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ポータブルエコーのインタビュー

第5回慢性便秘エコー研究会 一般演題②
超高齢者の排便ケア-エコー定着に向けた取り組み-

セミナーレポート

セミナーで発表いただいた使用事例を紹介いたします。

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

第5回慢性便秘エコー研究会が2025年10月25日(土)に開催され、石川県立看護大学の松本勝氏が座長を務めた一般演題②において、青梅慶友病院の松野美保氏が発表した。

座長

石川県立看護大学 共同研究講座ウェルビーイング看護学 教授

松本 勝 氏

演者

医療法人社団慶成会 青梅慶友病院
看護介護開発室

松野 美保 氏

松野 美保 氏
青梅慶友病院の概要

青梅慶友病院は、医療療養病床423床と認知症疾患治療病棟103床の計526床を有し、患者平均年齢は89.6歳で、90歳以上の方が半数以上です。平均在院期間は3.9年で、私たちは超高齢者の方々が人生の最晩年を過ごす生活の場で日々のケアを提供しています。

超高齢者の便秘とケアの必要性

超高齢者が便秘を引き起こす要因としては、ADLの低下や「出す力」の低下、直腸感覚の低下、薬剤の影響(多疾患併存状態)などのさまざまな要因があります。認知機能の低下によって便意を訴えられない、トイレに行けない、トイレの使い方がわからないといった場合も多く、便秘は生活の質や全身状態に影響する重要な課題です。そのため、私たちケア提供者には、超高齢者の心地良い排泄を支える役割があります。

便秘対策プロジェクトについて

便秘対策プロジェクトでは、エコーを活用したアセスメントとケアの質向上を目指して、図1の流れで進めていきました。期間は5月~11月までの6ヵ月間で、ワイヤレスポータブルエコーiViz airを8台お借りして、使い方のトレーニングを行うとともに、月1回のコンサルテーションの機会も設けました。プロジェクトの進捗に関しては、看護部長より師長会で報告し、病棟師長の協力を得ながら取り組みを進めました。

続いて、プロジェクトの具体的な内容を説明します。

便秘対策プロジェクト2025の全体像

図1

フェーズ1:習得期

習得期においては、エコーチームを編成して次世代看護教育研究所のエコープログラムを受講し、新たに7名がOSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験)を修了しました。また、富士フイルムメディカル社の担当者に当院まで来ていただいて、AI技術を活用して便性状の評価をサポートするアプリケーション「直腸観察ガイドPlus」*1の説明を受けたり、横浜市立大学の髙橋聡明准教授にご指導いただきながら全10病棟、合計18名の排便困難ケースに対して、実際にエコーを当てることでエコーの操作方法と所見の見方を学ぶ病棟巡回演習を実施しました。
この時点の状態としては、「使い方はなんとなくわかってきた」、「実際に患者に当てることで、当て方や画像の見方を学んだ」という、スキルを習得しているという段階です。

フェーズ2:課題明確化と対策・ルール化

習得期を終えた段階において、技術は習得したものの「なかなかエコーを活用できていない」という課題に直面しました。そこで、浣腸、摘便、坐薬が必要な患者にはその前後で必ずエコー観察を実施することをルール化して、活用の機会を担保しました。また、OSCEの修了者だけではなく、全病棟の教育係が集まる場でもエコーの活用について説明を行いました。さらに、エコー観察記録等の書式を統一するなど、記録類の標準化も進めていきました。
このような対策に加えて、「1日最低3ケース当てる」というルールを設定した結果、看護職がエコーに触れる機会が増えてきました。それにより、徐々に所見の見方が分かるようになり、「アセスメントし、ケアにつなげる」意識が向上していきました。

フェーズ3:院内研修会の実施

次に、この取り組みをエコーチームだけではなく、病棟スタッフ全体へと広げていき、共通理解と体験を積み重ねていくことを目指して、院内ハンズオン研修会を実施しました。
この研修会の狙いは、エコーを「使える人だけの道具にしない」こと、そして道具の話ではなくアセスメントの話だということを共有して、体験を通じて病棟の文化として根付かせることでした。
実際の研修会の様子が図2です。

実際の研修会の様子

図2

研修会では、当院の便秘対策の歴史について学ぶ講義に加えて、ファントムを用いたハンズオンエリア患者役にエコーを当てる実技体験エリアを設けて、多くのスタッフがエコーに実際に触れる、体験するという時間、体験の場を設けました。研修会の参加人数は、介護職7名を含む77名でした。
研修会後のアンケートの結果が図3、図4です。

参加者へのアンケート結果

図3

アンケート結果:エコー導入による効果

図4

回答者の100%が「ケアの場面でエコーを活用したい」と回答し、ほとんどの回答者が「エコー導入後のケアの選択について変化を感じる」と回答しました。
導入による効果について、苦痛を伴う処置(肛門診・摘便・坐薬・浣腸)が減少し、そうした処置を「待てるようになった」という声も非常に多く聞かれていました。また、「患者の状態を客観的に評価できるようになった」、「不要な下剤投与の減少」といった項目が上位に挙がっていました。

アンケートに記載されたスタッフの声として、「導入前は『何となく』、『とりあえず』で下剤や摘便を行っていたが、導入後は根拠を持ってケア(経過観察、薬剤選択)を選べるようになった」、「患者様の苦痛となる直腸診や刺激性下剤が減らせると実感している」、「導入時は気が重かったが、今はエコーが楽しい」、「AIモードが読影の不安を軽減してくれている」などがあったことに加えて、「エコーの所見をどうケアにつなげるか、アセスメントの方法をさらに学びたい」といった学習意欲を示す声もありました。

図5がフェーズ3を進めた2025年9月のエコーの活用状況です。8病棟でエコーを運用し、1ヵ月あたりのエコー実施件数は病棟によって少しばらつきはありますが、平均で84.6件という結果でした。

フェーズ3の結果:エコーの活用状況

図5

今後に向けて

現在は実践・習慣化の段階にありますが、今後は「エコーは当たり前にそこにあるもの」「ケアに使うのが当然」という共通認識(=組織風土)が生まれ、特別な意識なく自然に活用される状態、すなわちエコーの定着を目指しています。そのために、各病棟で実践した症例を共有する場を定期的に設けるとともに、病院全体で「心地良い排泄」の実現に向けたアセスメントとケアの質向上の取り組みを推進していきたいと考えています。

  • *1 AI技術のひとつであるディープラーニングを使用して開発。設置後に自動的に性能が変化することはありません。
ワイヤレス超音波画像診断装置 iViz air
販売名

FWUシリーズ

認証番号

301ABBZX00003000