業務プロセスとは?業務フローとの違いのほか、改善・可視化の方法を徹底解説!

2023.08.09

業務プロセスとは?業務フローとの違いのほか、改善・可視化の方法を徹底解説!

業務プロセスとは?業務フローとの違いのほか、改善・可視化の方法を徹底解説!

細かな業務の連なりを「業務プロセス」と呼び、業務プロセスを把握することは、企業運営に於ける業務全体を把握することとほぼ同意となります。

業務プロセスという言葉は、主に業務内容を改善するときに用いられます。企業内での業務改善は、時代の流れや技術の発展に合わせて半永久的に取り組まれ続けることなので、業務プロセスへの知見をしっかりと持っておく必要があるでしょう。

当記事では、業務プロセスの基本的な情報と改善に取り組む方法をご紹介します。業務改善自体は企業内ですぐに実施できる取り組みですので、当記事の内容を参考にすぐにでも実践してみてください。

業務プロセスとは、企業内に於ける業務の組み合わせや連なりのことです。特定の業務に対する用語ではなく、販売・仕入れ・製造などの広い範囲の工程を対象とする用語で、それらすべての工程の連なりに対して業務プロセスという言葉を利用するケースもあります。

そのため、業務プロセスは経営層のみならず、営業や生産管理などのあらゆる組織・部門で活用されることが多いです。

また、業務プロセスでは業務内容の細かい部分にまで注目するため、業務プロセス内の各タスクや、それらのタスクの間で生まれているフローの実態も把握もできます。そのように把握ができると、業務改善を推進しやすくなるといったメリットが生まれます。企業の運営に当たって業務改善は常に命題となりますので、経営層やマネジメント層に該当する方は、必ず業務プロセスをしっかりと把握しておかなくてはいけないでしょう。

尚、英語では「Business process」と表記されますが、日本語で「ビジネスプロセス」という言葉を利用する場合、収益を創出する際の事業活動の流れを指すことが多いため、言葉の違いに留意するようにしましょう。その他の似たような言葉との違いを、以下で詳しく説明していきます。

業務プロセスと業務フローの違い

業務プロセスと似た用語で「業務フロー」という用語があり、それぞれ内容が異なるので注意が必要です。業務フローはその名の通りに「業務の流れ」を意味しており、例として「業務フロー図」などのように使われることもあります。

業務プロセスが広い範囲の工程を対象とした際、業務フローは業務プロセスへの一つの構成要素になります。具体的に説明すると、「業務」があり、その業務が次工程へと流れていく活動として「業務フロー」があり、それらが連なって「業務プロセス」となります。

業務プロセスの改善を行う際には、いきなり全体像を対象にしてしまうと、規模の大きさから取り掛かりにくくなってしまうため、まず業務フローの単位に着目していきます。そのため、業務フローは図で可視化されることが一般的です。

業務プロセスの改善とBPRの違い

「企業を運営していくうえで業務の改善は常について回る」と解説しましたが、BPRとの違いを知っておくことも欠かせません。

BPRとは、ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(Business Process Re-engineering)の頭文字をとった用語で、業務プロセスを根本から見直して再構築することを指します。

業務改善は、主に「業務に於けるムリ・ムダ・ムラの排除」を行ないますが、BPRは更に踏み込んで抜本的な「プロセスの再構築」を行うといった点に違いがあります。つまり、既存の業務プロセスが一定の利益や恩恵を創出しない場合には、BPRによって業務プロセスの再構築を実施することが欠かせません。業務プロセスに問題は無いものの、さらに質や効率を高めたい場合には、業務プロセスの改善で「ムリ・ムダ・ムラ」の排除を実施するのが適切です。

BPRは、昨今のDXやデジタル化と連動して語られることも多いです。以下の記事も参考になると思いますので、ぜひ併せてご覧ください。

業務プロセスの改善には、「業務効率化」と「リスクマネジメント」という2つの目的があります。目的を持たない業務改善はあり得ませんので、実際に業務プロセスの改善に取り組む際には、適切な目的を設定することを意識してください。

基本的に改善作業はいくら取り組んでも次から次へと課題点が顕在化してきますし、市場の動向や技術の発展に伴って新たな改善点が生まれていきます。そのため、完全に目的を達成するといった可能性は無いに等しく、恒常的に業務プロセスの把握と改善作業が求められます。そのことを踏まえた上で、業務プロセスを改善する目的を正しく理解し、改善作業中は目的を忘れないように意識しましょう。

業務効率化

業務プロセスの改善で一番の目的と言えるのが業務効率化です。日々の業務の中には、ムダな作業やムラのある工程などをはじめ、非効率になっている部分が頻繁に見受けられます。

これらを排除して効率的な業務にしていくのが業務プロセスの改善です。業務効率化は企業内で常に取り組まれることであるため、業務プロセスの改善を行う際にも、この目的は絶対に忘れないようにしなくてはいけません。

リスクマネジメント

業務プロセスを改善することで、業務上で発生する可能性のあるリスクを減らすことができます。非効率な業務は問題を起こす可能性が高くなり、品質の低下や従業員のケガを招いてしまうこともあるでしょう。そのため、そういった事態を防ぐことを目的に業務プロセスの改善は取り組まれます。

「なぜ改善する必要があるのか?」「改善する目的は何なのか?」をしっかりと押さえておくことで、どのように改善を行なっていくかが明確化するでしょう。

先程、業務プロセスという言葉は経営層やマネジメント層は必ず知っておくべきと説明しましたが、DXというキーワードが普及するにつれて業務担当者のレベルでも意識していくことが求められています。DXやデジタル化を実現するには、個々の従業員が業務を変革する姿勢が不可欠となるからです。

そのため、ここで改めて業務プロセスの書き方を覚えておきましょう。いきなり高度な「図表」「フローチャート」「フロー図」を書くと、それを書くだけで大変な労力を要してしまうため、なるべくシンプルに整理していくことがポイントになります。

業務プロセスの改善とペーパーレス化を実践した際のケースを例に挙げ、以下のオンデマンド動画内で業務プロセスの書き方などを解説しています。こちらの動画を参照し、ぜひ書き方のコツを学んでみてください。

成果物の作成イメージ(1)

以下で示した業務プロセスを改善する方法を把握し、すぐにでも着手できるようにしておきましょう。改善作業はすぐに取り組むに越したことはなく、その分だけ早くから業務効率化の恩恵を得ることができるため、企業の運営効率を高めるためにも改善の方法を把握しておくことを推奨します。

【業務プロセスを改善する方法】

  1. 業務プロセスを可視化する
  2. 課題の洗い出しをする
  3. 課題に対する改善策を決める
  4. 改善策を実施し、効果検証を行う

1.業務プロセスを可視化する

まずは業務の流れ(フロー)や必要人員などの業務自体の細かな情報を可視化します。可視化を適切に行えていない場合、改善すべき点が明確になりません。そのため、最初にこの工程をしっかりと行わないと、その後の改善作業は進みません。

また、可視化を進めていく中で業務プロセスに違和感を覚えたり、問題がありそうに感じたりする部分があれば、しっかりと書き出しておくことをおすすめします。後から該当の箇所を再確認するよりも、まさに可視化の作業に集中しているときに気づける点が多くあるからです。

可視化は大切な点のため、もう少し細かく解説していきます。

業務プロセスの細かな情報を整理する

業務プロセスの書き方は前章でも触れましたが、書き出す前に細かな情報を整理しておくことが重要です。例えば、業務プロセス内にアナログ的な作業が多く、書面を用いて行われている一連の業務プロセスをデジタル化・システム化していくような改善の場合、以下のようにシートに情報を整理していきます。

こうすることで、フローチャートやフロー図などに起こしやすくなります。また、フローチャートやフロー図は抽象的に表現する面もあることから、いきなりそれらに落とし込んでしまうと、大事な点を見落としてしまうようなことがあります。そのため、必ず上記のシートのように整理することから始めていくようにしましょう。

ヒヤリング対象のサンプリング組織を設定する

もしあなたが、DX推進部門のような横断的に業務プロセス改革を主導する役割の場合、すべての組織に業務の詳細なヒヤリングを行うことは難しいため、ヒヤリング対象のサンプリング組織を設定しましょう。

同様の組織を複数の部門に分けるといった運営は、どの企業の組織設計でも採用されていると思います。営業組織を例に挙げると、第一営業部や第二営業部のようなケースとなります。こうした場合、一つひとつの部門にヒヤリングするのではなく、第一営業部のみにヒヤリングするなどのように、可視化を効率的に進めていくことがポイントです。

関連組織と共にプロジェクト化・タスク化する

DX推進部門のような横断組織が、自社内に存在しない場合のケースも確認しておきましょう。営業部門が販売プロセスに於ける生産性の改善を狙い、経理部門や事務部門などの周辺組織にもまたがるような業務プロセスを改善したい場合、関連組織と共にプロジェクト化・タスク化がすることが望ましいです。

単独の視点で可視化してしまうと、自部門は効率が悪いと思っていた点が他部門は効率が良いと考えているようなケースを見落とし、結果的に組織間連携に軋轢が生じてしまうような事態に発展しかねません。そのため、関連組織を含めた体制を形成することが大切です。

プロジェクト化・タスク化の際には、上手に進行していくためのいくつかのコツがあるため、未経験の方は以下の動画も視聴してみてください。

2.課題の洗い出しをする

可視化が完了したら、可視化した業務プロセスをチェックして課題といえる部分が無いかを確認していきましょう。その際、課題の質は問わず、考えられる全ての課題を洗い出すように意識してください。仮に小さな課題だとしても、将来的に大きな課題になる可能性はゼロではありません。世間の情勢や技術の発展度合いにより、課題の優先度は大きく変化します。

課題の洗い出しが完了したら、現状を踏まえて優先的に解決していきたい課題を決めておきましょう。すべてを一気に解決していくことはできないため、優先順位を付けて一つずつ解決していくことが大切です。

3.課題に対する改善策を決める

優先順位を付けた課題に対して、優先度の高いものから改善策を決めていきます。改善策を決めるときは、先でご紹介した「業務効率化」「リスクマネジメント」という2つの目的を意識しながら決めるようにしてください。「なぜ解決する必要があるのか?」を念頭に置いて改善策を決めれば、自然と良質な策が思い浮かぶはずです。

例えば、業務効率化を意識するなら、必ず「ムリ・ムダ・ムラの排除」という視点は捨てられませんし、リスクマネジメントを意識するなら、ヒューマンエラーやケガなどに対するリスク軽減の視点は捨てるわけにはいきません。以上のことを参考に改善策を決めてみてください。

当社が営業生産性の改善を実施した際の事例を、資料にまとめて公開しています。その中で、実際に当社が実施した解決策・改善策にも触れていますが、もし改善策の決定に悩ましい場合、こちらの情報が参考になると思います。以下よりダウンロードし、ぜひ読んでみてください。

4.改善策を実施し、効果検証を行う

上記で決めた改善策を実際に取り組んでいき、改善策の効果が本当にあったかどうかを検証していきます。「どのくらいの効果があったか?」「もっと効果を生み出す方法はありそうか?」といった視点で効果検証を行ない、効果を得られなかった改善策もしっかりと特定してください。数値化できる部分があるなら出来る限り数値化しておくことも推奨します。

また、改善作業は基本的にPDCAサイクルで回すのが一般的です。以下の画像を参考にPDCAサイクルを回しながら改善を推進してください。

PDCAサイクル

業務プロセスの改善は、自社で簡単に取り組めるものもあれば、仕組化を講じることが必要なものもあります。但し、クラウドサービスなどを一例に、昨今は業務プロセスに改革を及ぼすようなツールも多くリリースされ、そうしたツールを適切なツールを活用することで、最小限の労力で効率的に改善を図ることができます。

そこで、業務プロセスの改善に役立つツールをいくつかご紹介します。以下の表を参考に、自社に導入する価値のあるものがないかを確認してみてください。

どの企業でも活用できるツール(販売プロセスの例)

まずはどういったツールが存在するのかを知りたい場合、まずはどの企業にも存在するような一般的な業務プロセスを対象にすると、ツールへの具体的なイメージをもちやすいでしょう。

例えば、販売プロセスであれば、取引先の間の帳票の処理を起点に、営業部門・事務部門・経理部門・管理部門などの複数の組織が、横断して業務プロセスを形成しています。以下に挙げたようなツールを組織間で活用することで、販売プロセスの生産性を全体的に向上することが可能となります。

方法 具体的な実現イメージ
注文書の電子化 ペーパーレスファクスの活用により、紙のファクスで届いた注文書に対し、受信するたびに各担当者に原紙を振り分けるといった手作業の手間や負担を削減し、電子上で完結することが可能となります。
取引先との契約書締結のデジタル化 電子サインの活用により、取引先との契約締結の一連のプロセスをすべてクラウド上で完結することが可能となります。
稟議などの申請・承認のデジタル化 ワークフローシステムの活用により、主に申請・承認・決裁を一例に、それまで必要としていた書面の回覧や押印などの多くの作業を、システム内で完結させることが可能となります。
請求書の電子化 会計クラウドや電子請求システムの活用により、請求書の発行をWeb上で完結することが可能となります。
経費精算のデジタル化 経費精算クラウドの活用により、領収書の電子化のほか、支払い処理をクラウドサービス上で効率的に処理することが可能となります。
データ集計・データ管理のデジタル化(顧客管理・販売管理など) kintoneの活用により、データの集計・管理の一元化など、事務に於ける各種作業の効率化を図ることが可能となります。

業種別に活用できるツール(製造業・建設業の例)

業務プロセスというと、製造・生産などの工程が対象に上がることがしばしばあります。こうしたプロセスは製造業・建設業などによく存在し、両業種とも改めて業務プロセスの改革が求められています。

製造業・建設業は、当社もこれまでにさまざまなお客様の業務プロセスの改善を支援してきました。そのため、多くのノウハウを保持していることから、多面的にソリューションを提供・展開しています。

以下のページにソリューションをまとめていますので、これらの業種に該当する場合、ぜひこちらのソリューションページを併せてご覧ください。

どのようなツールがあるのかを確認したら、最後に改善事例を把握して実際に取り組む際のイメージを明確にしておきましょう。実践に向けた具体的なイメージが湧いてくるかと思いますので、当社の事例と、当社のお客様の事例の二点をぜひご覧ください。

富士フイルムビジネスイノベーションの事例

当社で業務プロセスの改善に取り組んだ際には、営業領域が対象領域となりました。部門全体で取り組んでいた営業の生産性向上の一環として、出力されている紙の量の削減が命題となりました。紙のせいで業務に自由がなくなっている現状を変えることで、「いつでもどこでも営業できる」ようにすることを方針に、業務プロセスの改善を進めていきました。

こちらの内容の詳細は資料として公開しています。以下からダウンロードできるので、ぜひ参照してみてください。

当社のお客様の事例 1

A社様では業務プロセスの中で発生した、「紙による業務が多く、オフィスのフリーアドレス化が困難」という課題に対する改善に取り組みました。実行した改善策は、「DocuWorks」の導入です。

このツールを導入することによって、紙に印刷して回覧していた書類などをデジタル化することができ、「保管スペースの削減」「フリーアドレス化とリモートワークの実現」といった効果を得ることができました。

当社のお客様の事例 2

B社様では、様々な業務での電子化が課題として上げられていました。新型コロナウイルスの流行によって普及したリモートワークで、これまで以上に電子化の課題が浮き彫りになりました。電子化できていないことが、リモートワーク時の業務プロセスを著しく非効率にさせていました。

それに対応すべく検討されたのが「DocuWorks」「Working Folder」の導入です。これらを導入することにより、紙文書を電子文書として一元的に管理できるようになっただけでなく、リモートワークに適した形で書類の共有が行えるようになりました。

業務プロセスとは、企業内に於ける業務の組み合わせや連なりのことです。特定の業務に対する用語ではなく、販売・仕入れ・製造などの広い範囲の工程を対象とする用語で、それらすべての工程の連なりに対して業務プロセスという言葉を利用するケースもあります。

業務プロセスと似た用語で「業務フロー」という用語があり、それぞれ内容が異なるので注意が必要です。業務フローはその名の通りに「業務の流れ」を意味しており、例として「業務フロー図」などのように使われることもあります。

業務プロセスの改善には、「業務効率化」と「リスクマネジメント」という2つの目的があります。目的を持たない業務改善はあり得ませんので、実際に業務プロセスの改善に取り組む際には、適切な目的を設定することを意識してください。

業務プロセスの改善・改革の進め方にお悩みの場合、当社のこれまでの実績やノウハウに基づいて支援することが可能ですので、以下のお問い合わせフォームから、ぜひお気軽にご相談ください。

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