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2026年7月3日

データドリブンなマーケティング施策を成功に導く「顧客データ統合・利活用」の基本と実践ポイント

通販・EC企業には、オンライン、実店舗ともにさまざまな顧客情報が集約されていきます。この情報を活用することで、顧客へのアプローチはより緻密になり、精度の高いものとなります。データを分析し、顧客理解を深めることは、新しいターゲットにアプローチする際はもちろん、企業の既存顧客(リピーター)への訴求にも効果的です。通販・EC企業にとって新規顧客獲得と同様、もしくはそれ以上に重要な「既存顧客の継続化」に、データ分析は大きな意味を持つのです。

ここではデータドリブンなマーケティング施策を成功させるための「顧客データ統合と利活用」の基本と実践的なポイントを、通販・EC業界が抱える課題や成功事例を交えて、わかりやすく解説します。

通販・EC業界が直面する課題とは?

通販企業にとって蓄積された顧客データは非常に有用です。しかし、データの統合や管理、分析にまで手が回らない企業も多いのが実情です。

分断された顧客データと見えない顧客像

店舗・ECなど各部門で収集されたデータ、さらにアプリ、オンライン/オフラインなど媒体別に収集したデータが別々のシステムで管理されており、顧客の全体像が把握できず、顧客理解が進まないケースが見受けられます。これは「データのサイロ化」と呼ばれる状態です。その結果、データの十分な利活用ができず、有効なマーケティング施策を打ちづらいという状況に陥りがちです。

データの利活用ができないことの弊害

統合された顧客データがないと、どのような弊害が起きるでしょうか。

一つ目は「作業の属人化」です。マーケティング施策が担当者の「経験と勘」に依存しがちとなり、客観的なデータに基づいた判断ができず、顧客の購買行動や、多様化するニーズに合わない非効率なアプローチを繰り返すようなことも起きてしまいます。

二つ目は「施策の慣習化」です。データによる施策の効果検証が十分に行えていないために「昨年実施した施策を今年も実施する」といった慣習的な施策運用に陥るケースも少なくありません。
これでは、顧客の心を動かすことは難しく、継続的に利用してくれる顧客への育成は困難でしょう。

ここまで述べたように、さまざまな施策の精度を上げるためには顧客理解が必須です。その元となる顧客データの統合・管理にはどんなメリットがあるのか、改めて振り返ってみましょう。

「顧客データ統合」によるメリットとは?

「顧客理解」の深化

自社の顧客データを統合し、多面的な分析を施すことで、顧客をどうセグメントしていくべきかが見えてきます。そして、最終的にロイヤルカスタマー(長期的に継続利用してくれている顧客)に育成するために、どのような施策がどんなタイミングで必要かも、判断しやすくなります。

プロモーション精度の向上

ECサイトでの購買履歴やWeb上での行動データだけでなく、店舗・カスタマーサポート、アプリなどオンライン/オフラインの顧客接点で収集したデータも統合して分析することにより、より顧客に寄り添った商品提案やコミュニケーションが実現できるようになり、その結果、顧客満足度や企業へのロイヤリティの向上を図れます。

「属人化した作業」の削減

マーケティング担当者が手作業でデータ加工や連携を行っているような状況では人的コストに大きなムダが発生しています。顧客データを統合し、各ツールと連携を進めたり、分析結果をBIツールで可視化したりすることで、意思決定のスピードが向上するとともに、属人化した業務が解消され、担当者が企画業務などのより創造的な仕事に注力できるようになります。

顧客データ統合・利活用の進め方とそのポイント

1.戦略立案

顧客データ統合の導入が失敗に終わる原因のひとつが、「データを統合すること自体が目的になってしまうこと」です。まずは、「顧客の購買履歴を分析してパーソナライズされたマーケティングを行い、LTVを〇%向上させる」といった、具体的でビジネスの成果に直結する目標を設定することが不可欠です。目的が明確になれば、統合すべきデータの種類や、連携すべきマーケティングツールも自然と決まってきます。

また、会社全体(EC、店舗、マーケ、カスタマーサポートなど)で「自分ごと」として取り組む体制を整えることが必要になります。

2.データの整理

どのシステムに、どのデータがあるかを把握し、何を統合するかを整理することが必要です。
データ統合において「データの品質」はキーポイントです。各システムで入力形式が異なっていたり、重複や欠損があったりすると、正しい顧客プロファイル(名寄せ)が作成できません。そのため、導入前に現状のデータフォーマットを整理し、データのクレンジング(整形)を行う必要があります。

3.システム選定 ・導入・運用

次にいよいよデータ統合の目的に合ったシステムを選定します。パッケージ製品、自社構築の場合も下記ポイントに留意ください。

  • 「名寄せ」(顧客識別の共通IDまたは名前、メールアドレス、住所、電話番号などの属性データをキーにして顧客データを統合)ができる仕組みであること
  • 継続的に情報を追加・更新できるなど、常に最新の情報に保てる仕組みであること

これらのポイントを考えると、「名寄せ」「継続的な情報の更新」が可能であるシステム「CDP(Customer Data Platform:顧客データ統合プラットフォーム)」が検討対象となります。

CDPは、複数の場所から自社が取得した顧客データ(ファーストパーティデータ)を収集し、顧客ごとに整理・保管する仕組みです。ちなみにCDP以外にも、次のような顧客データ統合・活用周りのシステムがあります。

顧客データ収集・管理CRM(Customer Relationship Management)顧客管理システム購入履歴や問い合わせ履歴などが管理できます。
SFA(Sales Force Automation)営業支援システム商談状況や訪問履歴、受注確度や売上見込みが管理できます。
顧客データ活用MA(Marketing Automation)マーケティング・オートメーション見込み客のスコアリングやメール配信、行動分析が自動化できます。
BI(Business Intelligence)ツールデータ分析・ダッシュボード作成ツールCDPと連携してデータを可視化できます。

データを統合するだけで終わらせず、現場で使える状態にするための施策が必要になります。BIツールの導入など、各部門の担当者がデータの閲覧や活用を簡単に行えるような仕組みの整備が必要です。データ統合が実施され、上記のような仕組みが整備されたら、いよいよ次のフェーズに進みます。

4.顧客分析・施策設計

データ統合・一元管理の仕組みが整備されたら、顧客分析を行います。
顧客分析にはさまざまな手法がありますが、例えば通販・EC領域で有用とされるCPM分析では「購入回数」「購入金額」「最終購入日からの経過日数」を基準に、顧客をセグメントします。

分類後、顧客特徴とプロモーション目的に合わせた施策設計を行います。

また、データの裏付けによるクリエイティブの最適化やOMO(オンラインとオフラインの融合)を意識した相互送客シナリオの設計も検討ポイントです。

5.施策実行・効果分析

設計した施策に基づき、メール、SNS、ダイレクトメール(DM)、商品同梱物など、多岐にわたるチャネルで施策を実施します。

施策実行後は、効果分析を行うことが重要です。売上などの結果だけでなく、その要因をデータから読み解くことで、再現可能な施策になります。

一度の施策で終わらせるのではなく、「顧客分析・施策設計」「施策実行・効果分析」のステップ、PDCAを回し続けることで、ロイヤルカスタマーの育成につながり、LTV最大化につながります。

自社にとっての勝ちパターンをアップデートし続けることが大切です。

ここまで、顧客データ統合と利活用の進め方について紹介してきましたが、「顧客データ統合の必要性は感じているけれど、システムが乱立していて統合がうまくいきそうにない」あるいは「大がかりな改修になりそうで着手に躊躇している」などと、プロジェクト開始に踏み切れない企業も多く存在するのが実情です。

最初から社内のすべてのデータを完璧に統合しようとすると、プロジェクトが肥大化し、時間とコストが膨張して頓挫しやすくなります。もちろん、プロジェクトとして腰を据えて大掛かりに実施するのも一つのやり方ですが、「その工数や費用をいきなり掛けられない」という企業様に検討してほしいのが、スモールスタートです。「休眠顧客の掘り起こし」や「特定商品のリピート促進」など、影響範囲が小さく効果が出やすい領域(ユースケース)に絞ってデータ統合を始め、段階的に高度な分析に至ったり、対象範囲を広げていくやり方です。成功体験や実績を積み重ねていけるため、のちに事業全体に展開させる場合へのノウハウも蓄積できます。

しかし、「何からスタートするべきか決められない」「社内に専任の担当者がいない」というケースも少なくありません。その場合には、自社に最適なアプローチを提案し、プロジェクト成功まで伴走してくれるような外部パートナーとの連携も検討する価値があります。
 

顧客データ統合・利活用プロジェクトの成功事例

アシックス商事様が直面していた課題

アシックス商事様は、店舗とECのデータがそれぞれ別で管理され、顧客像を解像度高くとらえられないほか、チャネル横断施策も打てないという課題を持っていました。
また、マーケティング担当者が売上データや販促の効果検証データなどをマージする手作業に追われ、作業工数増加や属人化といった課題もありました。

「Marketing Cockpit」の活用

こうした課題を解決するため「Marketing Cockpit」の導入を決定。その結果、同社では店舗・ECのデータが統合され、各店舗とECでの売上を可視化できるようになりました。統合したデータをもとに、DMへの好反応が見込まれる対象者を抽出して送付するなどの打ち手が可能になりました。

導入効果

Marketing Cockpitの導入後のDM施策では、アシックス商事様の多くの店舗で対象商品のサイズ欠品が発生するほどの反響を呼び、ROI(投資利益率)は前年比125%、売上計画比142%を達成しました。また、マーケティング 担当者も煩雑な集計作業から解放され、本来の販促企画の立案に集中できる環境が整ったとのことです。

まとめ

顧客理解は、特定のデータだけでなく、多数のデータの組み合わせによって深まります。 また顧客像の解像度が高まれば、施策の精度が向上します。 

どのようなお客さまが、何をきっかけに、どのチャネルから、どの商品を購入しているのかをしっかりと理解して、ロイヤルカスタマーを増やしていくためには、データを整え効果的な施策を打つことが重要になります。

そのために“顧客データ統合”が重要であることを述べてきました。 
しかし、最初からすべてを統合する必要はありません。スモールスタートで、できるところから段階的に取り組むことで、顧客理解の精度が高まり、施策の成果につながっていきます。小さな成功体験の積み重ねが、やがて全社的なデータドリブン経営へとつながり、顧客との良好な関係性(LTVの最大化)を築く強力な基盤となるはずです。

一方、そうした取り組みの一助となるのが、「Marketing Cockpit」のような一気通貫型の支援サービスです。データの統合から利活用、成果の創出までを、自社に適した形で無理・ムダなく実現することに関心のある方は、ぜひ富士フイルムビジネスイノベーションまで、お気軽にご相談ください。