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ポータブルエコーのインタビュー

看護師による5施設共同“便秘エコープロジェクト”
~iViz airを用いて約6ヵ月間で研修から実践・浸透までを推進

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

従来から排便ケアに課題を抱えていた5つの医療施設において、ワイヤレス超音波画像診断装置「iViz air」のデモ機を活用した排泄エコーの実践・浸透プロジェクトを行いました。約6ヵ月間にわたる同プロジェクトにご参加いただいた5施設の皆様に、エコー研修から各施設での取り組みの中で感じた課題や手応え、今後の展望などについてうかがいました。

施設の概要と取り組みの振り返り

排便ケアにおける従来の課題として、刺激性下剤が必要なのかという判断に自信が持てない、中心静脈栄養法の高齢者に対して何日まで排便を待っていいのか迷う、向精神薬を長期的に服用されている高齢者に毎日の排便を期待する、急性期病院からの入院時の情報だけでは不安が残る(嵌入便の事例)などがありましたが、エコーによって便を可視化することで看護師のアセスメント能力が向上し、課題の解決につながったと感じています。実際に、刺激性下剤については、与薬前にエコーを行うことで388人中132人の方の与薬をやめることができ、浣腸についても事前にエコーを行うことで66人中37人の方の浣腸を不要と判断できました。
一方で、取り組みで感じた障壁として、エコーの経済効果と活用展望の明確化が難しかったことがあり、特に民間病院では購入に向けて経済効果の可視化が求められると感じました。
今回、最終的に購入を決定したiViz airの良い点としては、立ち上がりの速さ、ワイヤレス、軽さ、コンパクトさ、画像の鮮明さ、保存した画像を共有できる点などがあり、AI技術のひとつであるディープラーニングを使用した「直腸観察ガイドplus機能」*1によって自分の判断の裏付けができるところも良いと思います。
今後は、院内で排便エコーが行える看護師を増やしていき、他病棟にも拡大していきたいと考えています。

また、私たちは、当院のがんセンターの一般病棟と在宅で、エコーを活用してオピオイドを使用している患者さんの排便の実際を把握することを目的とした観察研究を行いました。その結果として、集計途中ではありますが、33人の患者さんの疾患は肺がんが最も多く、直腸内に便が溜まっていた方は33名中18名で、そのうち89%の方が何らかの下剤を服用していました。次に、直腸内に便が残留している患者さんの主訴として、便意を感じていない人が便意を感じている人よりも多く、腹部膨満感を訴えていない人は約半数で、直腸内に便が貯留している患者さんの中で便意がない人が約60%いるという結果が出ました。そして、ブリストルスケールと直腸内の便が残留している関連性として、ブリストルスケールが4や5の場合でも便が貯留しているケースがあり、18人中7人は4または5でした。この研究の考察として、オピオイドを使用している患者さんにエコーを実施したことで、主体的に排便ケアを提供していくことの重要性を認識できました。エコーの技術や知識を習得した看護師は、以前よりも根拠を持ってケアができ、結果として主体的なケアが提供できる礎になるのではないかと考えます。排便状況を患者さんと看護師が可視化できたことでケアに対する合意ができ、互いの満足度向上につながるのではないかと思います。
今後の課題としては、基本的なエコーの技術を習得したものの、難渋するケースもあるので、技術や知識のさらなる向上を図る必要があり、そのためには、自己研鑽だけではなく専門家とのカンファレンスなど、継続的な研修が必須となるのではないかと考えています。

プロジェクトに参加して良かったこととして、2025年6月の日本老年看護学会第30回学術集会に参加した当院の病棟師長たちが、同学会で私が座長を務めた富士フイルムメディカル共催のランチョンセミナー(「高齢者の排泄ケア再考 -エコーの活用:便秘を可視化する-」)を聞いて当院の取り組みの先進性や意義を改めて実感し、エコーを導入して日々の排泄ケアの質を高めたいという思いを強くしてくれたことがありました。
また、個人的にはエコーの効果はなかなか実感してもらえないのではないかと思っていたのですが、スタッフと理事長が直接対話する職員懇談会で、エコーを使った看護師たちが「エコーを導入して良かった」、「もうエコーなしでのケアは考えられない」といった話をしたと聞き、うれしく思うと同時にスタッフたちにとても感謝する思いでした。やはり人を動かすのは人の思いで、エコーを使った看護師たちの思いが経営層に伝わったことでiViz airの追加導入が実現したのだと思います。
一方で、プロジェクトの中で難しさを感じたのは、「道なき道を行く」ことです。プロジェクトのコンセンサスミーティングや慢性便秘エコー研究会等でさまざまなお話をうかがいましたが、それを自施設に落とし込むことはできません。その中で、コンセンサスミーティングの内容をもとに排便ケアのフローチャートを作りましたが、そのまま使うことはできず、コンセンサスミーティングのメンバーの方々から助言をいただきながら修正していきました。「高齢者」と言っても、実際には急性期病院と当院のような医療療養型病院では患者像が異なるので、そういった点も共有して、相互理解を図りながら、エコー定着の方策を検討していく必要があると思います。
そして今後は、全病棟に導入した合計10台のエコーを継続して使用していくために、排便ケア以外での活用も検討していきたいと考えています。

青梅慶友病院 松野氏(老人看護専門看護師) 私は、先日のエコーチームの話し合いで「直腸診という概念がなくなった」という話が出て、エコーの効果を実感しました。従来は人生の最晩年の患者さんに「ごめんなさい」と言いながら直腸診をしていましたが、エコーを導入したことでそれがなくなったのは私たちにとっても患者さんにとっても非常に大きいことだと思っていますので、今後もエコーの活用を継続していきたいと考えています。

近森病院 島田氏(がん看護専門看護師) 私が実際に「エコーがあって良かった」と感じた事例を紹介させていただきます。 
80歳男性で、既往に脳出血後遺症(左不全麻痺)、四肢拘縮、認知症、L4圧迫骨折のある方でした。経過としては、施設入居中でADLは全介助、意識レベルも呼びかけに反応する程度だったのですが、1週間前から食事の摂取量が低下して徐々に反応が鈍くなって救急搬送され、4日前から尿路感染症で入院されていました。
私たちが介入したきっかけとしては、前日に夜間せん妄があって認知症ケアチームに介入の依頼がありました。そして、カルテを確認すると、入院後に食事摂取量がさらに低下しており、持参薬にグリセリン浣腸とピコスルファートナトリウムがあり、介入時は排便-6日目で、2日前にセンノシドは内服していましたが反応便がない状態でした。
私たちのチームのアセスメントとしては、脳出血の後遺症と四肢拘縮で体が動かせず、腸の動きが悪いこと、食事・水分摂取量の低下で便が硬くなっていることに加えて、弱オピオイドのトラムセットを内服しているのでさらに腸の動きが抑えられているのではないかと考えました。また、認知機能の低下があるので便意を訴えることも難しいこと、入院後に排便リズムが崩れた可能性があること、ベッド上安静で自然の排便姿勢が取れないこと、その便秘による不快感がせん妄の促進因子になっている可能性があるとアセスメントしてエコーを行いました。

エコー像が図1で、横断像では音響陰影を伴う高エコー域が確認できたので、普通便~硬便が貯留していると判断しました。縦断像では上部から下部にかけて便の貯留があり、全体的に音響陰影を伴う高エコー域が確認できたので、特に肛門側は硬便がありそうだと判断しました。そこで、まずは肛門部の硬便の摘便で取り除いた後にレシカルボン坐薬を使用し、その後、ブリストルスケール5の多量の排便が確認できました。翌日、再度エコーを行うと、上部にそのままの位置で便が残っていたので、今度は浣腸を施行して貯留は改善しました。この方の場合は、輸送機能障害と排出機能障害が考えられたので、便秘予防のケアを検討していきました。結果としては、食事量は入院前の状況に戻り、夜間せん妄も持続することがなかったので、せん妄対策の内服薬の使用も必要なく経過しました。

図1 初回アセスメント:
三日月形の高エコー領域あり、音響陰影あり直腸株まで便が下りてきている(左)
普通~価便が貯留している(右)

近森病院 岡本氏 現在は、看護エコーを院内でさらに広げていくための取り組みを進めており、先日、エコー勉強会を開催しました。参加者は36名で、エコーに興味を持った看護師からは「もっと勉強したい」という声が出ています。また、2026年2月の院内学会で今回の取り組みについて報告を行う予定です。
そして、単にエコーで便の有無を見るだけでなく、その他の情報も含めて複合的にアセスメントした上で、その人に合った排便ケアにつなげてもらうために、「エコーの基本操作研修⇒2人のエコーナースによるOJT⇒定期的な症例レビュー会」という流れでスタッフを育成していきたいと考えています。同時に、こうした取り組みを通じて、看護師の排便ケアにかかる時間や浣腸や坐薬の使用回数・摘便回数等の定量的な効果を示していきたいと思っています。
これらの取り組みによって、根拠に基づいたケアや個別性の高い排便ケアの実践ができ、患者さんの苦痛軽減やQOL向上につながると考えられます。また、時短勤務の看護師が病棟に配属されるとフリー業務が中心になりがちですが、そういった看護師がエコーナースになることでやりがいにつながればと思いますし、看護師の確保・定着につながるのではないかと思います。
看護エコーは排便アセスメントの客観性向上に効果があり、スタッフの学習意欲も高いので院内での普及をさらに勧めていきたいと考えています。今後はデータ収集体制を整えて標準ケア化を目指し、看護の質向上、効率化に寄与する取り組みとして、継続して推進していきたいと考えています。

看護エコーの普及・拡大に向けて
  • *1 設置後に自動的に性能が変化することはありません。
  • *2 設置後に自動的に性能が変化することはありません。
ワイヤレス超音波画像診断装置 iViz air
販売名

FWUシリーズ

認証番号

301ABBZX00003000