。

Hydro Ag+に期待することは。

各施設において診療放射線技師と被検者の動線を再確認してみると、盲点になっている場所がいくつか見つかるのではないでしょうか。そういった場所にHydro Ag+アルコールクロス/スプレーを使用していくことで、持続除菌を効果的に活用した新しい環境整備のかたちが生まれるのではないかと期待しています。

  • *1 子どもたちが触れるテーブルや椅子、ドアノブなど身の回りのものをHydro Ag+技術を使用した除菌剤で1日1回ひとふきする除菌活動。
    2018-2019年神奈川県の12校でこの活動を続けたところ、インフルエンザの発症率は25%から10%にまで下がり、学級閉鎖数はゼロでした。