ワーク&ライフ
パパデザイナー対談
2017.6
男性でも、フレキシブルに働き方を選択。仕事も育児もあきらめない。
育児に関する人事制度が会社に整っていても、男性がその制度を使うことが難しい風潮がある昨今。しかし、富士フイルムビジネスイノベーションの男性社員は積極的に制度を利用し、各家庭に合わせた働き方を実践している。今回は、実際に育児休職を取得し、復帰後も柔軟な働き方をしている二人に詳しい話を聞いた。
※この記事は2017年時点のものです。
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平野 靖洋 Yasuhiro Hirano
1998年入社。UIデザインマネージャー。各種商品のUIデザインを担当する傍ら、将来商品のコンセプトデザインにも携わる。二児の父。
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三島 悠 Yu Mishima
2005年入社。UIデザイナー。複合機の操作パネルやWindows向けユーティリティソフトウェア、Webサービス、モバイルアプリのデザインを担当。一児の父。
女性だけじゃない。男性でも育児休職を取りやすい環境が整っている

——まずは家族構成を教えてください。
平野 共働きの妻と子どもが2人です。上が小学校4年生、下が5歳の保育園児です。2人とも男の子です。ちなみに、妻は富士フイルムビジネスイノベーションの社員で、私と同じデザイン部門で働いています。
三島 2歳の娘がいて、同じく共働きです。他社で働いている妻は育児短時間勤務を取っているので、普段、保育園の送り迎えは妻にやってもらっています。妻の仕事が忙しいときや、何か用事があるときは、私がフレックスタイムなどの制度を使って迎えに行ったりしています。
平野 私の妻も育児短時間勤務を取っているので、子どもの送り迎えは妻がやることが多いのですが、彼も言ったように、妻の仕事の状況によっては私が代わりに行きます。

——入社するときに、このような制度があるというのは把握していましたか?
平野 会社に入るときは全然考えたこともなかったのですが、先輩の男性社員の何人かが、数カ月という単位で育児休職を取るのを見ていたので、妻が長男を妊娠した時点で自分も取ろうと思いました。長男が産まれたときは3カ月間の育児休職を取り、次男のときは出産直前に妻が体調を崩したため、1カ月ほど私が育児短時間勤務で家事と育児と仕事を両立させていました。
三島 僕の場合も、やすさん(平野さん)をはじめ先輩の方々が育児休職を取っていたので、職場としてはある程度ウェルカムな感じがありました。僕は4カ月休職しましたね。
——休職中はどんな生活でしたか?
三島 産まれた直後は妻がどうしても動けないので、家事を主にやっていました。毎日買い物に行って、3食つくって、洗濯して。一人暮らしをしていた経験はありますが、簡易的なものしかつくらなかったので、このときはスーパーのレシピカードが並んでいるところに行ったりして、さんまのアレンジレシピなどを勉強しました(笑)。
平野 僕は、料理はあまりしてなかったですね。買い物はしていました。覚えているのは、夜中、何時間かおきに子どもが起きるので、とにかく寝不足だったなということですね(笑)。
部内の円滑なコミュニケーションが、引継ぎから復職までをスムーズにする

——育児休職に入る前、仕事の引継ぎはどうされましたか?
三島 僕が育児休職を取ったときはやすさんと同じ仕事をしていたので、うまく段取りを組んでくれました。そのおかげでスムーズに休みに入れたし、復職もまったく問題なかったです。
平野 三島くんが休むというのは前からわかっていることなので、その期間、どういう計画でやるかというのは、彼が休みに入るまでに考えておきました。慌てて人を増やしたり、そういうことはなかったですね。また私自身が(育児休職を)取っていたので、他の人にも気持ちよく取ってほしいなというのはありました。「どうせなら、もっと取ったら?」って(笑)。育児休職は子どもが1歳になるまで取れますから。保育園に入れないとか、事情があれば延長もできます。女性と男性で育児休職の取得条件は変わりません。
——育児休職を取って、よかったですか?
三島 よかったですね。自分の場合は、実家が夫婦ともに遠方なので、いつまでも祖父母に頼れませんでした。4カ月というのは、お食い初めが終わって、一通りイベントが終わるころなので、そこまで一緒に過ごして生活の基盤ができたというのがよかったと思います。
平野 僕ももちろん取ってよかったと思います。育児というものがどれくらい大変なのか、やってみて初めてわかったというところがあります。子どもとの関係においても、3カ月一緒にいられたというのは、非常に貴重な経験でしたね。
自宅に居るからこそ、時間を有効活用できる働き方もある
——共働きをしていく中で、工夫していることなどはありますか?
三島 普段は妻が保育園に送り迎えしていますけれど、どうしても妻の仕事が切り上げられない場合などは、自分が早上がりをして迎えに行きます。日によっては、在宅勤務の制度を使って、通勤時間を減らして仕事の時間を調整しています。
平野 私もいくつかの制度を組み合わせて使っています。定時だと9時までに出社しなくてはいけないのですが、10時半まで出勤時間を遅らせることができるコアタイム変更を利用したり、子どもを迎えに行くために早く帰らなければならないときはフレックスタイムを利用して16時に退社したりしています。
三島 在宅勤務には中抜けという制度もあります。勤務時間からは差し引かれるのですが、僕は、保育園の保育参観などに使っていました。上司やチームのメンバーに時間を事前に伝えた上で使います。抜けた分は勤務の終了時間を伸ばしてもよいですし、他の日に多く働いたりしています。
平野 在宅勤務の日は、朝に片付けをしたり、昼休みに頼まれていた買い物をしたり、家にいるからこそできることも多いですね。子どもが夏休みで学童に行っていた際に、忘れ物をしたというので昼休みに届けに行ったこともありました(笑)。

各家庭に合わせて使える実用的な制度と、職場に還元される経験や新しいビジョン
——育児休職を取るにあたり、ご家族の反応はどうですか?
平野 妻から促されたわけでもなく、ごく自然に取った感じですね。両親や他社に勤める友人たちからは驚かれましたが。
三島 元々先輩方が取っているという話はしていたので、うちもある程度の認識はできていました。また僕らは両実家が遠方で里帰り出産もしなかったので、祖父母にいつまでも手伝ってもらうわけにいかず、2人でなんとかしようという考えでした。ですが、産まれる前に行った両親学級(同じ地域の出産を控える夫婦の集まり)でグループ討議があったので、「(夫側が)育児休職取る人いますか?」って聞いたら、シーンとしちゃって(笑)。世間的にはまだまだ浸透していないんだなと、そこで改めて感じました。
——ワーク・ライフ・バランスへの影響は?
平野 育児短時間勤務中の妻も、より責任の重い仕事が増えてきているので、逆に妻の働く機会を増やすというか、個人だけではなく、夫婦トータルのバランスを取るという面でも、これらの制度を活用したいと思っています。ただどうしても妻の方が育児の負担は大きいですが…。もっとやらなきゃと思います、はい(笑)。
三島 富士フイルムビジネスイノベーションにはいろんな制度がありますが、きちんと活用することができますし、逆に強制されるわけでもないので、それぞれの家庭の事情に応じて臨機応変に使えるというところが働きやすさにつながっていますね。
平野 富士フイルムビジネスイノベーションの役割のひとつとして、多様なお客様の働き方をサポートするという視点があります。ですから自分たちが新しい働き方を経験して、いろんなことに気付いていくということは仕事に対してもよいインプットにつながっていくと思います。
ある一日の流れ(夫:在宅勤務 × 妻:育児短時間勤務)